世界の料理ショー
『師匠、私そのようなはしたない真似は出来ません』
『誰も見てないんだから、ここは思い切ってやってみるんだ』
涙目のアレイシアのまえにラーメンがある。
リンゼイは休憩時間で、アレイシアと作った新作ケーキを持ってメイドと共に控え室で試食会を行っていて調理場にはいない。
前日に作った麺を茹で上げストックしてあったスープと希少な醤油で混ぜ合わせ静かに丼に忍び込ませる。
ラー油がほどほどに浮かぶ所にハム(諦め)、菠薐草(本郷)、卵の輪切り、ネギ(本郷)を載せる。
メンマ、ナルトが無いのが残念な本郷。
レンゲ(本郷)に麺を載せて食べるアレイシアに業を煮やした本郷。
『ダメだ!それじゃあ麺ののど越しが味わえん!麺を4,5本摘まんでいっきに口に放り込み啜りながら食べるんだ!』
この国は本郷の知る西洋と文化が似ている。
食べ物を啜るという事はタブーなのだ。
『淑女として出来ません』
『お菓子、いや美味いものを極めるといったお嬢はどこに行った』
『ですが』
『食いしん坊からお菓子極道となった今、お嬢の目指すものはなんだ!』
『さ、さあ』
『いいか、極道の次にあるものは家だ!』
『家ですか』
『そうだ、自分が主人となる家だ!』
『はあ』
『言わば流派を己で立ち上げる、それが家だ!』
『自分の流派・・・オリジナル』
『その通りだ、お嬢。そこへ到達するのは厳しい修行、恥も外聞もない己との戦い。お嬢はそうならなければ俺を越えられない』
『・・・』
『お嬢はアレイシア流お菓子の総本家になるのだ。そのために全てを食らいつくす虎になるのだ!』
『師匠!やります!やって見せます!』
厳しい修行である。
いままでの価値観を捨て去る地獄のような修行である。
その後もっと厳しい蕎麦と出会うアレイシア。
ミントキャンディーを舐めてから蕎麦を食った者にしか分からない厳しい世界。
アレイシアはその日一度もキャンディーを口にせず蕎麦に挑んだ。
本郷は世界一の美食家を育てようとこの時決心した。




