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P03鳥にはかならずピーコと名前つける!!

「リンゴ」


メリーは一言呟き、イスに黙って座り正面に座っているロリーの答えを待った。


「ゴリラ」


ロリーもメリーと同様に一言呟き、余裕の表情を見せ、メリーを指差した。

まるでメリーがゴリラと言われている様でメリーは気に食わなかった。

(何が何でも…絶対にロリーに勝ってやる!!)

メリーはきつくロリーを睨んで次の言葉を頭の中から探し出した。


「ラ…ララララ…」

「ほら…百獣の王でいるじゃん」


ロリーはいやらしくメリーに笑いかける。


「あ!!!ライオン!!!…………ぁ」


メリーは自分が発した言葉に心底後悔し、頭を抱え込んで机に伏せた。

一方のロリーはその一言を聞いた瞬間頬がゆるみ、メリーの正面で大げさに笑って見せた。


「フハハハハハ!!!愚民がッ!!今回も『しりとり勝負』私の勝ちだな!!フハハハハ!!見ろッまるでメリーがゴミのようだ!!!」

「畜生…!!ガッデーーーーム!!!」


メリーは机に伏せたまま悔しそうに拳を机に何度も叩いた。

そう、この姉妹は『しりとり』で勝負していたのだ。

もっとも勝負は毎回決まっていてロリーが勝っていた。そもそも『頭』でロリーに勝とうとすること自体無理なことである。

メリーは悔しそうに呟く。


「『ライオン』ではなくて…『ライオン』なんかじゃなくって…『ラッカセイで鼻を詰まらせて窒息死しろ…ロリー』って言ってやるべきだった……」

「もうすでに一言ではないじゃん!!だったら私は『リスの持っているクルミによって頭叩き割れてしまえ…メリー』だよ!!」

「無理ですぅぅぅうう!!根本的に無理ですぅうううう!!クルミで私は死にませ〜ん」

「うぜー(小言で)だったらラッカセイのほうも無理あるけどぉおお?むしろラッカセイを鼻に詰まらすって…どんなバカしたんだよ!!」

「それは…だね…あれだよ…チュドーーーンとなってギュンで…ブンブンブン…」


メリーがロリーに言い返せずに反論を考えている時だった。


――ピンポーーーン


小さな部屋に音が響いた。



目口目口目口目口目口目口



「は〜い!!こちらevery屋で〜〜〜す」


メリーが満面の表情でドアを開けて向こうの相手に挨拶をする。

この姉妹がチャイムが鳴った時、それは依頼が来た印だ。


「あぁ、本当にevery屋って存在したのね…よかったわ…クク」


ドアの向こう側の女性は嬉しそうに呟くと、正面に立っているメリーとロリーを見た…瞬間、苦虫を噛んだような表情になる。

(まだ…子どもじゃない)

女性は小さく舌打ちをした。


「え〜っとおばさ…」


メリーがおばさんと言おうとした瞬間慌てて隣に立っていたロリーが手でメリーの口を塞ぐ。

以前依頼人がたずねてきて、メリーの一言で依頼を消された以来、ロリーは人一倍メリーの言葉に気をつけていた。

しかし、目の前に立っている女性は目にはサングラス、口にはマスクと顔さえ見えない状態でましてや年齢が分からない。

そして女性の右手には大きな四角を持っていたのだが、上から黒いふろしきがかけられていて中には何が入っているのかとうてい見当もつかなかった。


「every屋に依頼されるのは始めてですか?」


ロリーはすこしも嫌な顔を見せずに相手にニッコリと微笑んだ。

ロリーの手の中ではメリーが苦しそうにフガフガともがいている。


「ええ、そうですわ」

「そうなんですか。では…さっそく依頼について聞きましょう」


ロリーは片手を差し出して、女性を部屋に入れる。

そしてロリーは近くにあったガムテープでメリーの口を塞いだ。


「フゴフゴフゴ(この鬼畜―――!!!)」

「とりあいず黙っていろ。いいから黙っていろ。ラッカセイを鼻から詰められていても黙っていろ」


そう告げるとロリーは低い小さな声で「今回はけっこうな大物かもしれない」と頬をゆるましてメリーに呟いた。

メリーは目を大きくして何か言いたげに口を動かしたが、ガムテープが邪魔して結局フゴフゴ言うしかなかった。


女性は既に奥の皮のソファに腰を座らしていた。

メリーとロリーの部屋は小さいがしかし中はとても綺麗で高級感のあふれる部屋であった。

これも、ロリーがお客様に不快な思いをさせないように考慮した部屋のスペースである。


「なかなかいい部屋ね」


満足そうに女性は皮でできたソファをなでた。


「ありがとうございます」


ロリーも満足そうに微笑むが心の中では当たり前だろうと思っていた。

(人間の約90%の性格、考えを考慮してデザインした部屋だからな)

ロリーは心の中でフンと鼻を鳴らした。

隣にいるメリーはそれが分かったようで「嫌なやつ」とガムテープで塞がれている口をフゴフゴと動かす。


「そうそう依頼の件なんだけど、単刀直入に言わしてもらうわ」


女性は隣に置いてある大きな四角の箱の黒いふろしきを手にすると…


空に大きな弧を描いて、ふろしきが取られる。

中身は…カゴだった。そう、ちょうど…鳥を飼う鳥かごみたいなものだ…。


「ピー、ピ、ピヨピ、ピーちゃん」


中から高い声が聞こえてきたのと共に、ひょっこりと頬が真っ赤で可愛らしいオカメインコが顔を覗かせた。

ロリーとメリーは目が点である。


「え…えと、これは…」

「依頼はこの子を預かってもらいたいの」

「はい?」

「フゴ?」


二人は同時にマヌケな声をだし、顔を合わせて首をかしげた。


「でもただ預かってもらうだけではないわ。この子がしゃべった『言葉』を調べてもらいたいの」

「は…はぁ…いいですが、依頼完了したら報酬の方は?」

「500万でどう?」


女性は足を組み、余裕の表情で二人に笑う。

(500万!?!?)

二人は再び顔を合わして、同時に頬をゆるませる。

ペットを預かるだけで500万とはなんともおいしい話だろう。


「もちろんですよ♪私達はその鳥さんが発する『言葉』をメモすればよろしいのですよね?」

「そうよ」


ロリーは両手を擦り合わせて相手の依頼を再度確認し、心の中で舌をなめた。

メリーもご機嫌な様子で鼻歌を歌いながら、カゴを持ち上げて中にいるオカメインコを嬉しそうに眺めていた。

女性は腰をあげると表情の読めないサングラスで二人を見て淡々とした口調で言う。


「期間は一週間でお願いするわ」

「えぇ、了解です」


ロリーは女性に今まで見せたことがないほどの笑顔でニッコリと笑うと丁寧に一礼した。


――バタン


女性は立ち去った。

部屋には女性が立ち去っても尚、微笑が絶えないロリーとご機嫌この上ない様子で鼻歌を歌っているメリー、そして残されたオカメインコだけだった。


「おっしゃ!!!」


メリーは女性がいなくなった瞬間、邪魔だったガムテープを口からはずして心の嬉しさを単純な一言でまとめ、片手を天井に上げた。


「フ、フフ、フハハハハ!!見ろッメリー!!こんなオカメインコに500万だなんて…まるで500万がゴミのようだ!!」


ロリーは大げさに笑ってみせ、そのまま倒れるようにしてソファに横になった。


「まったくだよな!!オカメインコの『言葉』を調べるだけで500万…うひょ〜〜〜い♪」

「でも、あの人すこし変だったな。私達のことも知っていたし…『裏』ルートからかな?」

「ま、いいじゃん。とりあいずなんでも依頼を受ける…それがevery屋じゃん!!それがたとえどんなことでも…」

「そうだね。ってかメリーらしくもない…そんな言葉を言うなんて…ガムテープのせいか?」


ロリーは意地悪そうにメリーに笑いかけた。


「フ…500万のせいかもな」


メリーの瞳は遠い向こうを見ていた。


「はは!!そうにちがいない!!」

「まぁね」


ふと隣を見るとオカメインコが首をかしげて、まるで何いってるの?と言いたげな顔で二人を見ていた。



目口目口目口目口目口目口



――その深夜


ロリーとメリーが寝ているときである…。


「ピ、ピヨピ、ピーちゃん、ピッ」


オカメインコは深夜一人でしゃべっていた。


「寂しい、ピッピピ、寂、寂し、寂しい」

「ピピヨピ、愛、愛、アイ、求む、求める」

「ピピピピピー!!!!ピーちゃん愛、求め」

「ピッ、おじいちゃん、おじいちゃんは?」

「ババババババババババババッバババッバッバババババーーーーン!!!ピ、ピピ!!!」

「ピッ、ピーちゃんおじいちゃん求め、求む」

「ヒヨ、おじいちゃん、おじいちゃん助け、助け求め」

「おじいちゃん、おじ、おじいちゃん、しゃべらないピピ」

「女の人、女の人、危険」

「ピー、ピッ、ピーちゃんは許さない」


「ピピピ!!ジジジジジジーー!!」


「ピッピピヨ、ピーちゃん」


目口目口目口目口目口目口

ここまでお読み頂きありがとうございます!!+゜

いやァ…姉妹は本当自己満足で書かせていただいています…;もし、文章や変なところがあったら、遠慮しずに指摘してやって下さい…;

でもでも本当気軽に書いているので、楽しいです…(・∀・)

さてさて、オカメインコのピーちゃんの謎は…!?

深夜に発せられた、あの意味不明な言葉の意味とは!?!?

そして…ピーちゃんと怪しげな女の人との関係は!?


次回予告


P.03鳥のオス、メスの見分け方がわからん

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