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ルナ&ソレイユ ⑦ 重なり合う、月と太陽  ~ 宇宙の神秘が 奇跡を呼ぶ! 二人の心とチカラが 今 重なり合う ~

物語概要)

謎の敵ディザスターから地球を守る、月と太陽の戦士 ルナ&ソレイユ の友情物語


主要キャラ)

挿絵(By みてみん)

ルナ =上月こうづき あおい 15歳 

月のチカラを託された超能力少女。

(ソレイユと同じ)シェアハウスに住み、同じ学校に通う、夜型の少女。


ルナの超能力)

月のチカラ(重力と月齢)を操り、津波などの天変地異を起こし 敵を駆逐する。

力の使い方を誤れば、人に被害を与えてしまう。それでも構わないと考えている。


ルナの必殺技)

ルナクラッシュ‥‥月の重力を変化させ 地球との距離を変え、天変地異を起こす。


ルナの弱点)

新月の日は、チカラを発揮できない。



挿絵(By みてみん)

ソレイユ =日向ひゅうが みなみ 15歳 

太陽のチカラを託された超能力少女。

(ルナと同じ)シェアハウスに住み、同じ学校に通う、朝型の少女。


ソレイユの超能力)

太陽のチカラ(日差しと黒点活動)を操り、熱波寒波を引き起こし 敵を駆逐する。

力の使い方を誤れば、人にも被害を与える。それは絶対したくないと考えている。


ソレイユの必殺技)

ソーラーシフト‥‥太陽黒点活動を操り、ニュートリノ―量を左右し、敵を倒す。


ソレイユの弱点)

日没後は、チカラを発揮できない。


両者に共通の弱点)

日没後で、しかも新月の時は、ルナもソレイユも、チカラを発揮できない。



その他のキャラ)

星野 ツカサ 15歳

古代マヤの旧人類の子孫で、火星の意志に肉体を乗っ取られたエスパー。

謎の敵:ディザスターの使徒。葵と南が通うスクールに 転校して来る。


紺野シュウジ 29歳

ルナソレイユが住むシェアハウス「ラルク」の管理人。

第七話 重なり合う、月と太陽

挿絵(By みてみん)


荒涼とした大地から、突き出た二本の腕。


それは、火山獣と雹獣にり生き埋めにされたルナとソレイユの

腕だった。二人は遠のく意識の中、最後の力を振り絞っていた。


その日は新月だった。だが、同時に、皆既日食の日でもあった。


その時、地上に、神秘的な光が降り注いだ。皆既日食が終わり、

太陽の光が月の縁から漏れ出す、金環日食の光だった。


ルナの指に輝くアクアマリンが、光を受け、瑞々しく輝いた。

ソレイユの指で輝くトパーズも、光を受け、情熱的に輝いた。


二人の体は、土中に埋もれたままだったが、月と太陽が重なり

合った瞬間、共に地上に突き出た左手の指輪から、皆既日食の

神秘の光エネルギーが、二人の体に流れ込んだ。


ボロボロになったルナとソレイユの体に、ゆっくりとチカラが

満ちていく。二人は、徐々に、しかし確実に、生命力が蘇って

いくのを感じた。


大地から突き出た二本の腕の指先が、ピクリと動いた。



一方、

火山獣と雹獣を従えて、近くの高台に立つ司は、火星開発総合

センターから、生き残りの職員たちが、建物外へ出てくるのを

冷たい目で 見つめていた。


司は、傍らの火山獣と雹獣に、静かに命じた。

(もうすぐだ…全員が外に出たら、雪崩と溶岩で葬ってやれ)



その時だった。センターの彼方の大地が、微かに光ったのは… 。


その場所に、二人の少女が倒れていた。ルナとソレイユだった。

二人の体は、すでに地上に露出していた。


ルナは、立ち上がり、全身の泥を手で払った。


ソレイユは、眩しそうに目を開き、半身を起こして言った。


「私たちは、まだ 戦える」



ソレイユは 立ち上がり、ルナに手を差し伸べた。


「今こそ 私たちのチカラを、すべてぶつけるのよ …… 月と太陽の

チカラを重ねる、『エクリプス・ピュリファイ』よ!」


「でも、今、その技を使ったら、ソレイユ、あなたの体は……」


ルナは、その技の恐ろしさを 知っていた。

太陽の力は、月の力と合わさることで、増幅される。だがそれは、

ソレイユの生命を著しく削る、究極の技だった。今のソレイユの

コンディションでは、この大技には耐えられないかもしれない。


「やるしかない…… 地球も 人類も 救うには、他に 手はないわ」


ソレイユの目は、一点の曇りもなく、強く輝いていた。


ルナは、そんなソレイユの目を見て、言葉を失った。


(なんで、そこまでできるのよ……)


ルナは、いつもソレイユのことが気に食わなかった。明るく、

正義感が強く、誰からも好かれる。自分に無いものをすべて

持っているソレイユが、眩しくて、もの凄く劣等感を感じた。

だからこそ、高飛車に、冷たく、ソレイユを突き放してきた。


だが この瞬間、ルナは、そんなこれまでの感情を捨て去った。

ソレイユの真っ直ぐな瞳に、ルナは、心から感動していた。


「分かったわ…… エクリプス・ピュリファイを使おう」



火星開発総合センターの前では、数百名の職員が整列していた。


「これで全員か?」 司が、高台の上から 尋ねた。


「そうです」 センター長と思われる男性職員が応えた。


「そうか…… では、火星からの贈り物を、受け取ってほしい」


司は、火山獣と雹獣に 冷酷な笑顔で、全員の抹殺を命じた。

「やれ!」



その時、司の頭上から、まばゆい光が降り注いだ。


「な、なんだ!?」 司が上空を見上げた。



上空に、ルナとソレイユが居た。二人が重ねた左手の指輪が、

金環日食の光を反射して、どんどん輝きを増していく。


挿絵(By みてみん)


「エクリプス・ピュリファーイ!!」


月と太陽のチカラが重なり、光となって 火山獣と雹獣を包み

込む。二匹は浄化されるように、光の粒となり消えていく。


司は、その光景を信じられないという顔で見ていたが、やがて

自身も、傍らのスコルピオンと共に、光の中に消えていった。


二人のチカラと心が、重なり合ったからこその、勝利だった。


戦いは終わった。__________________________________________________




ソレイユは、技を使った反動で、その場に倒れ込んだ。彼女の

全身から力が抜け、意識が遠のいていく。


「…… ソレイユ!?」


ルナは、ソレイユの体を抱き起こした。彼女の頬を、涙が伝う。


「なぜ!? どうして!? いつも…… 無茶ばっかり!」


ソレイユの体を、ルナは抱きしめ 叫んだ。


「私だって本当は、ソレイユみたいに、誰からも愛される 人に

なりたかった……でも、なれなかった。いつも 限界を感じてた」


ルナの目から出た一粒の涙が、ソレイユの頬に落ちた。


死んだはずのソレイユの目が、静かに開いた。


「…… 私だって、いつも、いっぱいいっぱいだったよ」


ソレイユが、ルナに微笑んだ。


ルナも初めて、ソレイユに微笑んだ。


二人は、互いの心の内を、やっと 分かち合うことができた。



  ✻     ✻     ✻



いつもの日常が戻ってきた。


朝、シェアハウスの玄関で、葵と南が、いつものように

悪態をつき合っていた。


「ったく、トロいなー! 遅刻するよ、この冷血女!」


「うるさいなー、元気の押し売り! アンタこそ、いつも

燃えてて 暑苦しいよ!」


口喧嘩は、前と少しも変わらない。だが、二人の声には、

互いに認め合うような、以前と違う響きがあった。


そんな二人を、シュウジは、やれやれという顔で見送った。

飛び出して行く二人の背中に、彼は静かに呟いた。


「これからも二人で、この地球を守ってくれよ …… お願い

しますって…… ホントに」



朝の空に、太陽と月が輝いている…… まるで仲良く喧嘩する

葵と南を、笑いながら、見守っているかのように。







ルナ&ソレイユ 最終話、⑦ をお読みいただき、ありがとうございました!

ブックマーク登録いただけると、たいへん励みになりますので、よろしくお願いします。


これからも作品を書き続けていきますので、応援よろしくお願いします。

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