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カッコよさは多数決で決まるものなんでしょうか

アレイシアの目の前に光が広がる。

それは次第に人の形に収束していき本郷が現れる。


『お嬢、泣くな。これでいいんだ』


『本郷さん』


アレイシアはじっと本郷を見つめる。


本郷はアレイシアに嘘をついていたことを思い出した。


『そんなに見つめられると照れちまう。あ、ヤバい俺の姿見てがっかりしたかいお嬢』


アレイシアは首を横に振る。


『かっこいいです本郷さん。本郷さんに見せてもらった男の人よりずっとかっこいいです』


『うれしいこと言ってくれるねえ』


泣き笑いの顔をするアレイシアを抱きしめるマクシミリアンを見る本郷。


『いい男になった。お嬢、坊ちゃんと幸せになるんだぜ』


一歩一歩ミューラーに向かう本郷。


『そうか、俺(我)はかっこいいのか。昔、同じようなことを言われた気がする。ひとつ頑張ってかっこいいところを見せねばならんな』


本郷の記憶が少しずつ消えていくと同時に黒鋼の意識が蘇る。


『やっとお目覚めね黒き竜』


『会ったことがあったかのう』


『ホントにもう失礼しちゃうわ!それよりあんた最後のお別れくらいちゃんとしなさいよね』


そう言ってアレイシアに顔を向けるライトニング。


『あらあらあら・・・やっぱりアレイシアちゃん聖女だったんじゃないの!』


アレイシアの中に冷属性の魔力と強大な聖属性の魔力、二つの魔力を感じたライトニング。

本郷をじっと見つめた後、ははーんと納得したような顔をした。


『あんた、アレイシアちゃんの魔力隠してたのね。ひっどーい!』


『我はあの少女に何もしとらんぞ』


『あんたがあの娘の魔力に覆いかぶさってたのよ!どーりでおかしいと思ったわ。謝んなさいよね』


『誰に』


『あそこにいるアレイシアちゃんによ!』


『何で』


『あんたはあの娘の中にいて聖属性の魔力を外から見えないようにしちゃってたの!』


『我があのような小娘の中にいただと!』


『オレは…あそ…いた…たしかにお嬢と共に俺は!』


本郷のわずかな魂の声が黒鋼に聞こえる。

思い出す黒鋼。

神ヶ谷レイジの命を救った記憶。

聖女マリアンヌの願いにこの世界に本郷として戻ってきたことを。


一歩踏み締める度に記憶を取り戻す。

次第に消えていく本郷の魂。

一歩進むごとに本郷の体は竜へと変わっていく。


『久しぶりじゃな黄金の竜よ、ずいぶんと口調が変わったようじゃが世界はかわったんかのう』


ライトニングがニヤリと笑いその姿を本来の姿に戻す。


『あんたこそ随分楽しそうな世界に行ってたみたいじゃないの』


二体の巨大な竜が黒い体毛に覆われた大悪魔に挑む。


『どう、勝てそうかしら』


『我の力も既に無くなりかけておる、難しいの』


『あたしもちょっと無理』


黒鋼はマリアンヌに語り掛ける。


『マリアンヌ、挨拶はあとじゃ。その娘アレイシアと申すようだが強大な聖属性の魔力を持っておる。穢れを払う魔法を教えるのじゃ。それまで我らがこれを抑えよう』


久々に聞く黒鋼の声、目の前にはかつて見た黒き竜の背中。

マリアンヌは嬉しさを噛みしめながらアレイシアの肩を掴む。


「アレイシア」 


「はいお母さま」


「今から貴方に聖魔法を教えます、いいですか」


「ですが、私の魔力は」


「大丈夫です、黒鋼様があなたに聖魔法を使うようにとおっしゃいました。信じなさい黒鋼様を」


「黒鋼様というのはもしや本郷さんの」


「本郷さんというのはどなたか存じませんが、あのかっこいい黒き竜が黒鋼様です」


微妙にお互い言っている事が理解できないがアレイシアは母を信じた。


『ではちょいとカッコいいところを見せんとな、よいか黄金の竜よ』


『あたしだってアレイシアちゃんにカッコいいって言われてんのよ!』


『そ、そうか。それはよかったわい』


昔会った聖女と目の前にその聖女によく似た娘にカッコいいといわれた黒鋼は勝ったと思ったが自慢しないことにした。


黒鋼がマリアンヌとアレイシアを見つめる。


『お嬢さん色々迷惑を掛けたようだ。すまんかったのう』


『黒鋼様、お気になさらないでください。それより黒鋼様、最後のお願いがございます』


『なんであろうか』


『本郷さんに楽しかったと、そして会えて良かったとお伝えくださいまし。お願い申し上げます』


『うむ、約束しよう。では後を頼むぞ』


竜と大悪魔の魔法による壮絶な戦いが始まった。





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