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嫌われ者の末路

 俺は会社の中では絵に描いたように分かりやすい完璧な嫌われ者のモデルだ。


 モデルと言ってもスタイルが良くてファッションショーにでるモデルではない。


 みんなは気が付いていないと思うが実は俺はわざと嫌われていることをしているんだ。


 そうすることによって会社に俺の存在意義……、わかるかな?もっと簡単にいうと自分の居場所を作っているんだよね。


 こんな感じで難しい言葉を使ったりなんかして自分自身を偉く見せて、「俺って凄いだろ!」感を出しているのも計算の一つなんだよね。


 陰でコソコソと俺の悪口や影口をたくさんの人達が叩いているのはもちろん知っている。


 俺自身もその三倍は悪口や影口を叩いているのでお互い様だよね。


 それに俺はいちいちそんなことは気にしていないし、別に好かれようとも思っていない。本音をさらけ出すと会社のみんなには好かれたいし、慕われたい。本音を言うとね。


 けれども、もう無理なんだ。信用を得るには一生、信用を失うのは一瞬というから時すでに遅しだよね。


 もう一度始めから新しい環境でスタートしようかと思っているんだけど、実際思っているだけでズルズルと時間だけが無情にも過ぎ去ってもうこの会社に出世もせずに十年もいる。


 多分というか、このままこの会社にいても出世どころか下手するとリストラにも合うかもしれない。


 そんな不安とストレスで最近は一日に五回以上は下痢ときどき血尿さ。まだアラサーなのに体は五十過ぎ並の体力で目も焦点が合わなくなってきて限界だよ……。


 自業自得と言えばそれまでだけど、結局は俺に運と学習能力とその他もろもろの実力がなかっただけだ。ほとんど全滅で自分のことながら本当にイヤになるよね。


 けれど、こんな俺でも付き合ってくれる友達や彼女はいるんだ。それだけでもまだ救われる。もし、この人たちがいなくなったら俺の人生はもう終わりだ。


 しばらくタバコをくわえて放心状態になっていると一つの素朴な疑問が頭によぎった。会社のみんなに嫌われている俺にあいつらはなぜ付き合ってくれているのか?という一つの疑問だ。


 俺はタバコを吹かし、今までの人生の中で一番考えた。考えて考えて、途中でゲロを吐きそうになっても我慢して、下痢も少し我慢して考えた。


 数十分経っても答えは見つからず意を決して俺は彼女に電話をして聞いてみた。


 「もしもし、俺のどこが好きで彼女になったんだ?」


 すると彼女はこう答えた。


 「え? 彼女だったの?」


全員に好かれることはないが一人の人にも好かれるとは限らない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 結末にジョークが効いていて面白かったです。あと主人公とは性別が違う私でも、彼の暗さが共感できました。短編なので読みやすかったです。 [気になる点] 主人公が最初からネガティブなため話に入り…
2016/02/08 15:32 退会済み
管理
[一言] オチが痛快でした!笑
2015/12/04 09:48 退会済み
管理
[良い点] 暗い話だなーと思って読んでいたら、オチで全部もっていかれました(笑) [一言] お気に入りユーザ登録させていただきます
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