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TWO HAND  作者: 雪村 敦
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第三章

「雪村一佐。関門橋に差し掛かりますので船団全体にアナウンスを流していいですか?」

「ああよろしく。いや、私が流そう。マイクを貸して。」

「え、雪村一佐がなさるんですか?」

「ああ。たまにはやりたい。」

「了解しました。」

 川村が手渡してくるマイクを受け取る。

「ありがとう。」

「どうも。全船の放送につながってるので、いつでも話せますよ。」

「そうか。さて、なんて話すかな。」

 よくよく考えたら、話す内容は考えていたが、どのように話すかは考えていなかったことを思い出す。

「乗員諸君、船団指令の雪村一等海佐だ。本船団はこれより関門橋にさしかかる。知っての通り、関門橋は交通量が多い。よって上部甲板及び凹型甲板に出る際は必ず実習着に着替えるように。また、甲板上で武装等の整備などは禁じる。船室や食堂、ホールなどで小銃や拳銃、刀の整備や格闘技の訓練などは許可する。以上。」

 振り返り、川村にマイクを渡すと、妙な笑顔でこちらを見ている。

「何?私の顔に何かついてる?」

「いえ、これから隊内放送は雪村一佐でいいのではと思っただけですよ。」

「いや、今後私自ら放送するとしたらそれは部隊か、もしくは日本に何か重大な事件が起こった時だよ。」

 実際そんなことが起きたら私が放送するより先にそれに起因する事象が起こるだろう。

「それもそうですね。いつも雪村一佐が放送したら緊急時に緊急だという感覚が無くなっちゃいますかね。」

「それに、安易に雪村一佐がご自身の階級と名前をさらすのは避けるべきでしょうしね。」

 一応我々は表向きには存在しない部隊だしな。

「では、私は今のうちに部屋に戻るとする。船長と航海長は教官着に着替えておくように。」

「では私も部屋に戻ります。私も操舵室にいるのを見られたら面倒でしょうしね。」

「了解しました。では関門橋を通過し終わったらお呼びしますね。」

 操舵室を出て横を見ると、確かに一般船舶の往来が多い。これでは私や沢村が表立って行動したらすぐに見つかってしまいそうだな。

 急いで上部甲板を抜け、中層甲板の士官室の中にある司令官室と書かれた部屋の扉を開ける。

「ではまた後程。」

「ああ、またあとで。」

 沢村は隣にある副司令官室と書かれた部屋に入っていく。

 こちらも部屋に入る。

 ベットに執務机、壁には大きな帆船の写真、木製のハンガーラック。それ以外は執務鞄と少しの書類。

 机につき、書類を読んでいつ途中も、さっき山本に言われた名前が頭の中をめぐる。

「…イゴール・ソコロフ、か……。」

 口に出しても思い出せない。記憶にはない名前だ。だが、何か引っかかる。どこかで会ったことがあるのか、それとも忘れているのか。

 …眠いな。ここの所夜更かしが多かったからな。

「少し、眠るか。」

 刀を外し、拳銃を机に置くと、上着をハンガーに掛け、帽子を机に置き、ベットに入る。

 目を閉じると、自分が思っていたより疲れが溜まっていたらしく、すぐに眠りに落ちた。

――――――――――――

「山本海将。おかえりなさいませ。」

 偽装タグボートを降りると、目の前に止まって車の前に1人の女性士官が立っている。

 雪村一佐や沢村二佐の様な長くつややかな日本人らしい黒髪だが、雪村一佐の様な幼い見た目ではなく、すでに成人し、少し経った女性だ。あの2人に比べると若くはないが、一般的な士官からすると、とても若い。

「武井一佐、出迎えご苦労。」

 敬礼すると、車のドアを開ける。

 車に乗ると、ドアを閉める。そして、反対側のドアを開けて、乗り込む。

「武井一佐。例の情報は手に入ったかね。」

 すると、執務鞄から封筒を取り出し、渡してくる。

「ええ。例のテロ組織、ストライカーの所在地。どうやらモンゴルのアルタイ山脈に本拠地があるようです。」

「モンゴルか。本部に連絡し、他国軍に情報をリークしておけ。それと、船団の動向は確認しているように。あと船団からの連絡は見逃すな。」

「了解しました。」

 武井は、鞄を持って車を降りた。

「さて、総監部へ向かってくれ。」

「了解しました。」

 車が発進し、呉総監部へ向かう。

「…雪村一佐、頼んだぞ……。」

――――――――――

 どれくらい眠っただろう。随分長い間ねていた気がする。

「沢村二佐、雪村一佐に怒られますよ?」

「でもこの寝顔は起こすのもったいなくないですか?」

 ん?私の顔を見てるのか?

「…ん。……ん?」

 寝起き過ぎて声が出ない。

「あ、雪村一佐起きられましたか?」

「ん。ああ、おはよう。私の部屋で何をしている?」

 ベットの上に座ると、正座をしているつもりでも、つま先が左右に出て、お尻がじかにベットにあたる。俗にいう女の子座りとかぺたん座りってやつだ。

「一佐を呼びに来ましたら、お返事がなかったので、沢村二佐にお話ししたら、様子を見てみようと言う事になったので、扉をあけて入ってみましたらお休み中だったので、少し時間を空けてもう一度来ようと思ったんですが。」

「雪村一佐の寝顔はとても癒されるので、眺めていました。」

「堂々と言うな。伝達があったならすぐ起こしてほしかったな。」

 ベットから降りて、ハンガーに掛かっていた上着に袖を通していると、2人は執務机の前に並んで立っている。

「雪村一佐。本船団は関門橋を無事通過し、間もなく見島沖を通過する予定です。」

「このままの航路と速度を保っていれば、遅くとも明日の早朝には到着していたと思われます。」

 時計を見ると、もうすぐ17時と言うとこだった。

「では、川村三佐、18時から夜間勤務シフトに移行し、3回に分かれて夕食をとるように通達せよ。あと、沢村二佐は残るように。以上、解散。」

「了解しました。では失礼します。」

 川村が部屋を出ていくと、沢村が少し困った顔をして向き直る。

「ええっと、雪村一佐?どうなさいました?」

「沢村二佐。貴官は私の寝顔の写真を撮っただろう?」

 ギクッっと体が震えるのが分かる。

「なんで、わかったんですか?」

「長い付き合いだからね。今まではすべての写真を削除させていたが、今回は1枚だけ保存しておくのを許可する。」

「え!?いいんですか!?」

「その代わり、これ以降同じことをやったら部隊懲罰だからね。」

 沢村は満面の笑みで敬礼して出ていく。

「ああ、沢村二佐。川村に伝えてくれ。夜のうちに全装備を点検しておくように。ただし発砲は禁止だと。」

「了解しました。では失礼します。」

 そう言って沢村は、部屋を出て行った。

「さて、書類もさっき片づけてしまったし、やることが無いな。」

 もう一度寝るにしても、起きたばかりでは眠れないな。

 食堂でも行って食事でも。いや、早すぎるか。

「下層甲板でも散歩するかな。」

 軍帽をかぶり、拳銃の弾を確認する。

 上着を着て、腰についているホルスターにベレッタを2挺と、右腰のホルスターに9mm拳銃を入れる。

「雪村一佐、おられますか?」

 上着を着ていると、扉の外から沢村の声が聞こえてくる。

「いるよ。入って大丈夫だ。」

 すると、扉を開けて沢村が入って来る。

「雪村一佐、川村三佐ここからの航海予定を確認したいとのことですので、操舵室までお越しください。」

「了解した。少し待て。」

 机に置かれていた刀を手に取り、下緒(さげお)につるす。

「待たせた。」

「では操舵室へ向かいましょうか。定時交信はすでに私の方でやっておきました。」

 部屋の扉を開けると、廊下内は薄暗い照明がつけられている。

「夜間は夜戦に対応できるために薄暗くしているので足元にお気を付けください。」

「ありがとう。」

 ゆっくりと床を確認しながら階段に向かう。階段は廊下に比べて少し明るいが、やはり暗い。

 甲板に出ると、そこは一寸先も見えない暗闇だった。

 寝ている間に帆をしまったようで、床の下の方からエンジンの振動が感じられる。

「こういう暗闇に出ますと、2人だけで旅をしていた頃を思い出しますね。」

 後ろで、船側面の安全用の鎖に手を掛け、海を眺める沢村を振り返り、立ち止まる。

「もう3年も前の事だからね。そりゃ懐かしく思うよね。あの頃は大変だったけど、楽しかった。」

「ですけど、もう一度やりたいとは思わないですけどね。」

 沢村の隣に立ち、鎖に手を掛ける。

「智美。今は敬語じゃなくていい。今は一応オフなんだ。」

「じゃぁ、鶴音の写真撮っていい?」

 広角が緩み、変態の様な顔つきになる。

「智美。射殺されるかカメラをしまうか選ばせてあげる。」

「すみませんしまいます。」

 すぐにカメラを上着のポケットにしまう。

「こんなに暗い海を見てると、故郷を出た日を思い出す気がする。」

「!?鶴音、『あの日』の事を覚えてるの!?」

「いや、智美に連れられて森の中を逃げた記憶しか残ってない。それに、あの村がどんなところだったかも覚えていない。」

 2人で故郷の村を逃げた記憶。

 あの時、鶴音は物心ついて間もなかった為、智美に連れられて森の中を走り回っていた記憶しか残っていない。

「そう、なんだ。『あの日』の記憶。個人的には思い出さなくてもいいと思う。あんな村での思い出なんて、思い出さない方がいい。」

「そう言うもんかな。」

 2人で鎖に腕を置き、海を眺めていると、船首方向から煙草の香りが流れてくる。

 船首方向を見ると、川村が操舵室横の見張り台で煙草を吸っている。

「川村、本当に煙草が好きだな。」

「行きましょうか。」

 階段を登っていると、川村が吸っていた煙草を携帯灰皿に捨て、もう一本煙草を取り出し、ライターを探している。

 思いついたように鶴音駆け足で川村の後ろに立つと、ポケットからライターに火をつけて川村に差し出す。

「火ならあるよ。」

「ん?おおありがとう。」

 なんの疑いも持たずに煙草に火をつける。

「ん?」

 ふと顔を上げた川村は、鶴音の顔を見た瞬間、手で支えていた煙草を落とす。

「!?雪村一佐!申し訳ありません!」

「吸ってていいよ。我々は作戦室で待ってる。」

「いえ!大丈夫です!」

 川村は、床に落ちた煙草を拾うと、携帯灰皿に入れる。

「そうか。じゃぁ行こう。」

 操舵室のスライド扉を開けて操舵室に入る。

 中では夜勤を担当している隊員が2人、夜間灯の赤い光の中で立っている。

「雪村一佐、お疲れ様です。」

「ああ、ご苦労様。作戦室にて今後の航路を話し合う。海将殿からの連絡でない限り我々が出るまで誰も入れるな。」

「了解しました、雪村一佐。」

 敬礼する2人の横を通り過ぎ、操舵室奥にある作戦室に入る。

「雪村一佐、お休みでしたら別にお越し下さらなくてもよろしかったのですよ?」

「問題ないよ川村三佐。私だって、良く寝なきゃ動けない子供じゃない。」

「雪村一佐はまだ13歳じゃないですか。沢村二佐も同様に、我々からしたらまだ子供ですよ。」

 一番最後に入って来る沢村も、驚いたような顔をしている。

「まぁどちらも、普通に生きていれば中学生ですもんね。」

「そうですよ。少なくともお2人くらいの年齢ならば、ちょうど初恋でもしてる頃なんじゃないですか?」

「…それは個人差があると思うが、まぁそれくらいなのだろうね。それより、航路の確認だったな。」

 夜間灯の中、川村は思い出したように、真ん中にある机に置かれた航路図を指さす。

「現在本船団は、見島沖40キロの地点を、エンジン航行速度10ノットで航行中です。このままいけば4時間後にはリアンクール岩礁に到着すると思われます。」

「了解した。哨戒艇(しょうかいてい)がいる可能性もまだ捨てきれない。水上警戒を厳にせよ。」

「了解しました。」

 川村は一度敬礼をして、作戦室を出ていく。

 しばらくして、船内に放送が流れる。

『乗務員各位に通達。船団、対水上警戒を厳とせよ!』

 放送が終わってしばらくすると、船内で乗務員たちが走り回る音が聞こえる。すると、甲板上に灯りが付き、あわただしく乗務員が走り回るのが見える。ほかの船を見てみると、同様に甲板に灯りが付き、乗務員が走り回っている。

「哨戒艇がいた場合、今の装備でも十分だが、敵の勢力が大きければ哨戒機もいる可能性がある。哨戒機に対しての防空能力は、どの船もブローニング重機関銃のみだ。」

「いくらブローニングでも哨戒機が飛ぶほどの高度には対応できないですしね。砲でも対空攻撃はできませんし、はっきり言ってこの船じゃ島を占拠している敵に対してはかなり不利になりますね。」

「そこは練度と技量で乗り切るしかない。それに、哨戒艇であればブローニングでも対抗できる。砲は攻撃直前まで甲板上にてシートをかけておくようにと追加で通達せよ。なお、この指令は放送ではなく甲板長の指示により行え。」

「了解しました。」

 一度敬礼をすると、沢村も指令室を出ていく。

 1人になった指令室で、窓の外を眺める。

「……変わったな。」

 久しぶりの海上勤務で、少し楽しそうに砲の準備をしている隊員たちを見て、楽しそうでよかったと思っている自分に、少し驚く。

 前であれば、作戦中に楽しいと思う事は、いけないことだと思っていたにもかかわらず、今では、隊員が楽しそうに仕事をしていると、少しうれしい気持ちになる。どんなものでも、時間がたつと変わるのだな。

 そう言えば、戦争は変わったと言っていた諜報員は、元気に過ごしてるだろうか。長らく噂を聞いていないが、最後に見かけたときは随分と老け込んでいた。もう長くはないと思っていたが、どうしているだろう。

 (ん?少し速度が落ちたか?)

「雪村一佐、お待たせいたしました。どうかなさいましたか?」

 伝達を終えて戻って来た沢村が作戦室に入って来る。

「いや、物思いにふけっていただけだよ。川村三佐はどうした?」

「川村三佐は現在船務をしています。4番船の発動機に少々問題が出たため、すべての船の速度を落として、4番船の修理の完了を待っています。これにより、目的地到着が少し遅れることが予想されます。時間的には元の到着予想プラス2時間ほどかと。」

「合計で6時間か…。時間がかかりすぎる。最短でも5時間以内には収めたい。そうしなければ、朝を迎えてしまう。それからの攻撃はこの船団では攻撃力と防御力が足りない。最悪撃破されてしまう。」

 さすがに敵もRPGは持っているようだ。さすがに装甲を強化したとはいえ、RPGを何発も耐えられるわけがない。

「修理が完了し次第、全船最大出力で目的地まで迎え、少なくとも5時間だ。それ以上では午前6時を過ぎてしまい、朝日で発見されてしまう。」

「了解しました。」

 もう一度敬礼して作戦室を出ていく沢村の背中を目で追いながら、もう一度窓の外を見る。

 4番船と言えばこの作戦室から斜め後ろに見える。確かに甲板から照らされている煙突から出る煙はほかの船に比べて黒い。

「雪村一佐、通達終了しました。なお全乗務員中、船務員は実習着を着用しています。それ以外の乗務員は戦闘服を着て待機中です。」

 今度は川村が入って来る。

「引き続き警戒を続けるように。それと、上陸時戦闘員は揚陸艇で島に突撃する。砲と機銃の射撃は船務員が担当してもらう。船務員のうち、エンジン航行で必要最低限の人数を残し、それ以外は射撃要員に当たれ。」

「了解しました。失礼します。」

 沢村同様、一度敬礼して作戦室を出ていく。

「……これからは、少し暇だな。」

 部屋の端に置かれていた椅子を窓側にもっていき、窓の外を見ながら、物思いにふける。

 決して重要なことでも、大切なことでもない、どうでもいいことを考えているうちに、どうやら1時間が経っていたようで、沢村が慌てて入って来る。

「雪村一佐!電探に敵哨戒艇らしき影が映りました!」

「全船対水上戦闘用意!機銃射撃用意!」

「了解!」

 走って作戦室を出ていく沢村の後を追い、作戦室を出る。

「一佐殿、敵哨戒艇と思われる影は、ここから北に200メートルの地点です。昼間であればもっと早くに発見できていた、もしくは、発見されていました。また、堂々と灯りをつけて航行していた為、すでにこちらからは目視で確認できます。」

「以上の情報から、敵哨戒艇には電探やそれに類する装置は搭載されていないと思われます。今であれば、90度進路を変えれば砲での撃破は可能です。」

「艦砲射撃では、時間的にリアンクールに到着するころには朝になってしまう。この船は旋回能力と移動速度が低い。だからこそこのまま突っ切るしかない。追撃されるようであれば、機銃で牽制する。以上だ。」

 川村の顔から眼を離し、操舵室正面から前方を見つめる。

「了解しました。全船に砲の射撃はしないように通達をしておきます。」

 伝声管に向かい、川村は電信室に指令を送ると、すぐに了解との返事が返ってくる。

「目標地域に到着するまでまだかかるだろうが、警戒は緩めるな。」

「「「了解!!!」」」

 乗員が敬礼する中、伝声管から声が聞こえてくる。

『電探室より操舵室!接近する所属不明の船舶を3隻確認!』

「雪村一佐、来ましたね。」

「ああ。接近中の船舶を敵船と仮定する。自衛においては武器の使用を限定的に許可。許可するのは小火器及び軍刀。」

「了解しました。川村三佐、全船に、自衛目的での小火器及び軍刀の使用を許可と通達。」

「了解しました!」

 走り去る川村、その数分後、船内に放送が流れる。

『全乗員へ通達。接近中の船舶を敵性船舶と断定。小火器及びグレネード等の使用を許可。また、敵の突入時に限り、軍刀の抜刀を許可する。繰り返す、接近中の……』

 放送の直後、電信室から報告が入る。

『電信室より操舵室!4番船より、機関の回復を確認したとのことです!』

「了解した!全船に通達!速度制限を解除する!前進一杯で突っ切るぞ!」

『了解!通達いたします!』

「聞いた通りだ!前進一杯!遅れた時間を取り戻せ!」

「了解!」

 一度の敬礼と同時に、レバーを前に倒しこむ。体でも船が加速するのがわかる。

 気づけば操舵室には双眼鏡を持った隊員が増え、両舷の見張り台にも双眼鏡を持った隊員が3人ずつ立ち、全周囲警戒を行っている。

 前を向いた瞬間、横を走っていた四番船で爆発が起きた。

『緊急!緊急!敵からの攻撃を確認!繰り返す!敵からの攻撃を確認!』

「接近中の船舶を敵船と断定!全船、攻撃はじめ!」

 その号令と同時に、とてつもなく長い4時間が始まる。

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