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ストレイヒーロー

「僕らを救ってくれるヒーローの心は、果たして誰が救ってくれるのだろうか」

第一章


 紫苑色の空が白んでいく中で俺は、望月 大雅(もちづき たいが)は無心にハンドルを握っていた。早朝の人気のない高速道にこちらを阻むものはなく、自分の中に染みつく後悔を振り払うように、俺はバイクを制限速度ギリギリで走らせていた。与えられた力の大きさとは裏腹に、伸ばした手が掴めるものはあまりにも少なかった。現実の歪みをレンズに収めるという仕事柄、正義の味方なんていないと人よりはわかっているつもりだった。声なき悲鳴を聞きつけて飛んでくる、どんな状況になっても助けてくれる無敵のヒーローなどいないと。けれどもし、自分にそんなヒーローになるチャンスが訪れたのだとしたら。二年前のあの日、そのもしもがやってきたあの時、夢を捨てきれていなかった俺はペンとカメラを置いて剣を取った。



 『我々ガルドニア帝国は、地球上の全ての国家に速やかなる降伏と我が帝国への帰属を要求する』


二年前の春先に突如空に開いた黒い穴、そこから降りてきた異形の存在が人々の生活を脅かし始めた。ガルドニア帝国、俺たちの住む世界とは別の世界からやってきた、次元を超えた侵略国家。その先兵として送り込まれた化け物相手に自衛隊や警察機動隊は死力を尽くして戦った。しかし現代兵器ではまるで歯が立たず、人々は常にガルドニアの影に怯えるようになっていった。標的になったのは日本だけではなかった。先進国、発展途上国の区別なくガルドニアは刺客を送り込み、ある国家は侵略者に寝返り、ある国家は抵抗ののちに支配下に置かれ、世界の分断は秒読みとなっていた。血気盛んなルポライターだった俺は弱腰になる世界に喝を入れるべく、ガルドニアの尖兵が出現した現場に向かい、その凶行を写真に収めてようとした。ところが実際に目にしたのは、拳でコンクリートの壁を砕き、体から放つ光線で金属をバターのように溶かしてしまう人智を超えた化け物だった。


『歯が立たないわけだ……どうすればいいんだこんなの』


怪物の周囲にゾロゾロと現れた黒づくめの兵隊が、市政の人々を連れ去っていく。男女は問わず子どもでさえも容赦はされなかった。侵略先の原住民がどんな目に遭うかなど、これまでの歴史を振り返れば想像には難くない。戦う術を持たない俺は抵抗むなしく捕えられる彼らの姿を、その後の末路に思いを馳せながら切り取ることしかできなかった。


(誰か……誰かいないのか?こいつらと戦えるのは誰もいないのか!?)


怪物がこちらのカメラに気が付き、距離をうかがうようににじり寄ってきた。自分の首に死神の鎌がかかる感覚を覚えた俺は、せめて首が落ちるまでの間にこの無法の光景を一枚でも多く収めようとした。その時だった。


『そこまでだ!』


突如赤いシルエットが飛び上がったかと思うとガルドニア兵たちは倒れ、怪物は慌ててそちらを振り返った。


『聖命戦隊ヴァイタリオン、命の戦士 ヴァイタルハート!』


サテンを思わせる上品な光沢を放つ真紅のスーツに急所を守るプロテクター、そして騎士を思わせる表情を窺わせない硬質なマスク。青空にマントをはためかせながら剣を掲げ、奴は怪物に啖呵を切るように名乗りを上げた。十人に聞けば十人が納得するであろうヒーローの姿がそこにあった。


『出たな…総員、戦闘用意!市民に構わずヴァイタリオンを潰せ!!』


捕らえた人々をほっぽり出し、ガルドニア兵は真紅の救世主へと迫る。ヴァイタルハートは右手に携えた細身の西洋剣を振い、向かってくる兵を鮮やかな剣捌きで斬り捨てていった。物陰で縮こまっていたはずの俺はその雄姿をカメラに収めずにはいられなかった。彼はまさに希望そのものだった。人々にガルドニアの侵攻に立ち向かう者が現れたと伝えねばならなかった。ヴァイタルハートの活躍をカメラに収めるのに夢中になっているうちに、残るは親玉である怪物のみとなっていた。


『俺が相手だヴァイタリオン、このゴルメディック小隊長直々に手を下してやる」


ゴルメディックと名乗った怪物は光線をヴァイタルハート目掛けて放ったが、ハートが飛び上がる方が早かった。空中で体を丸め宙返りをしながら距離を詰め、回転の勢いを使いながらゴルメディックの脳天めがけて剣を打ち込んだ。


『がぎっ!?』


頭蓋を叩き割られたゴルメディックは額から青白い粒子を吹き出しながらよろめき、そのまま大の字になって倒れ込んだ。しばらく痙攣していたかと思うと、そのまま末端から粒子となって、跡形もなく大気に溶けていってしまった。自分の目が信じられなかった。今まで誰も歯が立たなかったガルドニアの怪物を倒す者が現れたのだ。ふと、 ヴァイタルハートがこちらを振り返った。


『あなた、カメラマンだったんですね。大丈夫ですか?』


『あ、ああ…..おかげさまで、いい写真が撮れましたよ。これで少しは、希望を届けられます』


仮面の向こうから聞こえたのは若い男の声だった。自分と同年代か少し下くらいの、生真面目だが溌剌とした声だった。


『えっと……ヴァイタル……なんでしたっけ。戦隊って言ってましたが一人しか……』


戦士がブレスレットを操作すると仮面とスーツは霧散し、ほのかにあどけなさが残る人懐っこさそうな青年が姿を現した。


『ヴァイタルハート、戦士としての俺の名前です。聖命戦隊ヴァイタリオンってチームのはずなんですが、まだ俺一人しかいなくて……あっ俺、環 武蔵(たまき むさし)って言います』


メンバーがいない、それを聞いた俺の胸に沸き起こったのはほのかな期待だった。


『望月 大雅と申します。環さん、折り入って頼みがあります』


『武蔵でいいですよ、そんな固くならなくて。それで頼みって……』


この世は理不尽で溢れている。どんなに真面目に生きていても、何の前触れもなく気まぐれにそれらは牙を剥く。潰されないためには声を上げながらも心のどこかで諦めて受け入れること。自分に対しても、他人に降りかかる不幸を目にしたときもそうだ。真正面から受け止め続けたらいずれ無理が来る。だからフィルムに収めて発信はしても、意識して忘れるようにしていた。インタビューに応じた際に「過去を振り返らない」と捉えられがちなのは、単に自分ではどうにもならないことを考えないように切り離してるに過ぎない。


『俺も、ヴァイタリオンの仲間に入れてくれませんか』


『えっ、あなたがですか!?』


けれども俺は期待してしまった。このどうしようもない理不尽を跳ね除けてみせた仮面の戦士を見て。


『足りないんですよね、メンバー。それに』


『なれるんならなってみたいんです、ヒーローって奴に』


俺も理不尽から誰かを守れると期待してしまったんだ。その日から聖命戦隊ヴァイタリオン二人目の戦士、常闇の戦士ヴァイタルダークとしての戦いが始まった。

 


第二章


 ハンドルを握りながら過去に思いを馳せていると、いつのまにかインターチェンジに差し掛かっていた。日が上ったことで徐々に暑さを増してきており、ハンドルを握る手に湿った感触を覚えていた。ゲートを潜り一般道に出ると、まだ痛々しく侵略の跡が残るベッドタウンに出た。ひび割れた歩道に破壊された家屋の残骸、無惨な切り株となった街路樹など、そのどれもが人々の日常が踏み荒らされた揺るがない証拠だ。パーキングエリアにバイクを預け、後ろの荷台に乗せたトランクから商売道具の一眼レフを取り出す。今の俺はしがない一人のルポライター。レンズを通して見た惨劇を伝えるのが仕事だ。ふと、右腕のブレスレットが視界の端に入った。変身に用いるそれは鮮やかなボタンと厳かなエングレービングに彩られながらも、戦いを潜り抜けた証明として無数の細かい傷がついていた。


「こんなものがあったって……結局何も……」


三か月前にガルドニア帝国との全面戦争は終結、あちらの降伏宣言を以て正規軍は撤退していった。しかし居残った兵士が野盗まがいのことをしたり、敗戦を認めない一部将校が独立し反撃の機会をうかがっていたりとヴァイタリオンの役目はまだ終わっていなかった。なのに俺は仲間のもとから離れ、ただ一人元の仕事に身をやつしている。戦うのが怖くなっただけじゃない。ただどうしようもなく虚しくなったのだ。どんなに必死に戦っても犠牲となる人をゼロにはできない。たとえその場は生き残ったとしても、別の侵攻で命を落としたり、大切な人を亡くし、自分も後を追ってしまったりで結局救えなかった人も山ほどいる。見知った顔が遺体袋にしまい込まれるのを見るのも珍しくなかった。そして何より……。


美空(みそら)……」


もう届くことのない名前を呟き、支度を再開した。 


 次の記事に向けて写真を撮るための散策を始めてから二時間が経過した、解体作業の進む一軒家や密集する仮設住宅は、一度壊された日常が姿を取り戻すには時間がかかることを嫌というほど実感させた。ライフラインは幸い無事であり、インフラも復旧はしたようだがこの町に刻まれた傷跡と住民の怒りは深いものであろう。自治体の方曰く、仮設住宅と無事だった住宅で賄えたおかげで避難所暮らしをする世帯はいなくなったものの生活水準はお世辞にもいいとは言えず、子供たちの笑顔も少なくなったという。


(ここもそうだ。守り切ることができなかった)


たとえその場で命を守ったとしても、その人の人生は続いていく。生活苦は人の身も心も蝕み、下の世代へと伝播していき、やがて国も世界も泥沼へと引きずり込む。俺たちにもう少し力があれば、と物思いにふけっていても生理現象には勝てないようだ。胃袋が不機嫌そうにくぐもったうなり声をあげた。思えば起きてから水以外、何も口にしていなかった。しばらくコンビニでの食事が続いたので、そろそろしっかりボリュームのあるものを口にしたいところだった。


 油の上がる音が心地いい。俺が入ったのは、荒れ果てた街に不似合いともいえる小綺麗な精肉店だった。


「いらっしゃい!」


ハキハキとした挨拶の聞こえた先を見ると恰幅の良い店長と思しき男が気持ちよくこちらを出迎えてくれた。店内をざっと見渡すと、どうも新築らしい。壁とフローリングにはくすみが見られず、設備は最新のものだ。生肉だけ買ってもどうしようもないので揚げ物を選ぼうとしたところあるうたい文句が目に入った。


「苦難に負けるな……ぜったいうまい復興コロッケ?とりあえずこれ一個ください」


「あいよ、そいつはうちの主力商品ですよ。生のお肉を取り扱えるようになったのは割と最近なんです」


「というと、新しく開業されて?」


店主は少し暗い面持ちになってから返答した。


「いえ、うちは父の代からずっと肉屋でした。前の店舗はガルドニアの侵攻で……」


店主はそういうと一つの写真入れを差し出してきた。古めかしい作りだが、今より大きな店舗と幸せそうな親子が映っていた。真ん中の恰幅のいい少年は店長であろう


「避難命令が解除され戻ってきたときに唖然としましたよ……店があるはずの場所がただのがれきの山になってたんですから。当時は荒れて荒れて、妻には迷惑をかけました」


胸が締め付けられる思いだった。親族から引き継いだ大切な店を失い、一から立て直すことになったのだからその苦労は計り知れない。


「ホント、感謝しなさいよ~。コロッケ売るの考えたのだって私なんだからさ」


「あ~!お客さんの前でそれ言うのは勘弁してくれよ~」


奥の厨房からエプロンに身を包んだ女性が現れた。口ぶりから察するに、店長の妻だろう。


「設備が整わなくて生肉を売ることが難しかった時、妻が提案してくれたんです。あんたのコロッケは日本一うまいんだからって。それからお祭り用の屋台を借りてコロッケを売り始めたところこれが好評で……うちのコロッケが食べられなくなったら困るって言って支援してくださった方もいらっしゃったんです。おかげで店もこの通り」


「お肉仕入れられるようになった今もコロッケの方が人気なくらいだもんね~。もうそのままコロッケ屋になったら?その場合は私が店長やるけど」


「冗談キツイって……」


それとなく店長夫妻のパワーバランスを察し不覚にも少し口元が緩んだ、と同時に苦境の中で支えあう二人がとても眩しく見えた。一人では潰れてしまうような苦難も、誰かと分け合うことで乗り越えられるかもしれない。それはきっと俺たちヴァイタリオンもそうだったのだろう。五つの力を一つに集めて戦うのは、苦難を五人で分散して戦い続けるためだったのだと。


『もうこじつけのレベルだよ、大雅の何でも自分のせいにする癖』


ふと、仲間の声が脳裏に蘇る。横並びになった犠牲者の前にひざまずく俺を叱咤する、呆れとほんの少しの怒気、そして憐憫の混じった声。


『悪いのはガルドニアだ、言われなくたってわかってる』


振り返ることもなく、吐き捨てるように声の主に返事をした。


『気にしてるからこっち向いてくれないんでしょ?この人たち死んだのみんな自分のせいだって。大雅、いつも私たちのこと責めようとしないもんね』


おずおず振り返ると、ウェーブのかかったロングの茶髪のよく似合うはねっ返りの強そうな女性が、腕を組みながらこちらをじっと見つめていた。日向 真里奈(ひゅうが まりな)。俺と対になる、光明の戦士ヴァイタルブライトとして戦う仲間だった。


『真里奈たちはやれることをやった、あの場であれよりいい選択肢は……』


『そんなの大雅だって一緒でしょ!?自分一人全部しょい込もうなんて、そんなの思い上がりだよ。私たち仲間なんだから……』


今なら受け止められる。あの時の俺は、仲間と痛みを分かち合おうとしなかった。自分一人のせいにしておけば少なくとも俺以外の気持ちは楽になるだろうと。振り返ってみれば、真里奈の言う通り思い上がりであった。


『大雅のそういうところがほんと……』


去り際はよく聞き取れなかったが、特にぶつかることが多かった彼女のことだ。続く言葉は容易に想像がつく。一人でしょい込んだ結果潰れたのだからさぞかし呆れていることだろう。過去に思いを馳せている俺を店長が今に引き戻す。


「なんにせよ、その場その場でできることやってくしかないですよね。たとえ100点満点じゃなくても、何もしないよりはずっといいですから。はい、お待ちどうさん。ソースは好きにかけてくれてかまいませんよ」


そういうと店長はコロッケを俺に差し出した。包装紙越しに伝わる熱と衣の香りが食欲をそそり、辛抱たまらなくなった俺は少しだけソースを垂らし、勢いよくかぶりついた。ザクザクとした衣を超えると、満遍なくすりつぶしたジャガイモのまろやかな風味と肉屋のコロッケ特有のジューシーな肉の旨みが口いっぱいに溢れた。夢中になって二口、三口と食べ進めていくと、いつの間にか手元には包装紙だけが残り、代わりに胃袋と、何故か一緒に胸が熱くなった。


「……おいしかったです」


「その顔が見れてよかったです。何に悩んでるのかまではわかりませんが、お客さんも思い詰めてそうでしたからね」


どうやらお見通しだったらしい。軽く会釈をして店を後にしようとすると、店長の明るい声が聞こえてきた。


「また食べに来てくださいね!」


諦めずに他者との繋がりの中でもがき続ける、その姿に少し勇気をもらった気がした。俺も自分を取り巻く繋がりを再確認するべきなのかもしれない。そう考えた俺は、電話帳の中の二度と触れることのないだろうと思った、ある番号に電話を掛けた。



第三章

 取材を一通り終えた後は近場のホテルで夜を明かし、目的地に向け早朝に出発した。いくつかの県境を超えて馴染みの幹線道路に出たあたりでナビを切り、後は体に染みつく記憶にハンドルをゆだねた。近場の花屋にて白菊を何束か見繕ってもらったのち、五分ほどでたどり着いたのは、ゆとりのある駐車スペースやオートロックが備え付けられた黒い一軒家であった。こじゃれた表札に書かれた「遠野(とおの)」の文字をを苦々しく一瞥したのち、一度深呼吸を置いた。眼前のインターフォンのボタンが酷く遠く思えた。


「……望月です」


そう一言答えると、しばしの静寂ののち家のドアが開き、初老に差し掛かり始めた女性がこちらへ向かってきた。


「葬儀の時以来ねぇ……上がってちょうだい。主人も、貴方に会いたがっていたわ」


招き上げられた俺は階段を一歩一歩踏み締めながら二階へと上がった。階段を踏み締めるたびに、もう二度と戻ることのない日々が脳裏に蘇る。やがて二階の一部屋に入り、仏壇のに飾られた遺影の中の女性と目が合った。俺が愛した女性、遠野 美空は、ガルドニア帝国の侵略により命を落とした。俺がよく知る向日葵のように明るい笑顔は、取ってつけたような砂浜の背景のせいか酷く空虚に感じられ、彼女がもうどこにもいないことを俺に実感させた。


「大雅君か……」


白髪交じりの偉丈夫が申し訳なさそうに部屋の入口から顔を出した。美空の父だ。一八〇を超える背丈と全盛期を過ぎてはいるものの屈強な肉体はとても娘とは似ても似つかず、初めて対面した時は思わず見比べてしまったほどだ。


「あのときは、申し訳ないことをした。君が悪いわけではなかったのに私は……」


「いいんです、こうしてまたお会いできたのですから」


美空の父とは美空の死がきっかけで一時期険悪になり、ともに参列した葬儀でも口を利くことがなかった。半年という月日が互いに自分と向き合う時間を与えてくれたからか、感情のぶつけ合いになることなく、痛みを共有するもの同士の連帯が成立していた。挨拶が済んだので、遠野夫妻と俺は買ってきた白菊と線香を備え、遺影の前に手を合わせた。


 美空と出会ったのは一年半ほど前、気分転換に風景写真を撮ろうとツーリングに出かけた時のこと。ガルドニアの兵士に襲われていたところをとっさに助けようとしたために顔を覚えられたことがきっかけであった。同じカメラ趣味を持っていた美空は四つ下で、人生の夏休みともいえる大学生活を謳歌していた。


『大雅の写真には物語を感じる。綺麗なだけじゃなくて、写し取られたものが今にも動き出しそう』


『俺の写真は、現実を切り取って誰かに伝えるための道具だからな。そういう美空の写真はとても綺麗で、ずっと見ていたくなる。一瞬のきらめきって言えばいいのかな』


目指す方向こそ異なれど、同好の士としてわかり合った俺たちはいつしか男女の関係となっていったが、同時にガルドニアによる侵攻は激しさを増していった。以前のように野外撮影を行う余裕もなくなり、拠り所をなくした美空と遅くまでメールをし合うことも珍しくなくなった。同時に俺も、彼女に救いを求めていた。


『あともう少し早く駆け付けられていれば……』


『大雅は十分やってる、命がけで戦って、何百人も救ってきたじゃない』


『わかってる……わかってるんだ、でもこびりついて離れないんだ。無念のまま息絶えた人々の乾いた瞳が……ずっと俺を見てるんだよ」


二人きりの空間、拭いきれぬ後悔に潰されすすり泣く俺を美空は黙って抱きしめた。


『……誰かのために涙を流せるのはヒーローの証だぞ』


守る者、守られる者の関係がすっかり逆転していた。思えばこの時すでに、限界は近づいていたのかもしれない。戦いが終わったら二人で写真を撮りに行くという約束を胸に俺は戦士として。彼女たちの未来のために戦い続けた。しかし付き合って一年が経過した時のころ、その日は突然やってきた。


『なぜ……私が人間に負けた……ガルドニア最強の将軍たる、この私が……』


長い戦いの末に、ガルドニア最強とうたわれた怪人、烈光将軍ベテルノヴァについに膝を付かせることに成功した。死が眼前に迫る中で奴が絞り出したのは、自分が見下してきた人間がなぜ自分を撃ち滅ぼしたのかという問いかけだった。


『守りたい絆があるからだ』


『人とだけじゃない。この世のありとあらゆるものとの繋がりの中で俺たちは生かされてる。このかけがえのない絆を失わないために俺たちは何度だって立ち上がる。一人じゃ生きていけないのはお前たち、ガルドニアだって同じじゃないのか?』


聞いてるこっちの耳が熱くなる感覚も覚えるような小っ恥ずかしい返答を、武蔵はためらうことなく叩きつけた。けれど奪う者と守る者の違いを厳然と示す武蔵の言葉に内心うなづく自分もいた。


『フ……ハハハ……』


今にも途切れそうな笑い声が聞こえた。ベテルノヴァだった。その声に嘲笑の色は見られず、同じく武蔵の言葉に感心しているようであった。


『そうか……絆か。それがお前らを奮い立たせ、我らを撃ち倒す力の源なのだな……ならば!!』


突如、糸で吊り上げられたかのように勢いよくベテルノヴァが起き上がった。反撃を警戒し身構えていると、奴はふわりと宙に浮かび上がり、俺たちを見下ろすような格好をとった。


『我が命を以って、貴様らの守るべき絆とやらを消し去ってくれる!』


一瞬のことだった。ベテルノヴァは目にも止まらぬ速さで空高く昇り、全身を駆け巡るエネルギーを一点に集中し始めていた。とっさに俺はブレスレットのキーを操作し奴の最期の悪あがきを阻止しようと動いた。


『オニキストライカー、フライトモード!!』


黒い影が地面に広がったかと思うと、その中より漆黒に銀のラインが入った禍々しいオフロードバイクが浮上した。バイクは一人でに浮かび上がったかと思うと、エンジン部を中心に前後が観音開きになり、やがて一対の巨大な翼のように変形した。翼は背中にアームパーツを介して固定され、ホイールの変形したローターから発せられた揚力で、俺は空へ飛び上がった。


間に合え、間に合えと祈りながらベテルノヴァへ追いすがるが、距離は絶望的に開いたままだった。


無力な俺たちを見下ろしながら、ベテルノヴァは高らかに勝利宣言を行った。


『私の勝ちだ……ガルドニア帝国に栄光あれぇぇぇぇぇぇぇ!!!』


その瞬間、ベテルノヴァの身体は閃光に包まれたかと思うと爆発四散、無数の火球となって空いっぱいに広がり、日本全土に襲い掛かった。衝撃で吹き飛ばされ地面に墜落した俺は軋む身体を引きずり起こすと、武蔵の静止も振り切って美空のもとへ飛び立った。三十分ほどのフライトののち降り立ってみると、侵略の激化に伴い美空が身を寄せていたキャンパスは地獄と化していた。どうやら火球が直撃しただけでなく、火球自体が連鎖的に爆発したことで壊滅的な打撃を与えていたらしい。がれきを押しのけ炎の海を踏み越える中で多くの亡骸と死にゆく人々が見えた。それでも歩みを止めるわけにはいかなかった。一縷の望みのために俺は己の救世主としての使命を放棄し、美空のいるであろう場所へ向かった。


『美空!いるなら返事をしろ!!』


あるのは無数のがれきと、その下敷きになった人々。本来であれば優先順位というものがあったのだろう。けれども一刻の猶予も許されない状況を前に、俺はたった一人を探し続けた。すると、どこからかすすり泣く声が聞こえた。


『誰かいるのか!?』


声の主は小学校高学年ほどの少女であった。崩落の危険があるにもかかわらず、避難することなくがれきをどかそうとしていた。


『この下に誰かいるのか!?』


駆け寄ると少女は真っ赤に泣きはらした目でこちらを見つめ首を縦に振った。


『私をかばって仲良くしてくれたお姉さんが下敷きになっちゃったんです......』


あの瞬間の時が止まったような感覚は、この先二度と味わうことはないだろう。見え隠れする服装は見知った人間のものであったのだから。


『み……そら?』


『お姉ちゃんを知ってるんですか!?お願い、お姉ちゃんを……』


『言われなくても!!」


スーツで増強された筋力を用い、一つずつがれきをどかしていく。時間との勝負だった。着弾から発見まで約一時間弱、クラッシュ症候群のリスクを考慮して少女を水の保管庫に向かわせ、並行する形で迅速に救助を進めていく。


(待ってろ......今助けてやる、何に替えてもお前だけは……)


全体を覆い隠していた一際大きいがれきをどかした途端、俺の手は止まってしまった。ちょうど少女が水の保管庫からボトルを抱えて戻ってきたところでもあった。


『ヴァイタリオン!お水持ってきました……』


『来るな!!』


『でもお姉ちゃんが……』


『だから来るんじゃない!!……お姉ちゃんは、助からない』


多感な時期の少女にとても見せられる状態ではなかった。おそらく天井が崩落した段階ですべてが終わっていたのだ。美空は、俺の愛した女性は、がれきに頭蓋を叩き潰された首なし死体となっていた。あまりにも唐突な幕切れに涙すら湧いてこなかった。ただ、自分の中で張りつめていた糸が甲高い音を立てて弾けた気がした。少女はこちらの意図を察したのか、その場に崩れ落ちた。顔面は蒼白し、ガタガタと震えながら縋るようにこちらを見つめていた。しかし互いに心の整理をしている暇もなかった。至る所から柱がきしみ、天井がパラパラと崩れる音が聞こえた。このままでは二人とも後を追うことになる。


『今すぐ二人で逃げよう。ここはもう長いこと持たない』


『嫌!お姉ちゃんが!!』


『俺だって置いていきたくないさ!!』


子供相手に声を荒げてしまった。たとえ息をしていないとしても、物言わぬ亡骸にすぎないとしても、置いていくのは心苦しかった。しかし今美空だったものを抱えてる余裕も時間もない。俺は少女を無理やり抱きかかえ、キャンパスを後にした。バイクに戻ったオニキストライカーに二人乗りで移動しながら、少女と少しの言葉を交わした。


『家族はどこ住みだ?君を親御さんに送り届けてから俺は行く』


『もういない、みんな死んじゃったから』


俺が知りえたことは、少女が比良坂 渚(ひらさか なぎさ)という名前であること、美空とは二か月前にキャンパス内で知り合い、姉のように慕っていたこと、そしてその半月ほど前の侵攻で親族を失った戦災孤児であるということだけだった。やむを得ず、俺は少女を目的地まで連れていくことにした。

 

『君というものがいながら!!』


美空の両親のもとへ臨終の報告をした時、美空の母はその場に倒れこみ、父はこちらの胸倉を掴みながら俺を叱責した。


『娘は君を信頼していたんだ……どんな時でも助けてくれる自分のナイトだと……それなのに、それなのに……』


大粒の涙を流しながら、美空の父は胸倉を握りしめ続けていた。辺りが夜に包まれていく中で、男の慟哭だけが空に響いた。意識を取り戻した美空の母も交え、改めて事の顛末を話した。母は肩を震わせて号泣し、父はこちらに背を向けたまま押し黙っていた。俺は身寄りをなくした渚の面倒をしばらく見てあげてほしいと頼み込むと、一人夜の中へオニキストライカーを走らせた。その後のことはあまりよく覚えていない。とにかく戦いを続けることに必死だった。真里奈が何か言っていたような気がするがよく思い出せないままだ。


 黙祷が済んだのち、俺と美空の両親は彼女の部屋で彼女との思い出を振り返っていた。もう戻ることのない日々を振り返ることは痛みも伴うが、同時に彼女が自分たちにとってかけがえのない存在であったことを再確認した。そして何より、これが自分たちにできる最大限の供養だと考えたのだ。思い出話が一段落したところで、美空の父が若干気まずそうに俺に問いかけた。


「ところで、私の方から申し上げづらいのだが、ヴァイタリオンとしての活動は、もういいのか?」


俺は一拍置いたのちに迷いながら答えた。


「虚しくなってしまったんです。自分の手から零れ落ちた人々を看取っていくのが。こんな力があったところで、私は愛する女性一人守ることができなかった。一番守りたかった人を……」


目頭が熱くなり視界が歪む。止めたいと思っても止められなかった。握りしめた手の甲に水滴がとめどなく零れ落ち、慌てて俺は顔を拭った。その様子を見た美空の父は一冊のノートをこちらに差し出した。


「掘り起こされた娘の日記だ。奇跡的に燃えずに済んだそうだ…君のことも書いてある」


恐る恐る読み始めると、彼女との思い出がより鮮明に蘇ってきた。


 一月二十七日

期末も終わり撮影を楽しんでいたら突然訳の分からない集団に襲われて本当に怖かった。でもまさかほんとにヴァイタリオンに出会えるなんて思っていなかった。まして、その正体が私と同じカメラが趣味の若い男の人だなんて。これって、運命かな?


 五月三日

今日は大雅とカメラデートをした。互いに写真を撮ってきて見せ合うのはとっても楽しい。大雅はすでにプロのカメラマンとして活動しているのだから心の底から尊敬できる。でも、お仕事でももっと楽しい写真を撮ってもいいと思う。


初めて出会った時のこと、初めてのデート、初めて家に上げてもらった時のこと、彼女は俺との思い出をすべてここに書き記していた。気づけば、彼女が亡くなる直前の数ページに差し掛かっていた。俺たちがベテルノヴァとの決戦に臨む直前に当たる時期だった。


一月十三日

大雅はこれから大事な戦いに行くらしい。この戦いが、地球の運命を左右すると言っていた。大雅は立派だ。カメラマンとして世界で起きている惨劇から目をそらさないし、今は命を懸けて世界のために戦っている。自慢の彼氏だ。けれども大雅は、真っ直ぐすぎるから誰よりも傷ついてしまう。誰かの悲しい気持ちを一杯背負いすぎて、いつか潰れてしまうんじゃないかって心配になる。もし私が死んじゃったら、大雅はきっと自分を責めるんだろうな……悲しんでくれるのはうれしいけれど、どうかヴァイタリオンはやめないでほしい。助けられなかった人もたくさんいたかもしれないけれど、大雅に救われた人もたくさんいるはずだから。


数日後、彼女の懸念は現実となってしまった。愛する人を亡くした悲しみを呼び水に今まで拾い集めてきた無念が押し寄せ、決着がつくや否や俺は逃げるように仲間のもとから姿を消した。こんな滑稽なことがあるだろうか、俺は恋人の死を悼むあまり、その思いを裏切り続けていたのだ。


「ごめん……ごめんよ、美空……」


二度と得ることのできない美空の温かさと、自分の愚かしさに涙が止まらなくなった。涙が零れるたびに、心にたまり続けた悲しみ、怒り、無念が洗い流されていくようだった。死して尚、彼女の思いは俺の心を救ってくれたのだ。



 「そうそう渚ちゃんのこと、覚えてるかしら?」


なだめるような口調で、美空の母は俺の預けた少女の話題を振った。


「もちろん。彼女、あの後どうなったんですか?」


すると美空の母は写真立てを手に取り俺に見せてきた。映っていたのは美空の両親と、渚の姿だった。


「しばらく一緒に過ごす内にお互い離れづらくなっちゃってね、家族になったのよ」


驚きを隠せなかった。どちらも親族を亡くしてから日が浅くとてもそんなことを考える気にはなれなかったと思うが、ここで店長とのやり取りを思い出した。人と繋がり、痛みと分かち合うことで困難を共に乗り越える。この三人もそうだったのだ。


「あの時君が連れ出していなかったら、渚は今頃中学校生活を楽しんでないだろうな……うちに来たばかりのころは人形みたいな子だったが、友達に囲まれて、最近ちょっと笑顔が増えたんだ」


ほんの少しだけ救われた気持ちになった。かけがえのないものを失ってもなお、人生は続いていく。新しい幸せを少しずつ育てていくことが、彼女らの人生をこの先明るく照らしていくことを祈るばかりだった。どこか重荷を下ろしたような安心感を覚え、そろそろお暇しようと思った矢先だったブレスレットのランプが激しく明滅し、サイレンのような音を発し始めた。緊急召集のサインだった。仲間が俺をまだ待っててくれている証拠だった。


「行ってきなさい、今度は渚も交えてご飯でも食べよう」


「はい……!お世話になりました。渚、それと美空によろしく伝えてください、俺はもう大丈夫だって」


美空の父は、娘そっくりの笑顔で俺を送り出した。


 召集のサインの発信源を目的地に設定し、バイクを走らせる。ある程度スピードに乗ったところで俺はブレスレットのVと刻印されたボタンを押し込んだ。


「チェンジ、ヴァイタルダーク!!」


紫苑色に輝く粒子が俺の身体を覆い、薄手で強靭なスーツを形成していく。その上から肩部、胸部にプロテクターが装着され、背部より展開されたマントが向かい風を受け止める。最後に硬質なマスクが頭部をしまい込み、銀色のバイザーが下りることで俺の戦装束は完成した。変身に連動してバイクの擬態が解けていく。骨格はそのまま、外装が波打ったかと思うと、鋭角なパネルラインにシルバーの差し色が特徴的なスーパーマシンへと姿を変えた。


「この姿で走るのは久しぶりだな、オニキストライカー」


完全な戦闘体制に移行した俺はオニキストライカーと共に、助けを求める仲間のもとへ急いだ。


「もう二度と手放さない、俺と仲間を繋ぐ絆を。だからどうか待っててくれ……」


終章


 まさか残党の中にここまで強い怪人が生き残っていたなんて。予定外の苦戦を強いられ、私たち四人には徐々に疲労の色が見え始めていた。相対する怪人は全身を覆う金属光沢を放つ触手をくねらせながら、こちらが弱るタイミングをうかがっていた。


賢吾(けんご)耕二(こうじ)、真里奈、まだいけるな?」


「まだやれるさ……でもこいつ、大雅がいないとかなりキツイぞ」


「いない奴のこと言ったってしょうがないだろ……来るよな?」


既に消息を絶って三か月、物言わず姿を消した大雅が、私たちの元に戻ってくるのか疑問視するのも無理もない。美空さんを失った後の大雅は、最終決戦まで戦い抜いたことが不思議なくらい憔悴していたのだから。しかし、あのどうしようもなく不器用で生真面目な男が、仲間の危機に応じないなんてことは私はありえないと確信していた。私たちは二年もの間苦楽を共にしたのだから。


「当たり前じゃない!大雅は絶対来る……助けを無視するようなこと、何より大雅自身が絶対許さないわ」


「真里奈、昔からそうだよな……大雅のことになるとすぐムキになって」


「ぐぅ……」


図星を衝かれる。そうだ、あの男は昔からやたらとぶつかることが多い。自分一人でなんでも背負い込もうとしていつも辛気臭い顔をしている、放っておいたら潰れてしまいそうなあの男が私は……私は……


「よそ見している場合かぁ?」


と物思いにふけっていると、怪人の鋭利な触手が空を裂き、こちらに向けて勢いよく放たれた。このままだと直撃は避けられない。万事休すと思ったその時だった。けたたましいエンジンの音と共に黒い一陣の風が怪人を跳ね飛ばした。


「大雅……!」


待ちわびた男の姿がいた。私たちと同じスーツに身を包んだ、最後の一人がついに戻ってきたのだ。バイクから降りた大雅は一目散にこちらへ向かって、なんと深々と頭を下げた。


「突然いなくなったりしてごめん。戦うことからも、痛みを分かち合うことからも、俺はもう逃げないと約束する。だから頼む!もう一度、俺を仲間に入れてくれ」


人が変わったかのように素直になった大雅に私が唖然としていると、しばしの静寂ののちリーダーの武蔵が剣を掲げた。掲げられた剣を見て頷き合ったメンバーは彼を中心に横並びになり、起き上がった怪人に向き直った。


「真紅の鼓動、命の戦士ヴァイタルハート!」


「群青の水面、水の戦士ヴァイタルアクア!」


「黄土の平原、大地の戦士ヴァイタルグランド!」


「純白の陽光、光明の戦士ヴァイタルブライト!」


「漆黒の暁闇、常闇の戦士ヴァイタルダーク!」


全員が名乗り終わったところで武蔵が叫ぶ。


「廻る命のエレメント、聖命戦隊……」


「「「「「ヴァイタリオン!!」」」」」


私たちはようやくまた一つになれた。五人の絆が途切れていなかったことが、そして何より、大雅が戻ってきてくれたことが心の底から嬉しかった。


「先にやられるなよ真里奈、お前には言いたいことがたくさんあるんだ」


「そ、そっちこそ、久々の戦闘みたいだし足引っ張んないでよね」


悪い癖が出てしまった。指摘された通り、彼にまつわることにはついムキにならずにはいられないようだ。しかしそんな私を見て、大雅は怒るどころか笑みを漏らした。


「何よ今の笑いは」


「いや、変わってなくて安心した」


「どういう意味よ!」


「二人とも喧嘩は後にしてくれ!!」


あちらは少し柔らかくなったにもかかわらず、噛みついてばかりの自分にほとほと呆れた。しかし売り言葉に買い言葉の応酬ですら、今の私には得難いもののように感じられた。


(もう、せっかく戻ってきてくれたんだからもっと他に言うことあるでしょ……)


素直になれないもどかしさを感じながらも、私は目の前の敵に集中するのだった。この戦いが終わったら、ちゃんとおかえりを伝えよう。

はじめまして


本作品を執筆させていただきました、ささくれ竹串です。


本作は私が特撮ヒーローものが好きだったことが執筆のきっかけでした。


戦いには常に痛みと喪失が伴うもの。現実でも人の生き死にに関わる職業に従事される方の置かれる状況は過酷なものであり、潰れてしまう方も少なくないとたびたび耳にします。


大好きな題材だからこそあえてその辛い側面にフォーカスしながら、それでもなお戦い続けることを選べる強さと、ヒーローたちの戦う理由を描いてみたかったのかもしれませんね


余談ですが「シン・仮面ライダー」はそういった意味でも素晴らしい映画でしたね……俺は一文字派ですが大雅はかなり本郷やイチローの影響を受けているなぁと我ながら感じます。


それではまた別の作品でお会いしましょう

最後までお読みいただきありがとうございました

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