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クリスマス

作者: 柴原百花

学校の帰り道にふと近くにある大きな公園に寄って、イルミネーションを見た。もうすぐ世の中でいうクリスマスである。クリスマスといえば、私の中で1番古い記憶がある。

5歳のクリスマスのことだった。私の家はこのころから共働きで、せっかくのクリスマスなのに母は夜遅くまで仕事で帰れそうになかった。

つまり父と私だけのクリスマスだった。

私は寂しいのを堪えて、一人で遊んでいた。日もとっぷり暮れた頃、突然父が

「出かけるか」と一言いうと、私を連れて近くの公園に行った。

公園はクリスマスのイルミネーションでキラキラしていた。そして、公園の中心にあるクリスマスツリーまで私を肩車し、

「目を閉じて。」

と、言われるがままにすると、父は私の手に小さな包みを渡した。

開けてみると、中にはキティちゃんの小さなキーホルダーが入っていた。

その当時、私の家はその日暮らすのがやっとなくらい貧乏だった。

子供ながらにそれを敏感に感じ、普段あまりおねだりをしない子供だった。

小さいプレゼントは大きな心の父からのささやかな気遣いだった。

あの日からもうすぐ15年が経とうとしている。父は2年前に会社を退職してのんびりと母と暮らしている。私といえば、もうはたちである。将来は図書館で働くつもりで現在は文系の大学に通っている。


そういえば、もうすぐクリスマスである。父はあの日のことを覚えているだろうか。バイトでもして、今年はプレゼントでもしてみようかな。私にしては柄でもないことだけど。

プレゼントをもらう父の顔を想像しながら、私はイルミネーションの中をゆっくりと歩いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当に優しいお父さんですね。羨ましいです。
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