陰陽師信幸②
信「よしっ!まだ俺のターン。」
紅「そうね~。」
消灯時間
信幸は班員の男子2名と部屋で談笑後、消灯時間になったので、
大人しく寝たふりをして、結界を張る。
今日から同じ宿同じ部屋で、3日間泊まるため、
こっそりと空間隔絶系の結界を宿の敷地内全体に施した。
これにより、信幸と特殊な者は別の位相で過ごすことができる。
さすが古都というべきか、何人かの感覚の鋭いものは
結界が張られたことに気づくが、理解できないものや、
害意がないいため、無視や放置を決め込んだ。
信幸はこの結界内の宿の庭で、犬たちを呼び出して、かわいがる。
「ずいぶんと従順なうえに強力な式だな。」
「この腕輪の天一が飼っている式だからな。力だけはあると思う。」
「その式の力と数なら、式神クラスの魔なら追い詰めれそうだな。」
「だといいけど。本来なら、この腕輪のお前らの力を借りたいところだが、
なぜだか、京都に近づいたタイミングで、全員が眠ってしまったんだよな。」
「それは、同波長のより強い存在がいるからだろうな。」
「だと思った。あと、9柱、か。」
「自身がないのかい?」
「青龍と天一、白虎あたりが、決め手に欠けるかなーっと。」
「相性的にはな。でも、どうにかするんだろう。」
「どうにかはね。」
十分犬たちをもふって満足した信幸は明日にそなえて寝ることにした。
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今日は清水寺、八坂神社、上賀茂神社の順で回る予定だ。
できれば貴船や鞍馬も行きたいが、慈照寺、金閣寺、北野天満宮も回りたいので、
時間的に難しいといわれた。
あきらめて、ガイドの人の提案に従う。
まどの外を見ていると、朱雀が
(ふむ。六合か。)
と思念を送ってきた。信幸は、内心で勝ったとガッツポーズをし、
今後が楽になることを感じた。
朝倉堂を超えたあたりで、人払いの結界が張られる。
班員とはあらかじめ、地主神社前で落ち合うと話をしておいた。
中学生や高校生、観光客に紛れていたため、
信幸が消えたことに気づくものはいない。
寡黙に隙なく槍を構えた優男が本堂本尊側に立っていた。
六合は敵を確認し動くが、すでに遅かった。
結界に侵入と同時に信幸は、オートマチックの銃をすでに抜いて、
六合を見つけると同時に5発撃っていた。
「早いな。」
「今回は金剋木で圧倒的に俺が有利だからな。様子見はなしで。」
額、両肩、首、胸に各一発づつ銀玉を受けた六合が、
むくりと起きて、正座をし頭を垂れる。
信幸も何も言わずに腕輪の六合を出して、喰らわせ。そして、腕輪に戻す。
(ふふふっ。これで最大の攻撃が使える。)
そんなことを考え、笑みを浮かべる信幸を式神たちは訝しげに見ていた。
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(次は八坂神社の青龍か。)
(いるよね。)
(四神は基本動かねーよ。)
(そう。なら・・・。)
タクシーが八坂神社に到着する。
本堂の門の手前で、班員に断りをいれて、周囲を探索する振りをして、
今まで式神が張っていた人払いの結界を少し拡張して、施す。
これで結界内を見通して、青龍の位置を探ることができる。
信幸は<眼>を使い、結界内を見通す。そして、一番離れたとろこに立ち、
(六合、結界内に入ったらすぐに俺の右手に槍を出してくれ。)
式神たちは首を傾げる。神に準じる式神の武器を人が使えるとは思えない。
だが、主である以上、聞き入れる。
信幸は結界に一歩足を踏み入れる。
その瞬間、槍が右手に現れるので、思いっきり振りかぶり、
塀を超えるように、上に投げる。
槍は意思を持ったように、青龍に向かって飛んでいく。
ードゴーンー
信幸は何回目かの、式神たちは初めての大爆発の音を耳にした。
式神たちが呆然とするなか、信幸は成功したことに笑みを浮かべて、
音のしたところに歩き出す。
そこには、真っ黒に焦げた青龍が倒れていた。
「やりすぎたか。力を5割で投げたんだが、槍の能力が高すぎたか。」
近くに刺さった槍を引き抜き六合に返す。
若干受け取る手が震えていたが気にしない。
「こ、こんなことって。」
「おいおい。直撃してないのにこれほどとは。」
「木と水の属性持ちの青龍が・・・。」
「なー。青龍を起こしてくれない?」
「あ、ああ。」
朱雀は納得いかない顔をしながら、青龍に神力を注ぐ。
やけどが癒えると、勢いよく青龍は起き上がった。
「はっ。何が!?急に槍が近くに刺さった気がしたんだが。
あれ。朱雀にお前ら、どうしてここに。それにその人間は?」
「お前に槍を投げたのがその人間で、お前はその槍の力で倒れたんだよ。
そして、俺らはお前より前に、こいつに負けて、この人の式神になったんだ。」
その朱雀の説明を聞いて、青龍は自分が消失する寸前であったことを悟った。
おとなしく、信幸の指示にしたがい、自らの魂を喰らい腕輪に入る。
信幸はそれを確認して、結界を解いた。
「ふっ。やはりあの技はほぼ最強だな。」
(((((納得いかない。))))
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慈照寺
「え~。全然銀じゃないじゃ~ん。」
「わかんないかなこのわびさびがいいんじゃないか。
茶道の世界なら、金閣寺より風情があると思うがね。」
「じゃあなんで銀閣なのよ。」
「そ、それは~」
班員の一人が言葉を詰まらせ、信幸をみる。
「それは、銀箔が張られる予定だった説や
雪や日光の反射で銀に見えたって説があるな。
まあ、何にしろ俺もこの庭園と建物は好きだがな。」
「さっすが、信幸君。博識ね。それにしても今回は個人行動はしないのね。」
「こんな狭い場所じゃあな。」
-じー-
(うん?なんか視線を感じる。)
(ふふふ。どうするんだろうな。)
(もしかしてあいつ、清水寺にいたのか?)
(たぶんね。青龍と仲いいし。)
(そういわれれば、別れてすぐに襲われたかも。)
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上賀茂神社
「広いな~。」
「広いね~。」
「さすが神社、本殿まで遠いね~。」
「ほら、ちゃんと参道を歩けよ~。」
ゆっくりと信幸は後ろを歩く。
(本殿の近くに玄武だな。)
(六合、本殿の鳥居を超えたら、槍を。)
六合が頷く気配がする。
鳥居をくぐる、信幸は槍に雷を纏わせる。
気配を探るが見当たらない。
すると、横から鈍い痛みを感じる。
いつの間にか真横に玄武がいた。
「ちっ。気配を探りにくい。」
信幸はすかさず真横に槍をふるう。
「くっ。投擲でないと使いづらい。」
気配をさぐるがやはりつかめない。二重の結界かそれとも水の能力なのか。
「なら制限すればいい。」
バックから水筒をだし、中身を自分の周りにばらまく。
何の変哲もない草の種をばらまく。
すぐに草が生える。
何のことはないと感じた玄武が足を踏み入れる。
信幸はにやっと笑う。
玄武は足を取られて動けなくなる。
「終わりだ。」
ーバチッンー
足を取られた玄武に穂先をちょんと当てて行動不能にする。
結界から離れた木の上、天后は一人つぶやいた。
「あれは人なのまるで、亜神じゃない。」
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金閣寺
「うわ~すごい金だ~。」
「やっぱこんでるな~。」
「こんな池を挟んでみていないでもっと近くに行こうよ。」
班員が走って、見に行こうとする。
そのとき、信幸はだれにも気づかれずに張られた結界に飲み込まれた。
「はぁ~。これか~。」
信幸は警戒をしていたにも関わらず結界に飲み込まれたことに不甲斐なさを感じ、
ため息をつく。
以前作った種子の種の弾丸を周囲に打ち込んだ。
すると木が生えそこに池の水が龍を形作り勢いよくぶつかる。
「くっ。仕留められなかったか。」
「まー。狙いは良かったな。俺の属性が火や水なら防げなかった。」
「次はこうはいきませんよ!」
そういって天后と思われる存在が逃げようとするが、結界が切れない。
「えっ!なぜ?!」
「なぜって。結界の上書きぐらい常識だろう。」
「できるはずがない。式神の張る結界に上書き何て。」
「できるんだな。修行すれば。」
「くっ。」
再度龍を生み出し、その頭に乗っかり、水の細剣を突くり飛ばそうとする。
「これで終いだ。」
その細剣よりも早く信幸は六合の槍を飛ばす。
ーバッチーンー
ーバシャーー
水の龍に槍が当たった瞬間電気が天后を貫く。
その瞬間、水の龍も細剣も池の水に戻る。
「よーし!」
(うわ~理不尽だ~。)
式神たちは非常識な力をふるう信幸にあきれるのであった。
その後、天后はほかの式神同様に腕輪に収まった。
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北野天満宮
「さて、受験生の皆さん。ここが学問の神様で雷神がいる場所ですよ。」
(おれと相性がよさそうだな。力もみなぎるぜ。)
一の鳥居をくぐったとき、腕輪から、犬たちが出てきた。
だが、だれも気にはしない。不可視の結界がかかっているのか誰も気にしない。
(これは?)
「天一の領域だからだろうな。」
「朱雀?」
小さい声で、出てきた朱雀に話しかける。
「彼女は優しいから、憑き物がいないかをみるために
こんな結界を張っているでいるんだろう。
あと、この時期はここは人が多いからだろうな。」
「わんっ!!」
本殿の近くの天女のような女性、天一に犬たちはじゃれていた。
「あら~。かわいい子たちね。どこの子たち?」
そんな天一の額に犬の中の一匹が自らの額を当てる。
その瞬間に天一の顔が驚きに変わる。
「あれは何をしているんだ?」
「記憶を見ているんだろうな。」
「ふ~ん。」
すくっと立って。こちらを見る。
「お初にお目にかかります天一です。すでに7柱を手に入れていますか。
ここで抗うのは賢明ではありませんね。我が身はあなた様とともに。」
そういって、天一は自ら信幸に下った。
信「あれ4話連続では?これでは次の話で終わりでは?」
紅「ふふふ。」




