第16話 しっぽ
ひょっとしたらR15に引っかかる??
大丈夫…ですよね…(^^;)
さっきスマホにメッセージが入っていて、奏センパイの具合が悪く、学校をお休みになられるとの事だ。
私は朝の自転車を漕ぎながら昨日のセンパイ達の会話を思い出していた。
原因の想像はつくけど心配する気持ちは軽くならない。
でも今日は部室に荷物の搬入をする日だし、この方が良かったのかも…
色々と考えてしまって、いつもは気を付けているペダルを踏みしめる力の強弱の調整も忘れてしまうくらいだった。
「恋人ができたら…こんなふうに心配するのかなぁ…」
ふと、頭に浮かんだ言葉に気恥ずかしくなってしまう。
なに考えてんだ!わたし
そんなこんなでテンション低めに教室に入ってみると
なんと、影日向くんが席についてパラパラとマンガを読んでるじゃん!
「えっ?!」
思わず声を発してしまう
気が付いた影日向くんが挨拶で返してくる
「一ノ瀬さん、おはよう!」
私は影日向くんのところへ飛んで行った。
「具合 大丈夫?ですか?」
「具合は悪くないよ」
私は周りを見回してから耳打ちする
「奏センパイ自身のですよ」
“影日向くん”の目がいたずらっ子になった。
「具合が悪いから影日向くんになったんだよ」
「えっ?! どういうことですか?」
「歴代の先輩達から受け継がれた『影日向くんのトリセツノート』に書いてあった。なんと、影日向くんを脱いだ後も軽くなるんだ。これ、体験済ね」
『影日向くんのトリセツノート』かぁ~ そんな物があるなんて、知らなかった
「お、影っち 来てんじゃん! オッハー!!」
ヨッシーの声だ!
私は慌てて身を離す。
「ふっふっふ!! 何よ?何よ?」
とヨッシーは私達を見てニヤニヤする。
「何でもないよ。オハヨ!ヨッシー」
「杏、目、泳ぎまくりだよ」
と言いながら影日向くんに近づくと今度はヨッシーが耳打ちした。
あ、影日向くん、いたずらっ子の目だ!
この後、何を言われるのか、なんとなく想像がついた。
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授業が終わって、さあ部活だ!!
影日向くんはどうするのかなと思っていると、私の前を同じ方向へさっさと歩いて行く。
「えっ?」
「一ノ瀬さんどうしたの?遅いよ」
「影日向くん、どこ行くの?」
「どこって、オレ達、付き合ってんだろ? だから一ノ瀬さんが行くところへオレも行く」
あ~やっぱり! ヨッシー このあいだの事を話してたんだ。
この影日向くんの“いたずらっ子の目”が物語ってる
「あれは、ヨッシーの思い込みだからね。センパイもその場で聞いたでしょ?!」
影日向くんは人差し指を口に当ててウィンクした。
「オレは本気だよ」
えっ??! そんな!! 本気って??
私は昨日、倖月センパイ達がしていた会話を思い出さずにはおれなかった。
「ま、それとは別に、オレが行くことは、倖月…センパイには言ってあるよ」
そんな話をしながら廊下を歩いていたので部室の前まで来てしまった。
「こんにちは~」
影日向くんがガラガラとドアを開けた。
「お~日向! また手伝ってくれるんだって、ありがとう」と天鬼センパイ
「今日に限っては奏より頼りになるかも」と倖月センパイ
「いつもいつも悪いわね… 今度、奏ちゃんに何かしてもらいなさいな」と酒匂センパイ
「何かってなに?」と天鬼センパイ
「腐女子のワタシにとってそれは…ナニでしょ」と酒匂センパイは意味ありげに笑う。
「あぁ、それだったら…」と影日向くんは私の方を見る。
「あ、杏はダメ! 奏専属だから」
そんな事を倖月センパイにサラッ!と言われたら
さっきの事もあるし…
私は下を向いてしまった。
「お、杏は今日は金時の火事見舞いか?」
また笑われてしまった。
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そんなわけで搬入のペア組で、私は影日向くんと組まされた。
「やっぱり男の子って力、強いね… いつもは持てない物がスッ!と持てちゃう」と影日向くんは力こぶをつくってみせる。
「じゃあ 私は少し力を抜いちゃおうかな」
「いいけど…トイレ行ってくるから待ってて」
影日向くんは廊下に私と荷物を取り残してスタスタ行ってしまった。
なんか、ちょおっと!冷たくない?!
さっきはあんなこと言っておいてさ!
いいよ!浮気してやる!
と荷物に抱き付いた。
しばらくすると、影日向くんがニヤニヤしながら戻ってきた。
「どした? 荷物抱えて」
「何でもない」
二人してまた荷物を積み替える。
「さっきさ! トイレ 初めて、立ってした」
「えっ??!」
私が取り落としそうになった荷物を影日向くんはガッシリ掴んだ。
それはいいのだけど…
このひと、また爆弾を投げる。
「しっぽを持つ動物の気持ちが分かった気がする」
ええええええ!!
「か、…影日向くん、それセクハラだから…」
「こらぁ~!! 影っち! 杏をいじめるな!!」
廊下のかなり向こうの方から、ヨッシーが飛んできてくれた。
ありがとう!! 持つべきものはやっぱ親友だよ
ところが大きな声では言えない一部始終を聞いたヨッシーは意外と真面目に腕組みした。
「う~ん そうか、そうなんだ… う~ん…」
私、その時は ちょっと当てが外れたくらいにしか思って居なかったのだけど…
その時のヨッシーの反応が
なんとなく
心に引っかかったままだった…
ようやく影日向くんを引っ張り出せましたが…
奏バージョンの彼はこんな感じです(^^;)
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