第4話 杏と秘密の部屋
いよいよラビリンス?の入り口です。真業司センパイはテンション高めです。
私は今、学園長先生のご自宅に居る。
ご自宅は本校舎の裏手、学校の敷地内の奥の方、『エロ学』名物である学校外周ランニングコースの心臓破りの坂のところだ。そこに差し掛かった生徒たちはその瀟洒な館を見上げながらハアハア息継ぎして、「こんなところに学校建てやがって!!」と、心の中で毒づくそうだ(私はまだ未経験)。
なぜご自宅に居るのかと言えば
さっき学園長室で、真業司センパイがいきなり私の服を脱がせようとしたので、
「いえいえいえ!!ここではちょっとっ!!」とブロックしたからだ。
少し時間を戻そう。
「あなた達おふたりは午後から校外活動という事にします。私の方から、先生方とお家には連絡しておきます。 奏さん。あなたは今、鍵を持っていますか?」
真業司センパイは、脱がそうとする手をようやく止めてくれて「ハイ」と答えた。
「一ノ瀬さんを連れて行ってあげて、 あ、それから洗面器はお風呂場のを使わせるといいわ。タオルもたくさん用意してあげて、汚れたら捨てていいから」
「要領は心得ています」と真業司センパイは頷いた。
で、ご自宅のこの部屋に連れて来られた次第だ。
いったい何が起こるんだろう?! さすがにざわざわしてしまう
それに、さっきから真業司センパイが少し変だ。 目がキラキラしている…うん! いたずらっ子の目だ。
「さ、まずブレザーから脱いで」
センパイに背中から襟を摘ままれて、ブレザーの肩を抜かれてしまう。
そうやって私からはぎ取ったブレザーを腕に掛けながら、センパイは正面に回って私をじっと見た。
「杏ちゃん、もうベストにしているけど寒くないの?」
「私は熱量が高めなので、カーディガンは暑いんです。でもセンパイもベストですよね?」
「私は中にカイロをバリバリ貼っているもの。 カーディガンはね、袖をブレザーから出す着方が定番でしょ? でも、それは『真業司奏』的ではないの。だからカーディガンは着ないの」
「えっ?! そうなんですか?」
「そう! それに私、ガリガリでしょ? 単純に保温力ないの。運動部でも無いから、エネルギーを生み出す筋肉もないし。本音言うと重ね着してダルマになりたい」とアハハ!と笑った。
センパイらしくない…
センパイはニヤリ!と笑った。「今、私らしくないって思ったでしょ?」
センパイはいたずらっ子の目で私を覗き込んだ。
「私はね『真業司奏』って着ぐるみを着ているの。まあ、外面ってやつ。杏ちゃんだって、何等かの着ぐるみは着ているでしょう…あなたの場合は、そうね…きょうじに近いものかな…」
センパイ、ごめんなさい『きょうじ』の字も意味もしりません…
「でもね、あなたには今から“本当の男の子”を着てもらうの。だからさっさと脱いで!」
「“着る”には裸になるんですか?」
「その必要はないわ。制服の上からでも“着れる”。あ、スカートも脱いでね」
センパイ!言ってる事と要求が違うんですけど…
センパイは私から受け取ったブレザー、ベスト、スカート、リボンをウォークインクローゼットの一角に掛けて、代わりに可愛い柄のTシャツと短パンを持って来た。
「単にブラウスをお洗濯したいの。今日はこちらに泊まるのだから。あ、アンダーは私の“目分量”で何パターンか買って置いたのがあるから後で自分で選んでね。もしくは通販の即日発送で注文すれば、明日の朝には届くけど… それとも、アンダーも一緒にお洗濯するなら裸で“着る”? 私は何回か裸で“着た”事はあるけど…最初は恥ずかしいだろうから」と涼やかに笑う。
恥ずかしいって何?!!なんか、ホントにヤバくね?!
センパイはまたいたずらっ子の目に戻った
「あなたがどうしても必要だったの! だから色々準備したのよ。計画的に!」
突然ギューッ!って抱きしめられた。 “保温力のない”センパイの体温をガッツリ感じてしまう。
センパイ!これは反則技です! こんな事されたら
はい!って頷くしかない。
「男の子と言っても基本は同じ人間だから…」
センパイは、ますますいたずらっ子の目になって言葉を付け加えた。
「たまに驚くけどね」
それから私はどっさりのタオルと大きめの洗面器を手渡された。
「怖がらせたくはないのだけど、最初“着た”後は、すごく気持ち悪くなって、モドすのよ。今までの人は皆そうだったらしいし、私も酷かった。まあモドすのは杏ちゃんとしてではなく影日向くんとしてモドすんだけどね。 お互いのカラダが慣れてくれば平気になるから、まあ、少し頑張って」
…頑張るレベルなんだ…
「あのドアの向こうは…」とセンパイは広い部屋の向う側のドアを指さした。
「映画室なの。中に“本当の影日向くん”が居るわ。学園長先生いわく“トムクルーズのレスタト”より凄いって!」
トムクルーズって映画の人だよね…レスタト?映画にうといから分からないヨ。
Tシャツ、短パンになった私は『?』のまま、ドアノブに手を掛けた。
憧れのネ申的美少女の真業司センパイに体温が伝わるほど抱きしめられたら…
それは ボーっとしますよ!! うん!
次回は全く反対側の角度から、杏ちゃんまた、ボーっとさせられます( *´艸`)
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