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2-3

さてこれで解決、と言いたいところだが。一応、両者の言い分を聞かねばなるまい。


セミリア様を訪ねた次の日、私はシャイアを自宅に呼び出した。


「ただいまロゼア。何か用があるって聞いたけど」

「セミリア・バグスカイ伯爵夫人のことだけど」

のこのこ現れたシャイアにピシリと告げる。

貴族らしい回りくどい表現は苦手なのよ! はいそこ脳筋言わない!


「ああ、彼女とは何もなかったよ」

「彼女とは?」

「ノーリーン・バグスカイ伯爵令嬢とは楽しい一夜を過ごしたけど」

「そう……」

うーんやっぱり手遅れだったのか。そんな思いが頭を過ぎる。


セミリア様が空蝉なら、ノーリーン様は軒端の荻になるだろう。

空蝉だと間違って光源氏と関係を持つことになった、外見的には魅力があるけど中身は空蝉より劣る女性、だったはず。

ひどい言い様なんだけど、確かにノーリーン様は新しいもの好きで派手な印象の綺麗系だ。

学園で一つ上に在籍していたから顔見知りではあるけれど、あんまりいい印象がない。

領地で育った子爵家や男爵家の令嬢相手に威張りまくっているのはまだわかるけど、「皇都育ち」っていうだけで同じ伯爵家の令嬢にまでマウントとっていたのは一体なんだったんだろう。


私、公爵令嬢だから関係ないけどさ。

流石はセミリア様に暴言を吐いたノーマン様の妹って感じ。


「ノーリーン嬢とは一度きりだよ」

「そんな事は聞いてないのよ」


なんであんなに真面目そうなバグスカイ伯爵からあの二人が生まれちゃったのかなー。


そしてバグスカイ伯爵になんて報告したらいいのよ? 

奥様には貴方にメロメロでしたしシャイアとはなんともありませんでしたけど娘さんは食べられてましたって? 

無理ですー。


「ノーリーン様とはもう連絡取らないの?」

「彼女も一度きりだと分かってる人だよ。それに恋人がいると言っていたしね」

いいのかなぁそんな軽さで。

結婚しているのに男性経験のない私には分からない世界だ。


「話はそれだけ?」

「セミリア様はバグスカイ伯爵の事が好きなんですって。だから手を出したらダメよ」


そう伝えるとシャイアはキョトンとしたあと口を開いた。


「勿論だよ」


抱きしめるまではしてるじゃん……。

なんでそんな常識を問われたような顔ができるの……。

もう私には分からなかったので、その日はお開きとなった。


翌日、バグスカイ伯爵には「夫人の言葉を信じてあげてください」とだけ伝えることにした。

娘さんのことはもう良いわ。

娘と言っても成人してるし、個人の自由の範疇でしょう。

多分。



それから年が明けて、最初の夜会。

ダンスタイムにて、仲睦まじくダンスを踊るバグスカイ伯爵夫妻の姿が見られた。


伯爵の瞳と同じ緑色のドレスを身にまとい、幸せそうに踊るセミリア様に対して、イヨルド様はタジタジになっているのを見てちょっと笑ってしまった。

家族愛を貫くのか、このまま恋愛という形になっていくのか。

それは今後の二人次第であり、よそ者の入る隙間はなさそうだ。


ほのぼのした気持ちで歩いていたら壁際から令嬢たちのひそひそ声が聞こえてきた。


「そうなの、あの社交界の宝石とね……」

「えーっいいなあ! なんで? なんで?」

「偶然我が家にいらしたときにおもてなししてね……」

「でもあなた、今付き合ってる人がいるんじゃなかった?」

「勿論彼にも速攻自慢したよ! 彼も皇子様に抱かれたいって言ってた」

「なにそれちょっと詳しく」


話はまだまだ続きそうだったのでそっとその場を離れることにした。

我が家に突撃してこないのなら、もうなんでもいいや。

お幸せに。




VSセミリア編、完結です。

ノーリーンさんとの恋路を書こうと思うとどう頑張ってもR18になってしまうのでご想像にお任せします。

一夜の思い出って感じで…こう…流しておいてください…再登場するかも怪しいしな…。

明日人物紹介を投稿して、来週から新章突入します。

読んでいただいてありがとうございます。


★★★★★やいいねをポチってもらえるとモチベーションが上がります。


どうぞよろしくお願い致します。

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