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お見合いは格闘でした

「将軍閣下に敬礼!」


近衛騎士団に並んで護衛騎士団と共に敬礼をするアレイシア。


『何でこの様な事になっているのでしょう』


『少し予想外だが気にすんな、お嬢。剣技のない単なる練習試合、これでお嬢が勝っても問題にはならんよ』


『それはそうでしょうけれど相手にも面子というものが御座いましょう』


『そんな面子しかもてないならとっとと潰しちまった方がいい、気にするな』


『はい』


完全に勝利を確信している2人。

淑女から格闘家に切り替えているアレイシアにニヤリとする本郷。


『だが油断しちゃあなんねーぜお嬢、俺でさえ油断したからドサンピンホスト野郎に殺されちまったんだからよ』


『はい、本郷さん』


試合は5対5で行われ、勝利数で決着される。

近衛騎士団の団長と護衛騎士団の団長が一本前へ出てお互いに握手。


「今回は格闘戦である。判定は行わない。どちらか一方が参ったと言った時点で試合終了とする。だがしかし、目潰し急所攻撃は一切認められない。宜しいか、騎士諸君!」


「「はい!」」


「うむ、諸君たちの健闘を期待する。以上」


第一試合、アレイシアが立ち上がる。


「アレイシア・マーベリックです。よろしくお願いします」


「ロック・フューラーだ」


合気道、柔道、プロレス技で臨むアレイシア。


投げ飛ばされ、いきなり飛んだかと思えば両脚で蹴り飛ばされ、手を掴まれたらさっと後ろに回られねじ上げられる。

挙げ句に巴投げを喰らわせられて仰向けになった所に覆い被され首を締め上げられる。


「参った!参ったからヤメテクレー!」


四の地固めの痛みに堪えられなかったロック・フューラーはとうとう降参した。


「さてっと、次の方どーぞー」


もう愉しくて仕方ないアレイシア。


『ふん、素人相手にはしゃいでいるようじゃマダマダだぜ、お嬢』


『はーい』


あっという間に絡んできたミッシェルも倒し、最後の大将戦となる。


「お嬢様、カッコいいですよ!」


「お嬢様、愛してます!」


「お嬢様、欲張り過ぎ」


「いいなーおれもお嬢様に羽交い締めにされたいなー」


何か変な声援も混じっているが護衛騎士団は興奮状態である。


「噂以上の戦闘技術ですな、感服致しました」


「どういたしまして」


「オーギュスト侯爵家当主グレゴリー参ります」


「はい・・・」


「っと、その前にですな、もし私が勝ったら家の息子と一度見合いをお願いできますか」


「へ」


「あれが家の長男のリリュースです」


グレゴリーが指を指す方向に目をキラキラさせてアレイシアを見ている美少年。


「見目も良いですし、頭もいいのでお得ですよ」


「何を仰っているのですか」


「我が侯爵家は強さを欲しております。残念ながら私も息子も憧れの近衛騎士団に入れませんでした」


「あのー、グレゴリー様は近衛騎士団員なのではないのですね」


「あなたも護衛騎士団員では御座いませんよね」


なぜ侯爵家の当主が騎士団のいざこざに紛れているのか。

なぜこんな所で見合いの話になるのか混乱するアレイシア。


「ご心配召されるな、勝っても負けても権力を傘にアレイシア殿に無理難題をふっかけるような卑怯な真似はいたしません」


『どうしましょう本郷さん』


『落ち着けお嬢、そう言えば将軍の家柄は知ってるか』


『公爵様です、グレゴリー様よりも上で御座います』


『ならば問題は無いんじゃないか』


「グレゴリー様、もし私が勝ちましても問題は御座いませんね」


アレイシアはチラッと将軍に目配せする。

ゆっくり頷く将軍。


「約束しよう、ただ」


「ただ、何でしょうか」


「あれがアレイシア殿に憧れていまして。アレイシア殿、あれの顔は覚えておりませんか」


「・・・ああ、いつもランニングしてるときに一緒に居たような」


「覚えていただけてあれも光栄と思うでしょう。

あれだけでなく他の貴族の長男次男もいる中でですから。

まあそういうことで私が負けた場合でも一言あれと話してもらえませんか」


みんなランニングウェア姿で平民も貴族も判らない集団を引き連れて走っていたということに衝撃を受けるアレイシア。


「・・・分かりました」




勝負は一瞬でついてしまった。


無論アレイシアの勝利であった。







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