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影日向くんは引きこもり  作者: しろかえで
3/23

第3話 ラスボスの部屋

ラスボス・すやまッチ”こと学園長先生と真業司センパイの“ぶっ飛び”発言が登場します。

授業、終わった! お昼だ!


お腹すいた!


カツサンド!! 行かねば!


「あんず~」

と後ろの席から声を掛けられる。

ヨッシーこと吉井花織(よしいかおる)ちゃんだ。あ、彼女のことはまた別の機会に紹介します。


「どうしたの? 私、これからカツサンド行くんだけど」

「購買の?! マジヤバじゃん!」


購買のカツサンドは主に男子の御用達メニュー。量はあるけど、脂、カロリーとも食堂のかつ丼と双璧だから、運動部系の女子以外には禁忌なのだ。


「お腹すいてるからいいの」


「そんなの、余計デブるじゃん。吸収よくて! あんずはさぁ~ 元は悪くないんだから その辺のことをさあ…」と言い掛けてヨッシーは教室の外の何かに気づいたようだ。


「なんと、パイセンが来たよ! こりゃ教育的指導だな」


ヨッシーの方を振り返っていた顔を戻すと、教室全体がざわざわしている。

真業司センパイが教室に入って来たからだ。


まるで皆が道を開けたようにセンパイは真っすぐ、私達の前に歩み寄った。


「パイセン!チ~ッス!」とヨッシー


「こんにちは吉井さん。お話なさってるところ宜しいかしら?」


「もちろんッス! パイセンからも指導してやって下さいヨ。あんずったらカツサンド買いに行こうとしてるんですよ。早く買いに行かないと無くなるって!」


ちょおっと! チクるなよ!


「うふふふ」とセンパイは涼やかに笑った。

「申し訳ないけど、それは、諦めてもらわないといけないわね」

それからセンパイは私の目をじっと見て言った。

「私と一緒に来ていただくのですから」


--------------------------------------------------------------------


真業司センパイは“その”ドアの前にお立ちになった。


“ラスボス・すやまッチ”こと『陶山尊子(すやまとうこ)』先生。学園長にして学園のオーナー

“鬼の学園長先生”その人の部屋の前。


嫌な予感しかしない。


センパイはそのドアをコンコンとノックした。

「真業司です。一ノ瀬さんも一緒です」

ドアの向こうから声がする。

「お入りなさい」



「失礼します」 センパイに伴われて恐る恐る中に入る。


大きくて立派な机に置かれた書類に目を通している学園長先生は背筋もピン!としている。


威圧感!


真業司センパイは私の斜め後ろに立った。


「1年3組 一ノ瀬杏さん」

学園長先生は書類から目を離して、私を射抜く。



「まず、最初に言っておきます。あなたと真業司さんとの信頼関係を壊す事はできないから。

私は真業司さんからは、何も聞いてはいません」

学園長先生はひと息吸い込んで言葉を続けた。


「あなたは、許可なくアルバイトをした。飲酒。不純異性交遊。この3つの校則違反を犯しています。」


「いいえ!!」

と叫んだけど… 無駄だとも思った。

アノ!詰襟野郎!!


と心の中で叫んだ途端、学園長先生がピシャッリ!と言った。

「あなたはご自分の不品行の事で咎められているのに、他人を責める感情をお持ちなの?」


確かにそうだ… 自分が悪い。


私は歯を食いしばった。


REDカードを食らったあの時だって、

膝が激痛で涙ぼろぼろしたけど、

原因は自分だったじゃないか!


だから、やっぱり歯を食いしばって

自分の足でフィールドを出たじゃないか


お母さん… そしてお父さん

ごめんなさい

私はまたバカをやりました。


それでも!


流れてしまった涙が線香花火のおしまいのように床に落ちるのを見てから

私はキッ!と顔をあげた。

「確かに私は不品行です。でも不純異性交遊だけはしていません!」


「『泥棒に入ったけど物は壊していません』と主張しているようなものよ あなたの言っている事は」


学園長先生に私はグッ!と見据えられた。

「職員会議での協議の上で、ということになりますが、6か月の停学。そうなると本学をお続けになられるのなら、留年と言うことになりますかね。真業司さん?」


「私は細則や懲罰についてはお応えはできません。 しかし、一ノ瀬さんはとてもいい子ですし、しっかりと反省もできる子です。だから彼女のこの貴重な1年を懲罰という失意の内に過ごさせるのは、あまりにも残念です!」


学園長先生は軽くため息をついて、私を見据える表情を少し和らげた。

「あなたはこんなに素敵な先輩を持っているのですよ。これは誰のところにも来るわけでは無い得難い事なのです。 感謝なさい! あなたの活発な性格はいい素養ではありますが、調子に乗り過ぎるところがあります。それは今後反省すべきところです。 言ったでしょ?『あんな大声で呼び込みしていたら、バレるの当たり前だよ』って」


「えっ?!」


思わず声が出た。


なんで?!!、影日向くんから話を聞いていたのなら“言われた”だよね。聞き間違い?言い間違え?


「あなたの聞き間違いでも私の言い間違えでもありません。あの言葉は確かに私の頭の中で作り出して発した言葉だから…」


えっ?!えっ?! 影日向くんってリモートか何か?


「いいえ あの時、私は彼をきていたのです」


私の考えを読んだように学園長先生はおっしゃる。でも『きる』って??



頭の中で『?』が渦巻いている私は、真業司センパイに後ろからそっと抱きしめられた。


センパイはさらさらの横髪を私のうなじにくっつけて、耳元で囁く。


「そう!男の子を着るの!着ぐるみみたいに」


「???」

目を丸くするだけの私に学園長先生は事も無げにおっしゃった。


「これはこの学園の精霊に導かれた奉仕活動なのです。私も長い間行って(おこなって)きたのだけど、もうそろそろ映画をゆっくり見る余暇を過ごしたいのです。だから私の後継者としてこの学園に奉仕するなら、あなたの不品行は不問に付します。

あなたの希望がこのまま学園生活を続けたいのであれば、他に選択肢はありません。また、この奉仕活動は無償のボランティアでもありません。活動費として1回1万円を支給します。」


「詳しいことは私が説明するね♡」

耳元から顔を離した真業司センパイは、日が差して来る窓を背にして私の目の前で、ふんわりと一回りターンした。

「男の子になるのって最高のアドベンチャー!!」


こんな、ぶっ飛んだ真業司センパイって!!?


私は長い夢をみているのだろうか…


呆然としている私に真業司センパイはうきうきと話し掛ける。


「まずはブラウスを脱いでちょうだい! 洗濯するから。今日は学園長先生のご自宅で合宿よ♪」


こうやって字に起こしてみると杏ちゃんは結構“男前”だったりします。

真業司センパイはどこまでが“着ぐるみ”なのでしょうか?


ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、切に切にお待ちしております!!


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