ルナ＆ソレイユ ➄ 星野司の秘密 ～ 地球人類の敵 ディザスターの使徒 星野 司の正体とは？ ～
物語概要）
謎の敵ディザスターから地球を守る、月と太陽の戦士 ルナ＆ソレイユ の友情物語
主要キャラ）
ルナ ＝上月 葵 15歳
月のチカラを託された超能力少女。
（ソレイユと同じ）シェアハウスに住み、同じ学校に通う、夜型の少女。
ルナの超能力）
月のチカラ（重力と月齢）を操り、津波などの天変地異を起こし 敵を駆逐する。
力の使い方を誤れば、人に被害を与えてしまう。それでも構わないと考えている。
ルナの必殺技）
ルナクラッシュ‥‥月の重力を変化させ 地球との距離を変え、天変地異を起こす。
ルナの弱点）
新月の日は、チカラを発揮できない。
ソレイユ ＝日向 南 15歳
太陽のチカラを託された超能力少女。
（ルナと同じ）シェアハウスに住み、同じ学校に通う、朝型の少女。
ソレイユの超能力）
太陽のチカラ（日差しと黒点活動）を操り、熱波寒波を引き起こし 敵を駆逐する。
力の使い方を誤れば、人にも被害を与える。それは絶対したくないと考えている。
ソレイユの必殺技）
ソーラーシフト‥‥太陽黒点活動を操り、ニュートリノ―量を左右し、敵を倒す。
ソレイユの弱点）
日没後は、チカラを発揮できない。
両者に共通の弱点）
日没後で、しかも新月の時は、ルナもソレイユも、チカラを発揮できない。
その他のキャラ）
星野 司 15歳
古代マヤの旧人類の子孫で、火星の意志に肉体を乗っ取られたエスパー。
謎の敵：ディザスターの使徒。葵と南が通うスクールに 転校して来る。
紺野シュウジ 29歳
葵と南が住むシェアハウス「ラルク」の管理人。
第五話 星野司の秘密
前回の戦いで傷ついた南は、病院のベッドで静かに眠っていた。
葵は、南の見舞いに行くことはしなかった。しかし、気になるので
病院が見える丘の上から、遠くから静かに南の様子を伺っていた。
葵の心の中には、感じたことのない、複雑な感情が渦巻いていた。
✻ ✻ ✻
夕暮れ時、星野 司は小高い丘の上に立つ、古びた城にいた。
彼の城は、古代マヤの遺跡を模したもので、
独特の紋様がそこかしこに施されていた。
「……無力な人間どもめ」
司は、ルナとソレイユの戦いを分析していた。
ルナが月のチカラを、ソレイユが太陽のチカラを増幅させて
戦ったことに気づき、彼は小さく嘲笑した。
「所詮は、借り物の力。そして、互いにいがみ合う愚か者どもよ」
司は、自身の腕に飼っているサソリを乗せた。
すると、サソリの瞳が怪しく光り、体がゆっくりと膨れ上がっていった。
それは、火星の意志を宿した守護獣、スコルピオンへと姿を変えた。
スコルピオンの背に乗り、司は南極へ向かった。
そこには、彼の遠い祖先、マヤ人が開発し、氷河の下に隠した
地球を冷やす装置『ダイアナ』があった。
南極の氷原に降り立った司は、巨大クレパスの中へ入って行った。
司は、跡を付いてくるスコルピオンに話した。
「僕の先祖は、高度な文明を築いたマヤの先行人類だった……。
彼らは高度な科学力で、環境を操る装置さえも創り出したんだ」
司の目の前に、氷塊から溶け出し、全貌が見え始めた環境制御マシン、
『アポロン』が現れた。司は、スコルピオンに話し続ける。
「このマシンは、万一、戦争が起きて、核の冬が来た時に備え、
地球を暖めるために造られたんだ……だけど、予想より早く氷河期が
訪れたため、一度も使われずに、先祖たちは氷河の下に隠したんだ」
司はスコルピオンに命じ、クレバスの外から、ルナに倒された火山獣の
残骸を、アポロンの前に運んで来させた。
「愚かな人類が、温暖化を早めたおかげで、氷河が溶けて、僕はこうして
アポロンを手にすることができたんだ……皮肉なものさ」
司は、アポロンを起動し、火山獣の残骸を再生、強化する作業を開始した。
作業中、司は冷ややかな笑みを口元に浮かべていた。
司は、孤独だった。_____________________________________________________
古代マヤの血を引く彼は、誰にも理解されない使命を背負っていた。
司にとって、現行人類は、地球を蝕む病原体でしかなかった。
火星の意志は、そんな司の心に共鳴し、彼にチカラを与えたのだ。
火星と司の、現行人類に対する評価は、完全に一致していた。
人類は自らの欲望のために、地球資源を食い潰し、次は火星にまで
手を伸ばそうとしている。だから、人類が本格的に火星への移住を
始める前に、火星の使徒、司の手で、人類殲滅を図るつもりだった。
南極での作業を終えた司は、次は、日本海溝の底へ向かった。
そこには、古代マヤ人が海溝深く隠した、もう一つの環境制御マシン
『ダイアナ』があった。この装置は、温暖化で地球の海が
深海まで温まってしまった場合に備え、海を冷やすため開発された。
司は、海溝の底に降り立つと、スコルピオンに命じ、先日ソレイユに
駆逐され 逃げ帰り、岩場に隠れていた雹獣を、マシンの前に運ばせた。
司は、ダイアナを起動し、雹獣を再生し、強化する作業を開始した。
「人類が、火星を食い潰す前に、僕がこの手で止めてやる！」
司の瞳には、人類への激しい憎悪と、使命感に燃える光が宿っていた。
✻ ✻ ✻
その頃、病院にいる南は、窓から夜空を見上げていた。
月が出ていない、新月の夜だった。南は、嫌な予感に襲われた。
「このタイミングで、敵が現れたら……マズい」
同じように、夜空を見上げる葵も、嫌な予感に襲われていた。
二人の脳裏に、同じ恐怖がよぎった。
新月で、しかも夜。
それは、ルナもソレイユも、本来のチカラを発揮できない、
絶体絶命の “魔の刻” を意味していた。
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物語は ⑥に続きます。どうぞ おたのしみに。
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