30分の地獄
赤の星雲。「ルミナ」艦隊内の民主的な話し合いは、戦場で許されない30分の遅延を生んでいた。
艦長アイリス・ラフィエルは、夜明け前の空のような銀髪のショートボブを揺らさぬよう、白と青を基調とした格式高い艦長制服をビシッと着こなし、苛立ちから戦術マップを叩く。
「まだ決まらないのか!右翼陽動、左翼防御で意見が割れたまま、デッドラインは迫ってる!」
(誰か早く議長を黙らせてくれ!この間に敵が来るぞ!)
副官ユリ・フォン・ステインは、漆黒の髪をきっちりと編んだ三つ編みにまとめ、知的な銀縁のメガネの奥の目を細め、冷徹に報告する。
「艦長。増援要請は本国議会の承認待ち。現在の増援確率はゼロです。私のチョコの在庫もゼロです。この非効率さが…」
操縦士カイ・リヴァーンは、土のような茶髪の短髪で、粗野なTシャツの下で盛り上がった筋肉を持つ屈強な体躯を震わせ絶叫する。
「地獄だ!早く選べー!話し合いで沈むなんて冗談キツイ!」
その時、衝撃波が艦橋を襲う!
「敵影!帝国エース、アリウスが単機で突入!」
ホログラムに映る帝国エース、アリウスは、まさに超帝国の美意識を体現したような人物だった。
陽光を浴びたような見事な金髪は、完璧に後ろへ撫でつけられ、優雅なウェーブを描きながら肩にかかっている。顔立ちの均整は芸術的だが、その澄んだ青い瞳には冷酷なまでの無関心が宿っている。
彼が纏うのは、深い黒と血のような赤を基調とした、華美な帝国軍服だ。高価な刺繍が施され、無数の勲章が胸元で輝き、絶対的な権力とエリート主義を誇示している。




