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終末から始まる物語  作者: 風間流治
裏世界の流治
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裏世界旅行記⑧

「で、だ。戻ってきたわけだが・・・。」


(ここは流治の中に戻り、流治本体のみで動くべきでは?)


「そうだな。被害も最小限になるだろうし。迷ったら面倒だ。」


「なら、あそこに降りよう。」


そういって、流治は下に広がる靄との境界のちょうどいい木造の建物を指す。


「ああ。ちょうどいいな。」


そういって、全員で降りると、建物に入る。

こじんまりした小屋の中には布や裁縫セット、バックなどが置かれていた。


「誰か住んでいるのか?」


「それにしては、生活感がないよ。物置ぽくない?」


「確かに。まぁいい。うん?」


そういって、少し奥へ入ったエンデの顔に何かが張り付いた。


「って。なんだ。」


顔に張り付いたそれをひっぺがし、見るとそれは、小さいくまのぬいぐるみだった。


「くま?なんだ?まあいい。「固定」。」


エンデは、とりあえず手を出せないように空間に固定しする。


「倒したの?」


「いいや。ガーディアンっぽいし、一時的に動けないようにしただけ。

 面倒なことになる前に、さっさと行こうぜ。」


そういって、全員が流治の中へと入る。


(うっし。OKだ。行くぞ。)


「うんじゃ。行くかね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「で、どっち。」


(おう!そうだな。うーんとな。とりあえず、力が強いのはー。よし、ちょい右。

 よしよし、その方向で真っすぐ。・・・)


エンデのいう通りに、白い靄の中を進んでいく。

すると、何かを通り過ぎた感じを受けると、目の前の景色が一気に変わる。


「これは。」


(さながら果樹園だな。ぶどう、りんご、エトセトラ。不用意に近づくなよ。

 どれもこれも、力をもっているものだからな。

 だが、普通の野菜とかが見当たらんなー。人いるのか?

 うーん。お、いるな?えっ?!)


「エンデ?」


(いや、まさか。なんでだ。いるわけがない。)


「エンデ!」


混乱しているエンデに小声で呼びかける。


(ああ。悪い。)


「どうした?」


(反応があるにはあったんだが、それが六花に近いんだ。)


「はぁ?いるわけないでしょ。」


(だよなー。なんでだ?)


「取り敢えず行ってみよう。」


(それもそうだな。えっとー。うん。ちょい左。そうそうそのまま。)


再びエンデの指示に従い、木々の間を進んでいく。

すると、女性の姿が見えてくる。


「すみませ~ん。」


声をかけられた女性はビクッとすると、

恐る恐る流治の方に顔を向けた。

すると一転笑顔になり、「レイく~ん!」といって流治に抱き着いた。


「えっ?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


抱き着かれた女性の案内で、住んでいると思われる小屋まで来た。


「えっとー。」


「あれ?私のことを覚えていない?」


「ええ。初めてお会いすると思うのですが?うん?うんん?」


そう、聞き返すが、流治には何となく目の前の人物に見覚えがある。


「ああ。あるけど思い出せない。そんな感じか~。美幸だよ。レイ君。」


「美幸?」


その名前を聞いて、流治は記憶をたどる。

いつか見た過去の記憶で、同じ名前の女性がいた。

そしてそれは自分の殺した妻だった。


「えっ?なんで?」


「あ~そうか。そうだったね。私はお姉さまに教えてもらったけど、

 あなたは幸せだったときの記憶は消えちゃったんだっけ。そうか。そうだよね。

 愛していたけど殺してしまった人が目の前にいたら、混乱しちゃうか。」


「ごめん。」


「いいの。でも、あなたを恨んでいないの、それよりも、

 今度の人生もあなたと幸せに生きられたらいいなと思っているのよ。

 急に、こんなこといわれてもこまるよね。」


「いや、うれしいんし。記憶がない時期の人生が幸せならいいだけど。

 まぁ、少し混乱している。」


二人の間に気まずい空気が流れた。

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