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アレイシア謹製お菓子、近衛騎士団デビュー

『良くやったなお嬢』


目の前に広がる数十個のショートケーキと数個のプリン。


深夜からせっせせっせとリンゼイと共に作ったアレイシア。


甘い香りが屋敷の外にまで広がる。

5個単位で箱詰めし、冷却魔法で作った氷を敷き詰めた大きな箱に納めていく。


今日は近衛騎士団の馬車が迎えにくる事になっている。


何故こういうことになったかというとある意味、本郷のせいである。


だが本郷に自分が問題を起こしたという思いさえ浮かばない。

逆に体の弱いアレイシアを鍛え上げ健康にしたと自負しているのだ。

もう風邪で倒れたり貧血でよろめいたりしない、遂にはご近所の犬を恐れないと言うか目を合わすと尻尾を丸めてアレイシアに服従するまでになった。


そのおかげで深夜から始めたお菓子づくりもへっちゃらなアレイシア。


本郷はお菓子で釣ったアレイシアに自分の持つ全ての技を伝授する事に決めてある。

この辺が汚い大人であると自覚している本郷。

だが実はアレイシアも格闘術取得にノリノリであったが時折わざと拗ねたりしていた。

やはり淑女というものが染み着いているのであろう。


本郷の持つ格闘技術はほぼすべて対人用と言ってもいい。

必然的に練習相手は人間となる。

最初は弟のルークを、次に父アレックス、そして護衛騎士と手順を踏んだ。

更にメイド全員に護身術を叩き込む。

本郷の過去の反省もあり女性であっても、いや女性だからこそ自分の身を守れる強さが必要だと確信しているのだ。


道場が完成し、お披露目。

アレックスも腕を磨く為に王宮での仕事休憩中に鍛錬をしているときに知り合った近衛騎士団長を招いて柔道、空手、合気道、レスリング、ボクシングというアレイシアが次々と開発した格闘技をみてもらうことにした。


新しい戦闘術に目を見張る近衛騎士団長。

是非ともその技を取り入れたいとアレックスに請う。


「一番強い騎士はどなたかな」


ニヤリと笑うアレックス。


「騎士では御座いませんが良いでしょうか」


「騎士ではないと!」


「アレイシア、ここにきなさい」


道場の片隅でニヤニヤしながら練習風景を見ていた本郷アレイシアが立ち上がる。アレイシアはお昼寝中である。


最近ではマリアンヌも含めて伯爵邸の全員が格闘技の魅力に取り付かれてしまっていた。

気がつけば伯爵邸の中で天下一武道会(本郷)のようなものが開かれ、アレイシアは最強と認められてしまった。


強い者は強い者を認める。


アレイシアは戦術も戦闘技術も誰もが最強と認める武道家と成っていた。

本郷の見立ての通り元々アレイシアは弟並みの能力を持っていたのだ。

今では護衛騎士団の中で格闘術においては戦乙女として崇め奉られていた。


自分がどこまで強くなったかが気になるのも人間の性である。

話しの流れ的に近衛騎士と手合わせ出来そうな予感に嬉しさを隠しきれないアレイシア(本郷)。


「失礼ですがこの様なレディーが最強とは冗談が過ぎますぞ」


「冗談と言われましても・・・」


とはいうもののアレイシアから立ち上る威圧感が近衛騎士団長を押し潰す。


「あははは、じゃあここの護衛騎士団って言うのはそんなチビより弱いって言うことなんだ。情けないねー」


空気を読めない近衛騎士団の若者が護衛騎士団員を見渡し笑った。


「やめんか!ミッシェル。失礼しましたアレックス伯爵、そして許して欲しい護衛騎士団のみなのもの」


ぐっと堪える護衛騎士団。


だが護衛騎士団の中にも血気にはやる若者がいた。


「ふざけるな!貴様などお嬢様にかかれば、いや俺でもあっという間に倒してやれるんだ!」


「何だと!女の尻に敷かれている貴様がよく言ったものだ!」


2人が掴み合いの喧嘩を始めそうになり護衛騎士団長と近衛騎士団長が押さえにかかる。


心の中でニヤリと笑うアレイシア(本郷)。


王都でも最強と言われる近衛騎士団と相まみえることになった。


ちなみに作ったお菓子はこれからボコボコにする近衛騎士団へのお詫びの為の手土産である。


さすが礼儀正しい淑女のアレイシアであった。




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