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お嫁さんに出す側の気持ちを少し知ってみた

ここ数日格闘術の基本的な技の教本をマクシミリアンと作り続けるアレイシア。

午後からわざわざ離れた伯爵邸まで来てくれるマクシミリアンに申し訳ないと思うと同時に若干の好意を寄せるアレイシア。


絵の上手なマクシミリアンに技を写生してもらいイラストとして解説の脇に載せる。


「あとは基本的な考えと注意事項、怪我をした時の対処方法を書くだけで出来上がりです。色々ありがとうございました、マクシミリアン様」


「気にすることはないよ、僕も楽しかったし君の役に立てて嬉しいよ。こんなに君と一緒にいられるのは僕以外にいないだろうね」


こうやってアレイシアと一時を過ごしているのを親以外だれも知らない。

弟や貴族の友人には黙っている。

誰にも邪魔はさせないと必死なマクシミリアン。

アレイシアをこのままさらっていけたらと思うマセた男の子である。


実際、精神年齢も高く10歳とは思えない言葉使いや配慮が出来、頭も回ると本郷は思う。

親の地位を振りかざすこともなく誰にでも礼儀正しく優しい。

さらに自分より下の子供との付き合いや面倒見も良い。

時折木に登ってしまったりもするが、ご愛嬌と言うか年相応だと思う。


『お嬢にはぴったりな相手だな』


『何でございましょうか、本郷さん』


『あ、いや何でもない。お嬢もいつかお嫁に行くんだろうなって思ってさ』


『行きませんよ私』


『いや、そういう訳にはいかん。お嬢がお嫁に行くまでには俺も自分のケリをつけられる方法を見つけるつもりだ』


『嫌です!本郷さんはずっと一緒にいてください。居なくなるなんて寂しいこと仰らないでくださいまし』


急に涙を浮かべるアレイシアに驚くマクシミリアン。


「大丈夫かアレイシア。僕、アレイシアの気に障るような」


「ごめんなさいマクシミリアン様。ちょっと目にゴミが」


「見せておくれ」


ハンカチを取り出しアレイシアの目をそっと拭う。

とことん優しい少年である。


ドアがノックされる。


「ど、どうぞ」


アレイシアの代わりにマクシミリアンが答えるとメイドのレイアが部屋に入ってくる。


「アレイシア様、マクシミリアン様、お食事の用意ができておりますのでダイニングへお越しください」


「ありがとうレイア嬢、今アレイシアをつれて行くよ」


まだ若干動揺しているアレイシアの前に跪くマクシミリアン。


「立てそうかい」


「はい」


よろめくアレイシアをそっと支える。


「あしたまたきてもいいかなアレイシア。出来上がった本を見てみたいんだ」


二人で作った格闘戦術教本を明日の午後、将軍直轄の軍の兵士が受け取りにくる。


「是非、出来上がった本をみてください。マクシミリアン様の描いた絵を綺麗に表紙にしておきますので」


「楽しみだよアレイシア」


そして翌日、本郷がアレイシアをこのマクシミリアンに本気で託す事にしようと思う出来事があった。


それはアレイシアと本郷の別れの序章でもあった。




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