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七十八話・挑戦

  

 一平とリリト、マギャポ将軍、イムヨウ(超能力師グループ)選り抜きのスーパーシックス(念動力師のサルマ女史、透視力師ムンボポ青年、幻影師ムーザ、予言・先見師タルコスマ翁、催眠術師トンハル、他心通師アザエール)そして、情報作戦部長ボッチョ・マコ等の情報担当員で固められた夫々のエキスパートがラッサ空港に結集した。


 牧野は水晶髑髏と宝杖ムラクムを引き渡し、自らの紅水晶勾玉を手ずから一平に装着する。

 「居直った一平君は天下無敵や!」


 「豚も煽てられりゃあ、木に登る。行ってまいります」


            … …      … …


 護衛戦闘機を供に、一行を乗せた大型高速飛行艇は、四時間でヨミシャセのミナカムイに到達する予定だ。


 「三次元飛行は仰々しい上に鈍くさいので、旅行って感じになるわね」

 リリトは一平とイムヨウを相手にワインを飲んでいる。

 (マッハ四が鈍くさい……?)


 「お聞きしたいんですが、何故にエムを手元から放してヨミデスに帰したのですか?」

 一平はエムを帰した疑問をリリトにぶつけた。


 リリトの大きな瞳が潤んだ。

 「彼はリリトの命の引き換えにバクロドンに情報を流していたの。勿論、我の命をバクロドンが掌握しているなんて嘘っぱちよ。結局、我を窮地に追い込み、VIPの死と共に分身とも言えるダフをも失った。普通なら処分ものなのだけど、温情で、テラ(飼い主の元)からの追放となったの」


 リリトに関しての諸々の事情とやらが解せた。


 「でも、行くのは、それだけじゃないのよう。暴力と悪が支配する闇の世界。其処に颯爽と乗り込むカッコいいヒロインってわけ。

 それと、イッペイと寝食を共にするのも楽しみなの」リリトはウィンクした。


 「その辺は御期待に添えるか、如何か……」一平は顔を赤らめた。


 女王は立ち上がった。

 「皆に言って置くが、我を女王とか陛下と呼ばないで!」

 一杯入った女王は意気軒昂である。


 「何とお呼びすれば宜しいのですか?」

 側らにいた巨漢のハンサムガイが尋ねた。


 「リリトかリリィで結構よ。ところで、素敵に逞しいけど、貴方は何者?」


 青年は女王の前に跪き頭を下げた。

 「透視力師として参加した格闘家のムンボボと申します。今回は憧れのリリト女王に御一緒できて感激です」


 「憧れているって?」

 「熱烈な陛下のフアンです」


 リリトはムンボポを上から下に舐めるように見て言った。

 「なら、我の私的秘書に成って頂けない?」

 「陛下の私的秘書に?」

 「その素敵な体力を生かし、ボデイガードは基より、我の身の回りを仕切って欲しい」

 ムンボボは顔を上気させて「身に余る仰せですが、僕の身柄はトーラ軍の管轄にありますので……」と、マギャポ将軍を見た。


 マギャポは肩を竦め「治外法権の人事は司令官殿だ」と、一平に振った。


 マギャポはトーラ軍制改革の二人三脚以来、上司であった若い一平を今だに司令官と敬意を込めて呼んでいる。一平にとってもマギャポは、歳の離れた兄のような、テラの心許す数少ない友人の一人だ。


 「ムンボポ殿さえ宜しければ」一平はホッとしたように笑った。



 一平は歓談の輪から外れて機外を眺めている先見師のタルコスマ翁に大任の成否を問う。

 タルコスマはさらりと答えた。

 「最初の関門をクリアすれば、OK」


 一平は暫し問うのをためらったが、予ねてから不安を感じている自らの先行きについて尋ねた。

 「ミッション後の自らの見通しが空白と言うか、何も浮かばないのですが?」

 「ゴンガ・ラーマ個人の未来を知りたいと?」

 「是非とも教えていただきたい」


 タルコスマは、言葉を濁した。

 「公的な、人類、世界、などに関するならともかく、個人的な事柄には答えるべきではない」


 「……私の運命は今回の使命に大きく関係します」

 一平は食い下がった。


 予言師は不承不承に告げた。

 「宿命的に、……使命の成功と一平殿の死が不可分となっています」


 「使命の旅が成功すると、私は生きてはおれないと言うことですか?」

 「使命が不成功ならば、死ぬことはありませんが……」


 「予言の的中率は?」


 「運命は状況により変化しますが、宿命に関して外れません」


 早かれ遅かれ、死は誰にでも訪れる。覚悟を決めていたはずが、自らの意外な不覚悟に動揺を覚えるのだった。


 ヨミシャセのミナカムイ空港着陸まであと三十分、突然艇内に緊急警報が鳴り響いた。

 「竜船出現!戦闘配備につけ!」イムヨウは直ちに幻影と撹乱をもって対応する。


 竜船は瞬く間に護衛戦闘機を撃墜した。


 公国の飛行艇は竜船の呼びかけに応じ、直ちに投降の意を表す。

 「もう降参か?」マギャポの呆れ声に船長は首を竦めた。


 「とても、歯の立つ相手じゃありません」


 竜船から指令が入る。

 「女王とイッペイ殿を我が船に転送しますので、御準備のほどを!」


 しかし、転送の準備が整う間もなく、威嚇のプラズマ射撃と共に、神人の操る神艦が忽然と出現したのだ。

 竜船は一戦も交えず、トーラの飛行船を其のままに遁走する。


 なんと、神艦からモルモネのテンションの高い声が伝わって来た。

 「あんた等には隙だらけで呆れちゃう。困った時はモルモネ様頼りぞなもし!帝王学のため、神人に同乗しているんで、頼りにしてよネ」


 そして、モルモネは「髑髏の発信力がイマイチ弱く、不安定なので、増幅装置を兼ねたキンキラキン飾り収納神輿櫃を転送するので、移動する際には常に掲げているように!」と、指示して来る。


 タルコスマが一平を見た。

 「第一関門がクリアされたようです」



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