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聖女の条件

アレイシアの母マリアンヌはかつて国の5聖女のうちの一人であった。

聖属性の魔力は最大であり極秘の人物として扱われていた。

すわ戦争、大災害で大規模な人的被害が無ければ市井に姿を現す事はない。


戦争がなかったとはいえ大悪魔という強大な怪物が出現する事は多々あった。

聖女はそのたびに騎士たちと共に戦い殲滅してきた。

かつて今までとは比べられない大悪魔が出現し4人の聖女が敗れマリアンヌただ一人生き残った事があった。


全てをあきらめかけていた時マリアンヌの心に竜の囁き。


『我の下へ大悪魔をおびき寄せろ。身体は動かんがそやつを倒す魔力は持っている』


騎士たちが先頭にたち大悪魔を竜の下へと誘うが目的地につく頃には一人の騎士とマリアンヌだけとなった。

しかも生き残っていた騎士も死を覚悟するほどに怪我を負っていた。


マリアンヌは小さいときから自分をお嬢様といって可愛がってくれた騎士を死なせたくなかった。

騎士の止める言葉も聞かずに自ら大悪魔に穢れを払う魔法を撃ち込み標的となった。


大悪魔に追い立てられ竜の下へ必死に向かったマリアンヌが見たものは黒い鋼の竜だった。


戦いは壮絶だった。


大悪魔との戦闘で怪我を負った竜と騎士を治癒魔法で癒やしたマリアンヌ。

騎士の怪我は治ったが竜の身体は老衰でいくら治癒魔法をかけても治しきれなかった。


治癒魔法は若返りの魔法ではない。

また竜もこれ以上生きている意味がないと思っていた。

しかしマリアンヌの治癒魔法により疲弊した魂はまるで自分が若かった頃の時のように感じる竜。

それでもこの世界で生きる気力のない竜は、記憶を失い何かに生まれ変わるのだろうと思っていた。

が気がつけば記憶を持ったまま自分の知らない世界に迷い込んでいた。


マリアンヌは竜の死を見届け騎士に助けられながら王宮に帰った。

王に大悪魔となった第三王子の末路を報告しその場で倒れた。


王家の内紛で出現した大悪魔との戦いはその後記録からも記憶からも消え去っていったが悪魔教信者たちの間でマリアンヌの名は轟いた。

むろん王家もそれを知らないわけがない。

マリアンヌの護衛に最強の騎士達をつける。

もちろん大悪魔に対し共に戦い生き残った騎士もその中にいた。


何度も命を狙われるマリアンヌ。

多くの危機を騎士たちに救われる。

なかなか集まらない聖女候補。

疲弊していく王宮や神殿関係者。

騎士たちの中には終わりの見えない任務に疲れ、役割から降りていく者も多かった。

その騎士たちの中に常に聖女や騎士仲間に気を使い戦闘においても群を抜くマリアンヌより少し年下の騎士がいた。

貴族騎士学校を優秀な成績で卒業し領主として騎士の経験を積む為に騎士見習いとして働く青年。

危機的状況で聖女を逃がすために殿を務め辛くも生き残ったその見習い騎士であったが血まみれになり倒れた。

応援に駆けつけた騎士たちと共に舞い戻るマリアンヌ。


マリアンヌが倒れている見習い騎士を抱いて声をかける。


愛する聖女様に抱かれて死ねるなんて僕は幸せ者ですと言って意識を失う見習い騎士。


愛を解いても愛していると言われたことのない聖女マリアンヌ。

顔は赤く蒸気し抱き締める腕にも力が入る。


マリアンヌが必死に治癒魔法をかける姿を見ていた騎士たちは『聖女様ってうぶなんだー』と思った。


マリアンヌと共に大悪魔と戦い生き残った騎士に睨まれる騎士たちはこの事を口にしたが最後、命はないと肝に銘じた。


ちなみに聖女マリアンヌを命がけで守った見習い騎士は治癒魔法で命を救われた直後勢いでマリアンヌに結婚を申し込む。

このとき初めて青年は侯爵家息女マリアンヌに自分が伯爵家のひとり息子であると告げた。

マリアンヌはにっこり微笑みプロポーズに答えた。


もちろん侯爵家である父母も了承し懸案だったクレイにマリアンヌに相応しいと認められたので婚約でき、新たな聖女たちが着任したと同時に結婚した。


蛇足ではあるが結婚式の日に青年の両親が領主の地位を息子に譲ると宣言した。

とっとと隠居し好きな畑仕事や庭いじり、釣りをしたり絵を描いて余生を送ると。


だがこの事件により青年は元々頭脳明晰で知られていた上に騎士としても優秀と認められ王の側近にさせられ領地に戻れなくなった。


結婚し夫婦として結ばれれば聖女の力は即座になくなりはしないが普通の治癒魔法を使う女性と同じ魔力になってしまう。


それでも元聖女マリアンヌの子供に王宮の期待は大きかった。

同時に悪魔教信者たちも聖女の子供は聖女に違いないとアレイシアを付け狙う。


そのお陰でアレイシアは10歳の時に本郷と出会う事態に陥る。


12歳になると全ての子供は魔力判定される。


元聖女マリアンヌの子供アレイシアには聖属性の魔力なしと判定された。


本郷の推測。

『自分がアレイシアの聖属性の魔力を奪った』

故に本郷はアレイシアに申し訳ない気持ちを持つ。


しかし皆は思う。

アレイシアは聖女の条件である聖属性の魔力を持たなくても行動が聖女そのものであると。




新たに出現した大悪魔ミューラーの前に屈する聖女達に騎士たち。

既に多くの月の光の兵士たちも聖女達と入れ替わるように撤退。皆大怪我を負っていた。


日が変わり空に月や星が煌めいている筈なのに黒い霧が全ての明かりを遮る。


聖属性の魔力を持たないアレイシアはミューラーに対峙する。


大悪魔にとどめを刺せるのは聖女の放つ聖魔法のみ。


既に2人の聖女は敗れ撤退、3人の聖女の魔法の効果を上げる為に再度ミューラーに攻撃を仕掛け弱らせなければならならない。


アレイシアと共に今ここに立っているのはグラハムにマーガレット、フローリアと数名の騎士たちである。


不安を隠しきれないアレイシアの肩がポンポンと叩かれる。


振り返ると父アレックスと母マリアンヌ執事のクレイが立っており、その後ろにマクシミリアンにルークそして多くの冒険者たちがいた。











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