日常が崩れ去った日
「日常なんてものは簡単に崩れ去ってしまう。」
ある部屋に立っている者はそう言ってニコリと笑った。暗く、顔は口元しか見えない。
「やあ、初めまして。えーと、、、一人称はどうしようかな。
語り手、というのは初めてするもので、、、分からないことだらけだ。」
語り手、と名乗る者は声が中性的で性別は分からない。そして、スーツを着ている。
「うん、決めた。一人称は僕にしよう。」
そう言うと語り手は椅子によいしょ、と座った
「一人称も決まったことだし、早速物語の第一話を話そう」
「なに、肩の力を抜いて聞いてくれ。これは僕が君たちに語る物語。その第一話目さ」
* * * * * *
同じ景色、似たような会話。ありふれたような日常に少年は生きていた。
「おい都!帰りアイス食おうぜ〜」
「あぁ、いいぞ」
少年 都は友達とアイスを買い、話しながら歩いていた。
こんな日常がずっっっと続いていく。
そう思っていた。
しかし日常とは脆い。崩れるのは簡単だ。
ちょうど信号待ちをしていたときだった。
「君、ちょっといいかな。」
振り返るとそこには警察がいた。
「え?」
都は驚きが隠せなかった。
なんで、、、なにかしたっけ。身に覚えなんて、、、
「急に呼び止めてごめんね。君を訪ねてきた人が交番に来てね。探してたんだ。」
「とりあえずついてきてもらっていいかな。」
「あ、あぁ、はい。」
少しホッとした。それにしても俺を訪ねてくる人?そんなのいるのだろうか。
でもこのまま着いて行かなくても疑われそうでこわいし、、
まぁ、今は着いていくしかなさそうだ。
ーーーーしばらく歩いていたが、交番などに全然着かないだけでなく、山道になっていく
おかしい。聞いてみようか。
「あの、道あってるんですか?」
都はおそるおそるくちを開いた。
「うん。あってるよ。たぶんそろそろ、、。あぁほら、着いたよ」
警察官に続いて草をかき分け少し開けた空間に入る。
しかしそこは、見たこともない神社だった。
「あの、ここ本当に___っ!!」
なんだ?背中が熱くなった、、何が起きてる?
都は訳の分からな熱さを感じながら倒れた
__あれ?視界がぼやけてきた。なんで?あ、そうだ、あの人に、、
都は最後の力を振り絞って上を見た。
満面の笑みを浮かべた警察官。
それが閉じていく都の瞳に映った、最後の光景だった。
* * * * *
「一話目はこれでおしまい」
語り手は、ぽん。と手を叩く
「ほら、最初に言った通りだろう?日常は脆い。
まぁ、都はそんなこと知らなかっただろうけどね」
語り手はニヤリと笑った
「いや〜〜、実は僕も日常が突然ぶち壊された事があって、、、」
そこで語り手はピタリと止まった。
「いや、待てよ、、?語り手は自分の事話さないか、、。あ〜、失敗失敗。」
そう言いながら語り手は立ち上がった
「取り敢えず一話目はこれでおしまいだ。二話はまた次回。
それでは、またのお越しをお待ちしております___」