追い討ちをかけられる鬼
隙を見せなかった女性がひょんなことから素の姿を見せれば男の子は気になるものであろう。
小さなソファーにサラを座らせルークも寄り添うように横に座る。
ここで好きでもない男が隣に座れば女の子であったら体をひねり向かい合わせに姿勢を正すのだろうが相手は片思いの男の子である。
レイアという恋のライバルが居なくなったとはいえ未だにルークの心の中に彼女への思いがくすぶっているのは知っている。
それでも今はルークに寄りかかっていたいサラ。
ルークは目の下のサラの小さな肩を見つめる。
メイドとして働きに来た当初サラの肌が小麦色に焼けていた事を覚えているルーク、今のサラの肌は真っ白である。
荒れていた髪の毛はツヤツヤの栗毛色になっていることにあらためて気づく。
こんなか細い女性が家族や領民の為に必死で働いていたことに思いを巡らす。
怖いお姉さんが可憐なお姉さんに変わった瞬間である。
ルークとサラは夜通し話を交わす。
すでにルークのなかでレイアは遠い思い出となった。
世の中というものは事が起きると立て続けに色々な事が重なるものである。
ルークとサラを部屋に送った後ゆっくりリンゼイのお菓子を二人分堪能していたアレイシアの部屋をノックする執事。
「お嬢様、宜しいでしょうか」
つい二人分のお菓子を平らげてしまったアレイシアが慌てて身だしなみを整える。
「クレイ、今ドアを開けます」
すらりとした渋い初老の執事が困った顔をしていた。
「どうしたのクレイ、何かあったの」
「ハーシュレイ侯爵様とライトニング様がお嬢様にお会いしたいと」
「何も聞いていないのだけれど」
「前触れもなく突然で御座いますのでいかが致しましょうか」
「きっと事情があるのでしょう。侯爵様たちはリビングにいらしているのかしら」
「はい、アレックス様が対応されておりますが何やら少しお急ぎの要件のようでこうやって私めがまいったしだいで御座います」
クレイはそう言うとアレイシアを抱き上げる。
クレイの首に腕を回すアレイシア。
「さあ、行きましょうお嬢様」
久しぶりにクレイにお姫さま抱っこされるアレイシアは7、8年前の少し若かった懐かしいクレイの顔を思い浮かべる。
「クレイの匂いは変わりませんね」
「これからどれだけこうできるか少々寂しく思います、お嬢様」
お姫さま抱っこって楽でいいなー(棒)と思った本郷であった。




