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終末から始まる物語  作者: 風間流治
魂の試練
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正義と心

信「今回はまた、抽象的な。」

紅「でも、これって私関連の気が・・・。」

「ふふふ。どうだい?流治。死を体験した気分は。」


「あんたの仕業せいかよ。ところであんたは誰だ。」


暗闇に立つ自分に問いかかける。


「誰だはご挨拶だな。前にもお前の前に姿を現したんだぜ、

 名はエンデ、能力は空間。ま、名は偽名だがな。

 お前の別の世界の存在でありながら、同一の魂を持ち、

 お前よりも複数の世界を見聞きできる。

 で、どうよ、7日間連続の死の体験は。」


「最悪だ。何がしたいんだよ!」


その怒号に真面目な顔で男は語り始めた。


「お前に、人とは何かを知ってもらうためだ。

 どうだい。いろんな人間に殺されたり、

 事故で死ぬ気分は。人を殺すこと、傷つけることがいかに

 苦しいことか分かったんじゃないか。

 だが、時として傷つけたり、殺したりしなければならない。」


流治の脳裏に、今までの化け物が思い浮かぶ。


「人は欲望の塊だ。だが、それは思考と本能の延長にあるものだ。

 欲望がなければ、技術は進歩しないし、努力もしない。

 生きる活力もなくなり、しまいにには死を求める。

 もしくは、行き過ぎた欲望は他人を殺す行動に発展する。

 俺は、そんな人間をこの世界とは別で、経験してきた。

 そこで、ひ弱なこの世界の俺に、少し強くなっていただくために、

 死を体験し、死の恐怖と苦しみを理解してもらい、

 心を強くしようと思ったわけだ。」


「気分は最悪です。」


「まぁ。だろうな。では、一つ質問だ。

 これの答えによっては、お前をこの場で殺させてもらう。

 お前にとって正義とは?」


「そんな理不尽な!正義?」


「そう正義。難しいか?」


眉間に皺を寄せて、聞き返された。

おずおずと頷くと、男はため息をついて、口を開いた。


「ではいくつか例を出そう。大勢を守るために、

 自分とは異なる意見・存在の者を倒す者。

 身近な者を守るために、傷つけようとするものを倒す者。

 自分の意志を貫くために、障害となる罪人をを倒す者。

 まあ、こんなもんかな。」


だが、流治は何か違和感を感じた。どれも、正義ではない気がするのだ。

自分の正義とは何か。考えはじめる。

男はそんな流治を見ながら、笑みを浮かべ、黙ることにした。


(秋姉は、おそらく、目の前の大切な者を守ることが正義というかな。

 信兄は、おそらく、他人に迷惑をかけない行動かな。

 六花は、おそらく、う~ん。弱い人・困っている人に手を差し伸べることかな。

 自分の正義?正しい行動?正しい意志?倒すのは結果だと思う。

 できれば、殺したり、衝突したりするのは避けたい。

 自分は弱いから、何もできないし。

 そうだ、自分には、いろいろな意見を聞ける魂たちがいる。

 そうだ、正義とは!)


「どんな状況であれ、自分が後悔しない正しい行動ができることかな?」


(どんな世界でもやはり俺は俺ということか。)

 

「ふっ。また、ずれた回答だな。だが、悪くはない。

 では、どうすればいいと思う?」


「魂たちの意見を聞き、自分の意見と統合して、納得のいく行動をし続ける。

 悩むぐらいなら、行動しない方がいい。」


「ふふふ。悪くない。では、ご褒美を上げよう。右手を前に。」


疑問をいただきながらも手を前に出す。


「これより、俺の経験と魂たちの使い方を俺の魂とともに渡す。

 耐えて見せろ。統合されれば、お前と俺は同一になり、

 他の魂たちとともにお前を支え続けよう。」


そういって、目の前の男が握手をするように、右手を握る。

そのとたんに、体にものすごいエネルギーが駆け巡る。

たまらず、流治は声にならない叫び声をあげる。


気づくと、男は消え、膝と両手をついて、息を整えていた。


<どうだい。俺の経験は?>


「ああ。ものすごいな。これが、大人が行っている思考なのか。

 ただ、純粋なだけでなく。駆け引きをしつつ行うこれが。」


<できそうか?いや、できないと困るのだがな。>


「できるとも。能力の使い方も分かった。できないとは言わない。」


そして、これにより、流治はいわゆる思春期をすっ飛ばす形で、

大人の思考へと変わることとなった。


退院するときには、すでに別の存在とは言っても過言ではない変化が

流治の中で起きていた。



信「これが、流治の秘密・・・。」

紅「えっと・・・。あ~。うん。」

ーひらひらー

<次回は秋姉回!!>

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