いまどき俺の野望とかいう人
メイドが普通に居る国でメイド喫茶をやる馬鹿はいない。
そんな事をするくらいならレストランや食堂に看板娘を雇うほうが客を呼べる。
だが本郷にとっては未だにメイドはヘビーメタルバンド、アイアンメイドの次に気になる存在である。
アイアンメイドはエレキギターもドラムセットもアンプもイコライザーもない世界で再現できないが、メイド喫茶は可能であるがこの世界にそんなものに需要は無いように思えるが店を開けない訳ではない。
『俺は可能性に掛けたい。無理なこと出来ないがやれることであればそこに可能性というものが有るならばやってみたいと思っている』
『お店を作るのですよね』
『そうだ!この世界では女性の職場が少なすぎる。有っても給料も少なかったり男の欲望の捌け口にさせられていて見ていられん!』
『なにかの言い訳ではないですよね』
『お嬢、俺を見くびってくれるな。俺は価値の再発見と見過ごしてきた需要を掘り起こし新たな経済革命を成し遂げる。これは言わばルネッサンスと言うものだ』
アイドル的なメイドを作り上げ客から金を搾り取る。
別に後ろめたいことはしない。
ただかわいい服を着てもらい給仕をし、要望によっては一緒に歌を歌ったり客と一緒の似顔絵を絵師に描いて貰ったり、メイドの絵姿を売ったりするだけである。
まだアイドルソングの3つや5つは憶えている。
出来れば店公認のタニマチがつくといいかと思う本郷。
『本郷さん、やましいことは無いんですね』
『ああ、天地神明にかけてやましいことは無い!。この国は可愛いものを愛でる文化が圧倒的に不足している。いや知らないといった方がいいだろう。可愛いものを愛でるという言わば萌という概念を商売の道具としてではなく文化の一つとして提示し知らしめていく必要があると昨日分かった』
本郷は任侠博徒であるが『子猫のしっぽ』の店長でもあった。
その前は大学生であり時折光る棒をコンサートで振り回していた青春。
ヘビーメタルは組に入って魅力が分かるようになったが、店の運営に圧倒的に寄与したのはアイドルを追っかけたりメイド喫茶に入り浸っていた経験だった。
そもそもそういうことの資金稼ぎの為に株や為替を始めたのだ。
この体では博打も打てない、女性とも付き合えない、お酒も飲めない、喧嘩はちょっとしたがアレイシアの教育を思えば全て封印するべきだと誓っていた。
ゆえに欲求不満となる。
夢の中で店長時代の楽しかった世界が浮かぶ。
姉さんはさすがにビクトリアンスタイルのメイド服だったが若い従業員は競ってメイド服を改造し可愛らしさを競い、お客様と楽しんでいた。
そこで知ったことは女性は男のために着飾っていたわけでは無いということだった。
もう一度『子猫のしっぽ』をやってみたい。
尻持ちに将軍をアレイシアの料理で釣ろう。
資金は今までの調理器やゲーム、本などからえた利益があり必要以上の余裕がある。
アレイシアのお菓子や食べ物であれば、それだけでお客様は十分に来てくれるはずである。
そこに可愛らしいメイドが居れば受けない訳がない。
夢が広がりまくる本郷。
メイドが当たり前に居る世界で可愛いメイドで勝負する、言わばメイド界の革命。
これで俺は天下を取る!とはないきもあらい本郷。
『このあたりまではいけそうかしら、あらあら腰をまげたらお尻が見えちゃう』
本郷の野望は潰えた。




