【第二話】朝の湖畔と再会、未知の道
夜明け前の木崎湖は、深い静寂の中に沈んでいた。
焚き火の灰が冷えてくつろいだ頃、ふと目を覚まし、シュラフのチャックを開ける。
湖面はガラスのように鏡の静けさを湛え、周囲の木々が淡い霧にぼんやりと浮かんでいた。
◆ 鮮烈な朝の一杯
コッヘルに水を汲み、火を起こして湯をつくる。
ひんやりした空気に鼻腔が締め付けられながらも、その一瞬が心地よい。
ドリップコーヒーをゆっくりと一口。
胸に染み渡る苦味。
◆ 予期せぬ再会
軽く朝食を済ませて、シートに腰をかけていた時、向こう岸からエンジン音がかすかに聞こえてきた。
振り返ると、昨日湖畔で軽く会釈を交わしたソロライダーが、こちらに向かってバイクとともに歩いてくる。
彼の手にはコーヒーの缶。
「おはようございます。ちょうどいいと思って」
缶を差し出されて、軽く会釈しながら交換する。
「昨日の! いやぁ、朝からありがとう。俺、Z900です」
「僕はレブル1100の陽平です。昨日、あなたが木崎湖キャンプ場と言っていたんで…」
こうして、二度目の邂逅が自然な流れで訪れた。
距離感が近すぎず遠すぎず、静かな連帯感を生む、そんな再会だった。
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◆ 瞼に焼きつく早朝の風景
陽平と並んで湖畔に座ると、霧の向こうに北アルプスの残照が見えていた。
朝日が山を照らすと、霧はオレンジ色と金色に輝き出す。
一切語らずとも、その美しさがすべてを語っていた。
二人はただ、静かに湯気の立つ缶コーヒーを啜り、
その息遣いで“この瞬間に出会えた奇跡”を共有していた。
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◆ 新たなルートと決意
さすがに朝食後、身体が動き始める。
陽平とはここで別れ、互いのルートを握手で確かめ合った。
俺は次に、
「木曽谷」方面を目指すことにした。
信州の中心を横切るように、木崎湖〜木曽谷〜中津川というルート。
沿道に広がる紅葉の始まり、そして訪れるであろう本格的な秋の匂いに、心が躍る。
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◆ ラストスパーク・序章
ヘルメットをかぶり、エンジンをスタートさせる。
陽平が見送る後ろ姿と波打つ霧を見送りながら、
「またどこかで会おう」と心で呟いた。
高鳴る鼓動と共に、Z900は新たな道へラフに走り出す。
次なるエピソードで広がる、木曽谷の林道、予期しない出会い、そして秋の深まりに想いを馳せつつ、ペダルに力を込めた。
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