おさわり禁止を言われて涙ぐむ淑女
『カッコいいライトニング様を拝見出来ましたので私、本望で御座います』
『うむうむ、アレイシアは良い娘じゃのー』
ライトニングに許しを得て頬刷りするやら背中に乗るやらベタベタと触りまくるアレイシア。
『で、お主も何かあるんじゃろう』
本郷は今までの経緯や自分の今の状態を包み隠さずライトニングに話した後、この状態をどうやって解消出来るか相談した。
『お主も難儀なことじゃのー。我の思う事で良ければ話すが』
ライトニングの話は本郷が立てた仮説と同じだった。
アレイシアから自分を消し去る方法も、自分が魔法で固定された魔力であることも。
『長い人生じゃ、アレイシアはまだまだ若い、その内お主が消える事になる事態がこんとも限らん。いまは伏して待つのが良かろうて』
本郷が若ければ、なにいってんだライトニングの旦那!そんなの待ってられるか!といきり立っていただろうが本郷もすっかりおじさんである。
大学中退で組員になり斬ったはったの博打の世界で暮らしたとおもえば男子禁制の甘味処の店を任され女性たちに気を使い、気がつけば数店を仕切る総支配人の役につき歌舞伎町店を中心に都内を駆けずり回って頭を下げる日々を送った。
挙げ句にこの世界に来て6年、様々な経験をし多くの野望に燃えたが同じ数だけ挫折を味わった。
酸いも甘いも噛み分け、ちょっと疲れたおじさんになってしまった武闘派任侠博徒本郷。
つかれたおじさんでなければ分からない事をおずおずとライトニングに聞く。
『ライトニングの旦那、どーしても聞きたい事が』
『なんじゃ、言うてみろ』
『この近辺っていうか、どっかそのお湯が湧き出てる処、それも近くに小川が流れていそうな処しりやせんか』
ライトニングはしばし考え込む。
相変わらずアレイシアはベタベタとライトニングに触りまくる。
『いい加減おさわり禁止じゃアレイシア』
『ええ!』
涙目になるアレイシア。
『しょうがないのー、あとちょっとだけじゃぞ』
有り難う御座いますといってライトニングの頬にキスしまくるアレイシア。
嬉しそうなライトニング。
『あのー』
『ああ、そうじゃったの。知っておるぞ、お主の希望にぴったりな場所がな』
目の前に現れる美青年にがっくり肩を落とすアレイシア。
『有り得ないですぜ旦那、なんでそんなに成っちまったんで。物理法則から外れてんじゃ』
『我は魔力そのものじゃからの、姿形はどうとでもなる。元々の竜の姿は我の生前の姿じゃ』
『ライトニング様、何故にその様なお姿に・・・』
『当然じゃろー、人の住みかに近づくのじゃ人に姿を変えるのが無難じゃて。どうじゃ、カッコいいじゃろー』
アレイシアのまわりには結構美形が多い。
多過ぎてそれが普通と感じるアレイシアにとってライトニングの人の姿は普通にしか思えない。
それでもライトニングに元の姿に戻って欲しいと言わないところが淑女である。
『なかなか素敵です、ライトニング様』
『そうじゃろー、そうじゃろー』
嬉しそうなライトニング。
着実に大人の階段を登っていくアレイシアであった。
『まあ、お袋さんに似るのは当たり前っちゃあ当たり前だわなー』
内面が外見を形作ると、水面に映るアレイシアを見て思う本郷。
可愛いから綺麗に変わってきているのを感じたのであった。




