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プロローグ
赤の星雲の予兆
赤い霧が銀河を染める――「赤の星雲」。
そこは、光と影、秩序と混沌が交錯する戦場だった。
帝国の旗を背負い、銀色の縦ロールを揺らす女王――ルナリア・ヴァレンティア。
その瞳に映るものは、宇宙の塵にすぎない人間たち。冷たく、静かで、しかし容赦のない裁きが迫る。
そして、最前線の旗艦「ルミナ」。
最年少の銀髪艦長アイリス・ラフィエルは、まだあどけなさを残す顔に決意を刻みつけた。
彼女の小さな体は、数百万の命を背負う重圧に震えている。
だが、彼女の心には信念がある――
「星が叶えるもの。それは、私たちが望み、そして守るものだ」
砲撃の閃光が赤雲に反射する。
交戦まで、残りわずか――運命の歯車は、今、銀河の深淵で回り始めた。




