第17話 昼下がりの暗転
いよいよ最初の『奉仕活動』の始まりです。
日曜日の午後
私はしっかり制服を着て、学園長先生のご自宅にお伺いした。
今日はセンパイとお泊りして明日、そのまま学校へ行く手筈なのだ。
部屋に入ってクローゼットを見てみると既にセンパイが来ているのが分かった。
で、私も制服から着替えていると、センパイが何かを抱えて戻ってきた。
今日のセンパイはポニーテールにデニムのオーバーオール。拡がった裾から時折ネコ柄の靴下がのぞく。
「かわいい…」
やっぱり、つい口に出てしまう…
「あ、このオーバーオールかわいいでしょ? クローゼットにあった先輩の服なの。ベルボトムっていうらしいヨ このあいだここで読んだマンガに描いてあった」
それは先輩が着るからかわいいんだと私は思う。本人はちっとも自覚がないようだけど…
「それより、これ見て! 物置で見つけたの!プラスチックのカラフルな瓦? しかも真ん中からスライドするとふたつに分かれるの。面白いよね、何に使うのかしら…」
あぁ…
私には分かった
「センパイ、それは試割板ですよ」
「しわりいた?」
「ホラ! 空手で瓦割るのあるでしょ? あれです。 これはプラスチックだから繋げれば何度でも使えるんです」
「なるほど… でも、杏ちゃん、よく知っていたわね」
「ウチのお父さん、今は全然だけど…。昔、カラテやってたらしいから」
「凄~い! 頼もしい!」
「あ、今はダメダメですよ」
そんなたわいもない会話をしていたら、学園長先生が入って来られた。
「ちょっといいかしら」
私達ふたりは学園長先生の前に座り直した。
学園長先生は私の方を見る。
「あなたのクラスの吉井花織さんは不純異性交遊をしています。この事について近々審議をしますから…」
今度はセンパイの方を見て、言葉を続けた。
「あなた方には証拠固めをしてもらいます。 どんな方法をとっても構いません」
それだけ言うと学園長先生は部屋を出て行った。
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そんなバカな!!
間違いに決まっている!!
ヨッシーに限って!!
「でも…」とセンパイはおっしゃる。
「確かにここのところ吉井さん。様子がおかしかったわ…」
そりゃ、言われてみれば、ほんの少しだけ、変だなあって思う事はあったけど…
「だからって!! 証拠固めで調べ回るなんて、絶対にできない!!! 鬼だ!!鬼の学園長だ!!!」
「杏ちゃん!」
センパイは怒りで真っ赤になっている私の両肩を掴んだ。
「それは違うわ! 学園長先生は何の意味があってわざわざ私達に証拠固めなんてさせるの?」
「それは私たちの方がヨッシーに近いから…」
センパイは大きく頭を振った。
「学園長先生はこうおっしゃってるの『このままだと吉井さんを退学にせざるをえない。だからそうしなくていいように、こうなってしまった本当の事情を見つけなさい』って」
「どんな方法を使っても?」
「そう」
とセンパイは映画室のドアに目をやった。
「どんな手を使っても…ね」
2024.9.25更新
本当に久しぶりに奏センパイを描いてみました(^^;)
いったいヨッシーに何があったのかは次回以降という事で…<m(__)m>
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