表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロキャンライダー放浪記  作者: たけるん
68/74

【第二話】 沼津の海鮮と、港町の昼下がり

朝、モビリティーパークのサイトは静かだった。

昨日の夜、焚き火のカスと共に空けた缶ビールの残骸を片付けつつ、ゆっくりと湯を沸かす。

コーヒーは濃いめ。インスタントでも朝の山で飲めばそれは特別になる。


朝食はシンプルに、昨晩炙って食べきれなかった干物の残りと、昨日道の駅で買っておいた小ぶりのパン。軽く炙って食べれば、これもまた贅沢だ。


「さて、今日は沼津だ。」


旅に予定表なんて要らないが、「今日は海鮮を食べに行く」という意志だけはある。


Z900に荷物は積んだまま、軽装で出発。沼津へ向けて、国道414を北上する。山道から少しずつ町並みに変わっていく。


途中、伊豆長岡の辺りで信号待ち。隣に停まったのは、リッタークラスのBMW GSに乗った白髪交じりのおじさんライダー。

「今日はどちらまで?」


と聞かれ、


「沼津で飯を食ってキャンプ地に戻ります」


と答えると、おじさんは満面の笑みで


「わかる、それが正解」


と親指を立てて去っていった。


こういう一期一会があるから、ソロは面白い。



沼津港に到着。


観光地然とした喧騒もあるが、バイク乗りは裏道を抜けてバイク駐車場を探すのも楽しみのうち。

バイクを停めたらまず向かうのは、有名どころではなく、漁協関係者も出入りしている店を選ぶ。情報は事前に得ていた。


【沼津 にし与】

にし与丼が看板メニュー。今回は奮発してそれにする。


目の前に出された丼は、正直映えより“内容勝負”。

分厚くカットされたマグロ、中トロ、キンメ、ブリ、白身、アジ、そして甘エビ、いくら、ウニ……

どれも脂の乗りが違う。しかも、ご飯がほんのり温かい酢飯で、ネタの旨味が際立つ。


(これ……日本酒飲みたいけど、この後走るから我慢……!)


黙々と食べていたら、隣席に座った別のライダーが「美味そうですね」と声を掛けてきた。

愛知から来たというその人は、カワサキのW800に乗っているとのこと。


自然とバイク談義に花が咲く。


「昨日は富士山の方だったんですけどね、今日は伊豆回って、キャンプ張って帰ります。」


「お互い、いい旅ですね。」


深くは踏み込まないが、こういう交流もまた、ソロツーリングの味わいのひとつ。



食後は沼津港をぶらぶらと歩く。水族館には寄らない。

干物やら魚市場やら土産屋やら、歩くだけでも観光気分は十分。地元産のわさび漬けを土産に購入する。


さて、そろそろ戻ろう。来た道を引き返すのは味気ないので、沼津IC付近から県道17号を経由し伊豆の山を縫うルートへ。


午後の道は車も少なく、ツーリングには最適だった。遠くに富士山が顔を覗かせている。


「……やっぱ、静岡はいい。」



16時頃、モビリティーパーク帰着。

汗を流したいが、今日は温泉には寄らず、サイトでまったり過ごすことにする。


焚き火台をセットし、ファイヤースターターで……また火が点かない。

悪戦苦闘の末、文明ガストーチに屈する。

それでも火がつけば勝ち。火があるだけで、酒が進む。


夕食は昨日買った地魚と、今日は市場で買った干物を軽く炙るだけ。

わさび漬けも皿に出してちびちびやる。


(今日も良い日だった。)


静かな夜、炭火の赤とビールの泡が、旅の満足を噛み締めさせる。


今回、読んでいただきありがとうございます。「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、評価をよろしくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ