より深きダンジョンの階層へ
空を飛んでいる俺の足下には広大な湖が広がっている。
湖の水は鮮やかな薄い藍色だが水底が見えないほど深く、穏やかな陽ざしで水面が輝いている。
湖の中心部には、新緑色の葉をもつ巨樹が存在していた。
その巨樹に近づいてみると、根本には大きな空洞があった。
『魔力視』の魔法によって、その大空洞に大量の魔力が満ちているのが見える。
巨樹も魔力を纏っているようだが、炎の竜レムクルドが教えてくれたダンジョンと思われる大空洞よりは魔力が少ないようだ。
俺は巨樹の前に降り立つと、ダンジョンの入り口である大洞窟の中へと進んだ。
以前訪れたダンジョンは、ただの暗闇に包まれた洞窟という雰囲気だったが、このダンジョンは違った。
ダンジョンの奥に進むにつれて、太陽の光が届かなくなり、徐々に暗くなるはずだが、このダンジョンは奥へと進んでも、ほんの少し暗くなっただけで、後は一定の光量を保っていた。
その光源である発光する苔のおかげで『暗視』の魔法を使う必要はない。
しばらく進むと、分かれ道があった。
ここも以前のダンジョンとは違っている。
単純な一直線の構造ではなく、分かれ道や行き止まりのある複雑な構造となっている。
俺はダンジョンコアを解析して身につけた『生命創造』の魔法を使って、蝙蝠の魔物を分かれ道がある度に三匹ずつ生み出し、その分かれ道の構造を調べさせた。
『生命創造』の魔法で生み出した魔物は、創造者の命令に従う。
生み出した魔物が感覚器官から得た情報を創造者は得ることができ、遠隔で魔物に命令することもできる。
つまり、このダンジョンの構造を蝙蝠の魔物を使って把握し、ダンジョンの奥へと進んでいる。
たまにダンジョンに生息する魔物によって蝙蝠の魔物を殺されるが、三匹全てが殺されることはほとんどない。
蝙蝠の魔物は『加速』の魔法を使うことができるので、逃げ足がとても速く、どうしても逃げられない場合は一匹が囮となり、残りの二匹を逃がしている。
ダンジョンの探索を進めていると、蝙蝠の魔物が下りの階段を見つけたようで、そこに向かった。
そして階段を降りると、相変わらず洞窟が広がっていた。
このダンジョンの入り口がある階層を1階層とすると、ここは2階層になる。
1階層と同じく蝙蝠の魔物を使って、2階層も調べた。
すると、1階層には生息していなかった魔物がいることがわかった。
階層毎に生息する魔物が変わるのかもしれない。
俺を殺そうとする魔物を魔法で退けつつも、地下深くの階層へ行くための歩みを止めずにいた。
文章を読むのとは違い、書くことは難しいと実感しました。
何度か作品を書いて、満足できる作品を目指していきます。
なので、この作品は更新を停止します。
再開、修正、削除の可能性もありますが、次は他の作品を作っていきます。