聖女
淑女を目指していた幼き日のアレイシア。
今ではお菓子作りや料理の達人であり格闘家、更に冒険者として既に上級者。あらたな事業を生み出しては自身が投資家となって多くの商人に事業委託投資、ほぼ全て満足するほど成功していった。
昼は学校の制服か貴族としてはかなりラフなスタイル。ときおり夜、戦闘服で行動する。
本郷はアレイシアに謝る。
『すまなかった、お嬢。お菓子作りの体を作るつもりがこんな事になっちまって』
『気にしないで下さい、本郷さん。お陰で楽しく生活出来ています。感謝しておりますよ』
『だが、お嬢は淑女を目指してるんだろ』
『あらあら、私は淑女ですよ。ちょっとお転婆かなとも思いますけれど』
『そう、そうだよな。お嬢は淑女以外何者でもねえもんな』
確かに言われればアレイシアは淑女であった。
品がありマナーも守り、礼儀正しい言葉使いに態度、誰にでも優しく理不尽に屈しない。
見目も良く、微笑みを絶やさない。
悲しむ人達を救い、許しがたい悪に毅然と立ち上がる。
清らかな心に清らかな身体。
聖女一歩手前である。
『ま、まあ聖女の条件の一つを持ってないから神殿で一生独身ってことはねえと思うが』
神殿に聖女が現れなくなって既に100年近くなる。
100年にわたる戦争が終わってから聖女が現れないというのも平和な証拠であろう。
聖女というものが居ないまま戦争が始まると国が必死に聖女の条件に当てはまる女性を探し始める。
聖女の条件とは強力な治癒魔法や穢れを打ち払う聖属性の魔法を使える者。
それは女性だけに与えられた能力である。
過去の反省もあり国では常日頃聖女の条件に当てはまる女性を探し出し、戦争がなければ条件を満たす女性は王から保護を委託された貴族の下でそこそこ贅沢に暮らしている。
そういう女性はこの国に数人いるが王と貴族以外保護している女性を誰も知らない。
もし自分が居なければアレイシアは聖女の条件を満たす女の子だったのかしれないと思いつつ、本来聖属性魔法を使うための魔力が任侠博徒を呼び寄せ留まらせるのに使われたとしたら思うと申し訳なく思うと同時に楽しい日々を送らせてくれるアレイシアに感謝する本郷。
だが自分が存在する日々を長く送らせてはいけないと思う本郷。
アレイシアはわざと魔力を使い切る寸前まで使い本郷を消すことはしないだろう、例え本郷がそれを懇願したとしても。
本郷はアレイシアが魔力を使い切る寸前まで行く事態は来ないで欲しいと思いつつ、自分を消すにはその方法しかないのかと考える続けるのだった。




