僕の出発
見切り発車。
旅に出たい。そう決めたのは僕が十九になる頃だった。
なぜかわからないけど、元から実家にあまり執着がなくて、地方だからつまらなくて。
別に何か大きなことをしようと思ったわけではない。ただ、自由になりたい。そう思っていた。
「俺、旅に出たい。」
「危ないからダメだ。」
父に一蹴されてしまった。
だが母からある意味で助け船がきた。
「あんたはどうせ20になったらたたき出す予定だから。働き口は選ばなきゃあるでしょ、一人で生きなさいよ。」
おお、母上、キツいけどありがたいお言葉だ。
でもそれはありかもしれない、すぐに旅に出るのは難しいかもしれないけれど、ここにいるよりきっかけはつかめるんじゃないか。僕はそう思った。
「んじゃ、王都に行ってくるよ。あそこまでなら危ない道じゃないって聞くし、仕事もいっぱいあるよね」
「ふむ…行きたいんなら、行かせてやるか?」
「そうね、いいんじゃないかしら」
ということで20歳になった。旅に出発だ、が、先立つものは必要なのだ。
僕はパウチみたいにバイトしていないので(後で出てくる僕の幼馴染の名前である)
お金もないのだ。ということで王都までと、しばらくは暮らせるお金をいただきました。
ちなみにここはハクセ村というところだ、ほんとに何もない。100人くらいの町である。
村の入り口に僕と幼馴染が4人いる。最後に挨拶を今やるところだ。
「頑張ってきな。」
まずマチョス、こいつはいつもクネクネしている。だからかわからないが体が柔らかい。
「まあウィローなら大丈夫でしょ。」
そしてパウチ、パウチはカッコいい。長い髪を後ろで結んでいて女の子にモテモテなのである。
みんなで水浴びした時なんでこいつだけ髪型がカッコよく決まっている。ちくしょう。
「いいんじゃない。」
さらにベブすごく太っている。でも頭がいい。いつも言い負かされる。
あと今いないんだけど、最後にバガタというやつがいる。すっごい早口で、背が小さくて、頭の回転が速い。あいつならたぶん「ウィロー!ウィロー!お土産期待してるね!うんこ!」とか言ってくるだろう。
王都で働いているらしいけど会えるかな。まあいつもからかわれてたから会えなくてもいいんだけど。
「うん、いってきます。」
あ、ほんとに最後に僕、ウィロー。まあ普通?だと思う。よく優しいって言われるだけだ。
では出発である。