超絶優男の僕が
優しすぎる僕にはこの世界は生きづらい。
アリ一匹だって殺したくない僕は、一歩一歩確認しながら歩くため、遅い。
そんな僕を見て親友の裕次郎が言った。
「琢磨、歩くだけで微生物はたくさん踏みつぶしてるぞ」
僕は出来るだけ歩くことをやめ、多くの時間を自室のベッドで過ごす様になった。
学校に来なくなった僕を心配したのか、親友の裕次郎が僕の部屋に遊びに来た。
「よっ、久しぶり」
「おう、久しぶり」
「琢磨、お前痩せたな。顔色悪いぞ、ちゃんと食べてるのか?」
そう言って、持ってきていたビニール袋を差し出す裕次郎。
僕はうんと頷き、「ありがとう」とビニール袋をうけ取った。
中を確認するとサラダとバナナとミネラルウォーターが入っていた。
彼は僕がヴィーガンだと知っているのだ、だから気を使って肉以外の物を選んで買ってきてくれたのだ。
さすが親友だ、僕はなんだか心に温かいものを感じた。
「ちゃんと食べてるよ。母さんもりんごとか野菜スティックを持ってきてくれるし……」
「そうか、まあ植物も生きてるけどな」
僕はもう何も食べたくなくなった。
「呼吸をするだけでも人間は空気中に居る菌を吸い込んで殺しているらしいな」
僕は呼吸を止め、暫くして酸欠で死んだ。
静かで真っ暗闇な世界、突然眩しい光に包まれる。とても心地の良い光だ。
「上原琢磨、この殺伐とした世界にそなたのような優しい心を持った者はとても貴重じゃ。死なすにはまだ惜しい、今度はちゃんと生きられるよう特別に我の全能力を授ける。もう一度生きてやり直すがよい」
僕は一瞬で悟った、これは神様だ、創造主だと……
はっとして目を開けた。
ゆっくり上体を起こすと、僕の足元では裕次郎が漫画を開いたままベッドにもたれかかり居眠りをしていた。
――今のは何だったんだ、夢?まさか
僕は力を試してみたくなり、とりあえず日頃から大嫌いだった戦争をこの世界からなくしてやろうと思った。




