ゆがむ世界
「ちっ!これが放置していた結果かよ!」
悪態をつきながらも流治は周囲の天使やら悪魔やらを切り裂いていく。
「管理者を名乗る愚かなる子供よ。消えろ!」
12の翼をもつ異形の天使が光の奔流のような魔法を使う。
「無駄だ。呑み込め。」
そういった流治の周囲に影の刀が集まり。光を飲み込む。
「あー面倒だ!」
そう、叫んだ流治の正面には、白いお面をかぶった黒く背の高い異形や、
目だらけの異形、目が深い闇の人間やら、妖怪や怪異、
お化け、都市伝説を実体化したような存在がわらわらとあふれた。
「フフフ。真なる管理者より貰ったこの軍勢をもって、表を支配してやる。」
「だー!そんなことさせっかよ!」
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「あー。平和だ。体調もすこぶる良い。」
流治は一年前のあの忙しさを思いながら、部屋でそんなことをつぶやいた。
一年前、同級生と異世界へ行き、邪神となった管理者を倒す戦いをした。
その後、その世界のお姫様がこっちの世界に留学するというイレギュラーはあったものの、
本人も約半年で、学校にも師匠の家での生活にもなれていた。
そして、六花の魔道具により、手紙のやり取りを行えるようにし、
親との関係も修復されたようである。
「流。そんなこといっているけど、ホームステイの用意は大丈夫?」
そう流治はこの夏休み、カナダへホームステイを行うことになったのである。
たまたま、学校内で申し込みがあったため、点数稼ぎと見聞を深めるために、
申し込みをして、選考を通ったのである。
「あー。問題ない。宿題も今回はもう手を付けたし、
自由研究も後はまとめるだけ。持っていくもののチェックも住んでいる。」
「そう。ならいいけど。」
「だが、今、一つだけ不安がでてきた。」
「何?」
「またどっかに飛ばされたときはどうすればいい?」
「それは・・・。ふぅ。まあいいわ私に連絡しなさい。代わるわ。」
「イエスマム。」
「ふ~。そういわれるとそんな気がしてくるわね。
いつもいつも問題は夏に起きている。
もしくは冬かしら。まぁいいわ。備えるのは悪くない。」
六花はあきらめ顔で、そうつぶやき、リュックに荷物を積める。
「パスポートは?」
「あるわよ。この間の冬休み、北河の家と一緒に
シンガポールに旅行に行ったばかりでしょう。」
「そうだったな。」
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<ここが、基点であり起点である可能性の世界、か。
確かに生命体の成長がうまいこといっているようだ。>
不定形な形をした闇のような存在は竹藪の中をフヨフヨと浮きながら時折、
地面に触手のようなものを刺し何かを読み込んでいた。
<主はだれじゃ?>
『!下がれ榊!こいつはまずい!』
<ほー。悪意、か。だがこれはー。使えるやもしれん。
もらい受けようか。>
『ちっ!』
偶然そこにいた榊と『嫉妬』は、突然相手の触手の奔流の攻撃を受ける。
しかし、榊は自分と触手の間に空間を生み出し、突破されないようにし、
『嫉妬』はその力で、触手同士をぶつける。
『くっ。持たない。』
<落とす。>
そう、榊がつぶやくと異形はすーと姿が薄くなる。
<これはこれは。む、仕方ない。>
そういって悪あがきとばかりに触手をさらに伸ばす。
それを二人は済んでのところで、よけるが、少し掠ってしまった。
<ふむどうにか、一部はコピーできたか。>
そういって、異形は完全に消えた。
<あれは何じゃ。>
『邪神ってやつに近かったきがするな。こりゃ、世界が荒れるぞ。
まぁ。どうでもいいがな。俺らは、戻れるかどうかの方が重要だしよ。』
<それもそうじゃな。>
そういって二人は再び、通常空間に戻るための思考錯誤を始めようとして、
ふと異質な気配を感じた。
<これは・・・。>
『随分と良いもんをもってるやつがきたな。』
それは流治と六花がコピーした、例のあの勾玉と鏡の気配であった。
『げっ。こいつは。』
<風間のか。だが・・・。>
『仕方ねぇ、か。』
<そうじゃな。戻れるなら、封印もやむなしかもしれん。>
そういって、二人は空間の狭間に鏡と勾玉が触れた瞬間に、
榊は鏡へ、『嫉妬』は勾玉に憑依した。




