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新たなる希望

『お嬢、おれはこっちのほうが良いと思うんだが』


『どうでしょうか、やはりこっちの方がカッコいいと思うのですが』


書き上がった演劇のシナリオが二本。


本郷は魔法少女が街に押し寄せる悪魔たちに仲間とともに戦う話に拘る。

アレイシアは無理やり本郷から聞いた任侠博徒の話が良いと譲らない。


『この、敵対悪徳博徒の嫌がらせに我慢して我慢して最後に一人でカチコミをかけるときに子分がズラッと並んで待っているところが泣けるではないですか』


カッコいいに拘るアレイシア。


年がら年中戦いに明け暮れるアレイシア。

気づけば学校も今年を入れて後2年。

学生らしことをしないと後悔すると本郷に諭され文化祭行事に参加することにした。


アレイシアのクラスでは演劇をやることになった。

そこでまず脚本をみんなで考えようとなり、各人がそれぞれ脚本を提出することになった。

脚本を書き始めると意外と面白く感じたアレイシア。

オリジナルを含めて何本か書き上げるが2本に絞る。


アレイシアが机に向かっている様子を見てホッとするアレックスとマリアンヌ。

だが書いている脚本はバトルものばかりと言うのは知らない。


『だけど、この世界には盗賊とかはいるが任侠博徒は居ないんだ、誰も理解できないと思うぜ。だからお嬢、ここは一つ魔法少女ものを』


せっかく魔法が在る世界に来たのに魔法少女の話を作らないのは勿体ないと思う本郷。

リアルな魔法が戦いで飛び交う姿が見たいのだ。


『仕方ありませんね、では任侠博徒を領主に置き換えましょう。これで問題ないです』


『そうなのか・・・』



脚本コンペが始まるとみんなお互いの作品を読んで点数を付ける。

アレイシアの出した任侠貴族の話がトップであった。

本郷が押す魔法少女ものは最低得点である。


ちなみにアレイシアの書き上げた作品はこうである。


辺境伯爵が隣の国の領地から逃げてきた領民を救うところから始まる。

領民を返せと言われるが逃げてきた元領民に様子を聞くと帰っても餓死するだけと言われ隣国の領民返却要請を跳ね除ける。

次々と嫌がらせを受ける辺境伯爵。

自分の国の王に救いを求めても原理原則しか返ってこない。

何人も領民が殺される。

とうとう話し合いに言った爺やと呼ぶ執事が殺された。

戦争になると思い、領民を一旦他の領主に預かってもらう。

「生きて帰れるか分からない戦いになる、無理は言わない戦う気のあるものだけ残ってくれ」

誰も動かなかった。

「ばか者共が・・・」

国対一領地である。

皆、恩義のある領主のために死ぬ覚悟だ。

雪が振り始める中、黙々と進軍する辺境伯軍。

もうすぐ戦場というときに軍隊がひしめき合っていた。

それでも進軍する。

相手の軍旗らしきものが見えた。

目を凝らしてみると領民を預けた領主たちの軍であった。

かつて国を守ろうと学生時代に誓いあった友たちである。

「ばか者共が」

辺境伯は目に涙を浮かばせるのであった。


劇が上演されると口伝えで話が広まり大盛況となり、見学できていた親が更に話を広める。

とうとう1日に3公演しなければならなくなった。


演劇に参加したみんなはへとへとになって倒れた。


その頃、アレイシア(本郷)は沢山の催しものが見たいと同性のクラスメート数人で校舎をウロチョロしている。

マクシミリアンは劇の背景美術を担当し舞台場面が変わる度に走り回っている。

ルークのクラスは模擬レストランをやっており料理人として忙しく働く。

ユミ坂本と疾風はお留守番。

流石に猫のタロスケは一緒で背中のバッグから顔を出しキョロキョロしている。

同性のクラスメート達が彼氏や許嫁と合流し始めると適当な理由を言って一人で見て回ることにする。


元々一人で行動したがる人が居たからだ。

その名は本郷。


アレイシア(本郷)は学園祭の休憩所に入り浸っていた。

各貴族の使用人(主にメイド)が見学者や教師にお茶を出すところだ。

どうしてもここに来たかった本郷は各貴族から派遣された綺麗なメイドを見て思う。


『なぜ、これをアレイシアのいるクラスはやらないんだ!俺だったら・・・』


相変わらずメイド喫茶にこだわる本郷。

今後の行動指針を思い浮かべる。


『ここにいるメイドさんはみんな美人だが可愛いが足りない、仕草や表情が事務的、何よりお客様と楽しむ姿勢が全くない。

先は長いがまずは女性も憧れるアイドルを作り上げもっと可愛いファッションを一気に流行らせ慣れさせる必要があるがそこはまあいけるだろう、そしてそこにフレンチスタイルのメイド喫茶を投入する。

最初はサクラを動員しみんなの後ろめたさを払拭し入店し易くする。

徐々に客数が上がったところで時間制にして客席の稼働率および客単価を向上させるために秋葉のメイド喫茶に近いサービスのオプションを提示してお客様の満足度と更なる売上の向上をはかる云々』


遠大な計画である。


潰えたかに見えた本郷の野望に再び火を付けたメイドのサラ。


アレックス・マーベリック伯爵邸で働くメイドのサラを使った本郷のアイドル育成計画。


諦めの悪い極道である、いや萌を極めるということであれば間違いなく極道なのであろう。


何も知らないサラと目が合うアレイシア(本郷)に迷いはなかった。



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