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黄金の指

「姉さんそこは、うっ」


「じゃあ、ここは」


「ああ、気持ちいい!」


「でわ、ここ」


「痛い!痛い!やーめーてー!」


本郷から聞いた人のツボというものを弟ルークの体を使って調べるアレイシア。

一カ所毎に人体の図へ指で押した場所を数字で書き込み、ノートに効果を記す。


中国三千年の指圧の歴史をこれから再現しようというのだ。

千里の道も一歩からという格言を心の支えに今、姉弟で挑む。


アレイシアは16歳、身長165センチ,体重55キロ(武装時は70キロ)の理想的な体型の超絶美少女。

本郷の持つ格闘技術を全て会得した淑女。

しかも実戦も記憶にないが体が憶えている。

対人に関しては戦闘格闘術、各種武器の使用法から極意まで極めてしまった。


最近はマクシミリアンやルークと共に森に分け入ってはゴブリン、オーク、オーガなどの魔物や魔獣相手に戦っていたが冒険者ギルドから諸場荒らしとクレームがはいり休止せざるを得なかった。


暇になったので本郷に何かないかと聞いたら人体のツボを刺激し体内から破壊する拳法を武器に戦う漫画を適当に教えられた。


所詮は漫画であると思って放置していた本郷。


面白そうだと始めたアレイシア。


実験を開始すると、とても気持ちが良いと評判になる。

ほめてもらうと調子に乗るのが人というものだ。

ここはどうだろうとか、こういう風に押すのはどうだろうとか試行錯誤しながらデータを集積化していく。


ある程度の所までいくと、いままでの成果を仲間以外に試してみたくなった。


最初は父につぎは母、近所のおばさんにおじさん、とうとう軍にまで。

美少女、美少年がする指圧に被検体希望者が殺到。


ちょっと趣味で始めただけだと実験データ収集作業を中止。

指圧の実験に飽きてしまったアレイシア。

いくら頑張っても相手を気持ち良くさせるだけで、話で聞いたヒ○ブとかア○シとかいう状態にならないのだ。


そんなところに指圧講師の依頼が王宮から来た。


講師の座を掛けたサイコロ勝負。


勝ったアレイシア。


ルークは納得できず姉が握るサイコロを奪うために動く。

技では姉に敵わないが力ではルークが上だ。

姉をベッドに押し倒し、からだ全体を使って動きを押さえサイコロを握る右手の指を一本ずつ広げる。


奪ったサイコロの微妙な重心の位置に気づく。


ルークはサイコロを振ってみる。


「このサイコロ、どうやったって半しか出ないじゃないか」


「勝負は勝負よルーク。勝負はその場に臨んだ時から始まると教えてあったはずよね」


「くっ・・・」


「勝つためには何でもする敵に死んでからどうやって抗議するの、ルーク」


「汚い!汚すぎるよ、姉さん」


「おとなっていうのは元々そう言うものよ、ルーク。哀しいものよね」


世の中の厳しさを教え諭すかのように優しく微笑むアレイシア。


かつて、『いかさまを見抜くためには自分がいかさま師になったつもりで経験を積むことだ』と本郷はサイコロを振りながらアレイシアに教えた。


『俺たちはいかさまをお客様に対してしなかったが、組同士で決着をサイコロや麻雀、トランプなんかでつけるときは相手が何をして来るかも分からんからな、闘いを始める前からが勝負なんだぜ、お嬢』


ベッドにうつ伏せに成りながら、タロスケや他の猫が背中を行き交うようにさせるために特別に作った釣り竿付きの猫じゃらしを右に左に背中の上で動かす。

猫が背中を駆け抜ける度に『ああん』とか『うふん』とか言っている。


ルークは迎えにきた近衛騎士のもとへとぼとぼと向かった。


ルークの腕が良かったという事もあり王は全ての貴族を説得し王立指圧学院を設立する事を決定した。


たった14歳で小さくはあるが新たな分野の学校を立ち上げたルーク。


伝説である。













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