表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/103

淑女道を極める少女

グレッグは防戦一方であった。

想像以上にミューラーは強かった。

身体は傷だらけ、尾に打ちつけられ手足の骨が折れた。

それでも這いつくばってミューラーに向かう。


「グラハム様、私行きます!」


建物の陰に隠れていたアレイシアが飛び出そうとするのを必死に止めるグラハム。


「今は住人を避難させるのが先だ」


見れば平民を装った月の光の兵士が大声で叫び避難誘導し逃げ遅れた老人子供や女性を担いで避難している。


「では私も彼らと」


「馬鹿言うな、俺達はグレッグが負けた後に戦闘に入るんだ。そういう作戦だと言ってあっただろうが」


ぐっと堪えるアレイシア。

戦闘準備が整った兵士が十数人息を殺して潜んでいる、ここで命令違反をすればみんなに迷惑が掛かる。


だがアレイシアは立った。


負けるという言葉はグレッグの死を意味するからだ。


月の光を守るために神の猟犬グレッグを見殺しにする。


「ここに侠客が居ます。組員の前に任侠であれと囁く侠客が」


アレイシアに自分の所属していた組のモットーを過去話のついでに言ったことはあるがべつに今ここで本郷はアレイシアに囁いてはいない。

第一に月の光ってヤクザ組織じゃないよなーと思う本郷。


アレイシアは自分の胸を親指で突いた。


「グラハム様は知っておられるはずです」


グラハムは苦い顔で頭を振る。


「私も本郷さんもやはり見てみぬ振りはできません」


「本郷・・・そうか本郷と言うのか鬼は。彼の事は知っているつもりだ、だが今の君の身体では戦闘術を身に付けた俺には勝てない。その俺でも単騎であの怪物には勝てない。合理的に考えろ」


「今から私はただの通りすがりの淑女となります、そうですね本郷さん!」


「何を言っているんだアレイシア」


戸惑うグラハム。


「本郷さん、私は淑女を極める女で御座います。淑女道を極めることとは任侠を極めるということで御座います。間違い御座いませんか」


誰にでも優しく困っていたり苦しんでいる人のために自らを省みないで救ってきたアレイシア。


多くの孤児や生活に困窮する人、病に伏せる人、才能が有るにも関わらずパトロンが付かない行き倒れになりかけの芸術家、仕事にあぶれた職人達をマクシミリアンと共に救ってきた。


本郷から見てもあまりにも他愛的な行動であった。


『ああ、間違いねえよ。お嬢の言うとおりだ』


アレイシアは大刀を鞘から抜きグラハムに背を向ける。


「そう言うわけだ、あんちゃん。あいつには美味い菓子を食わせるって約束しちまったんだ」


「鬼・・・」


顔だけグラハムに向けニヤリと笑う本郷アレイシア

背中が何かを語っている。


「こうなったらお嬢は止められねーよ、淑女だからな。そんな顔すんなって安心しな、あの野郎を助けてたらトットと引きあげる。むろんお嬢は絶対に無傷で返す」


そう言ってグレッグの元に走るアレイシア。


アレイシアの事は将軍はもとよりトラファルガーや姉のマーガレットから絶対に守るように言われているが何より自分が守りたい少女であったグラハムはマフラーを顔にまきつけるとアレイシアの後を追った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ