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幻想奇譚

死と再生を嗤う

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

何故このタイトルなのか。

という点は考察が必要そうです。

懺悔を持ち合わせ、私は何時もとは違う神社に足を運びました。

拝見出来ると存じていた藤の花は枯れ果て、ただ過ぎた栄光だけを残して萎んでおります。 いいえ、本日は懺悔をしに参ったのです。余計な事を考えては......。そう思って参拝を済ませるも、此処の主の気配は致しません。

そんな私を慰める様に、歌謡曲のメロディーが横で優しく流れております。曲名は分かりません。けれども何処か懐かしさを連想させます。アコーディオンとコントラバスの音が眼前に楽譜を描き出し、幾度となくうねりながら、異国情緒溢れるブルースが響き渡るのです。

本当は間近で聞くべきなので御座いましょう。けれども今は少しの寂しさを味わいたく、少し離れたベンチで耳を傾けております。近くで聞かずともその音色は衰える事はせず、その技量の高さに感嘆するばかりで御座います。

すると一人の男性が私の横に腰掛けました。

全体的にすらりとした体躯を覆う様な柔らかなポンチョ。鮮やかな黒い長髪を一つ結び。切れ長な目を遮る様に、鼻上に眼鏡がちょんまりと乗っております。

あまり見詰めると失礼かと......。そう思って視線を逸らしたのですが、時すでに遅く。

「私に何か御用かな? お嬢さん」

「あ......すみません。何も......」

「そう」

男性は私を咎める事もなく、にこやかな微笑みを浮かべると、また視線を前にお戻しになられました。それからまた瞑想するように、鋭い光を宿します。

すると一頭の黒蝶が男性に向かって飛んで参ります。男性はそれを見越した様に、止まり木のように柔く人差し指を立て、羽休めの場所をお作りになられました。黒蝶もそれを察したように、糸のような手足を絡ませました。

「教会の鐘の音を聞いたんだ。奏法はペレズヴォン。複数の鐘の音を重ねて鳴らす、複雑な技法だ。なんでもイエスの復活を表現しているのだとか。

そしてこの黒蝶。不吉と呼ばれているけれど、死と再生を司るとも捉えられる。そして何より此処で見られるのは、神様の歓迎の意を持つ。

死は悲しいものだけど。全てを仕切り直すという意味では、幸運の象徴さ」

話終わるのを見計らったかのように、黒蝶はまた空の彼方へと消えて行きました。男性はまた静かに微笑むと、口を開きになられます。

「大丈夫。全て嘘にしてあげる」

その言葉を聞いた途端、思わずくらりと脳を刺激されました。思い返したのは本日の出来事。

道を歩いていたら、羽休めをしていた蝶を踏み付けてしまった事。周りを見回しても、混凝土ばかりだった事。土に返す事も出来なかったこと。仕方が無い故に、端の方に置き去りにする事しか出来なかった事。

「うっ......うぅ......。ごめんなさい......。ごめんなさい......」

「死は再生を示す。大丈夫だよ」

男性は静かに笑っておりました。

何故このタイトルなのか。

渡が全く救われていないから。

男性は救われたと思っているから、皮肉を込めて。

第三者が嗤うという意味です。


正教会の鐘を鳴らす技法は何種類かあるそうですが、今日聞いたのは多分、ペレズヴォンかなと。

意味的には復活を示すそうです。

詳しくないので間違っても、お許しください。

黒蝶を神社で見たんですよ。

これも死と再生を示すそうな。


君の罪を嘘にしてあげる。そうして救ってあげる。

というのを見て、皆様何を考えますかね?

私はその心情を『嗤う』と捉えたんですけど。



追伸 1

調べた結果、本日聞いたのは『トレズヴォン』でした。

今度こそ多分( 'ω') 動画見たので十中八九。

キリスト者の喜び、勝利を示すそうです。

此方も結構な超絶技巧。

足も手もドラムの様に震わせて音出してました。


追試2

ベレズヴォンと思わしきメロディーを聞いて来ました。

小鐘7回 中鐘4、5回 大金7回

小鐘を基準に打ち鳴らす回数を数えていたので、間違いはないかと。

やっぱりトレズヴォンに比べて気持ちが競っているし、少し悲しげにも聞こえます。

ラフマニノフ作曲『鐘』はこれが元になっているとか。


詳しくはないので、間違いならばお許し下さい。

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