表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

『不老』の魔法

 ダンジョンの暗闇を照らす唯一の光源はダンジョンコア。


 その仄かな光が目覚めを促す。


 ダンジョンの中に太陽の日差しは届かず、朝なのかはわからない。


 周囲に張り巡らせていた『結界』の魔法には何の異常も無かった。


 固い地面の上で寝ていたのであまり疲れが取れた気はしなかったが、眠気は取れたようだ。


 睡眠だけでは取れなかった疲れを『回復』の魔法で取り除くと、何をしようか考えた。 


 眠っている間に魔力量は最大まで回復していた。


 昨日、『レベルアップ』の魔法が完成するとすぐに眠りについたので、『レベルアップ』の魔法を実際に試すことはできていない。


 なので、『レベルアップ』の魔法を使うことにした。


 魔力がごっそりとなくなったが、特に体の違和感を覚えることはなかった。


 風呂の代わりに『洗浄』の魔法を使って体の汚れを落とし、このダンジョンに住むことを決めた原因であるダンジョンコアが使う魔法を調べ始めた。


 ダンジョンコアが使う魔法は、『魔力変換』という生物の死体や武器や防具などを魔力に変換する魔法と『生命創造』という魔物や植物を生み出す魔法、『ダンジョン創造』というダンジョンの領域を広げ、構造を変化させる魔法の他にもありそうだが、今はこの三つの魔法を調べることに集中する。


 俺が願って得た知識の魔法だけに頼らず、自分で魔法を新しく作り、それを機械など一切使うことなく自分の力だけで使うことができることは、まるで生身で空を飛ぶようなことを可能にしているようでとても楽しく感じた。

 

 目を覚ますと『レベルアップ』の魔法を使い、魔法の探求を行って寝る。その間の食事は全て『魔力栄養』の魔法で済ませ、のどが渇けば水を魔法で生み出して飲んだ。


 この生活を半月ほど続けたときには、ダンジョンコアが使う三つの魔法を使えるようになっていたので、新たな魔法を修得しようとしていた。


 半月の魔法の探求を続ける日々の中で、魔法を極めることに終わりがないことを改めて実感した。


 ある魔法を調べていたら他の魔法にも応用できることが見つかったということが毎日のようにあった。


 地球でも常に終わりがない研究が大学などで行われている意味が少しわかった気がした。


 そして、とてもじゃないが魔法を少しでも極めるには寿命が足りないと思った。 


 だから新しく魔法を修得しようとしているのは、不老になるためのものだ。


 不老不死ではないので死ぬ可能性はあるが、そのときは魔法の研鑽が十分ではなかったとわかる。


 『不老』の魔法を完成させるために参考にしたのは、『回復』の魔法だ。


 『回復』の魔法は、重傷、身体の欠損、毒、病などを治す魔法だ。


 それぞれ違う種類の『回復』の魔法を用いて、『不老』の魔法を完成させようとした。


 結局、『不老』の魔法は完成したがそれまでの半年の間、他の魔法に手を出す暇もなかったので、これからは幅広い分野の魔法を改良しようかと悩んだが、とりあえずこのダンジョンでやりたいことは終えたので、他の場所に向かうことにした。


 この世界に来てから、長い間住んでいたダンジョンの心臓であるダンジョンコアを『異空間倉庫』に入れ、『転移』の魔法でダンジョンを出た。


 ダンジョンはダンジョンコアを失った瞬間に崩壊したが、俺を巻き込むことはなかった。 


 今度はもっと多くの魔力量まで増やすために巨大なダンジョンにでも行こうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ