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大好き♪【詩織目線】

挿絵(By みてみん)

 こんにちは!!!

 あたしの名前は、椎名詩織といいます!

 みんなからは「シオリちゃん」と呼ばれてます。

 これからヨロシクたのむのだ!


 その日学校が終わってからなんだけど、あたしとあたしの友だちのマムは、

いつもみたいに一緒に帰ろうとしていました。

 そしたらね、ちょうど帰り道でナッちゃん(七海)たちと一緒になったんだ。

 もちろんミイちゃん(神酒)やリコちゃん(絵里子)も一緒だったよ!


「あ!ナッちゃんみっけ!」

「あん、シオリ。今帰ってきたの?」

「ナッちゃん今日はバスケは休みなのか?」

「明日キャンプに行くって言ったでしょ。準備だから今日は休み。」

「ふ〜ん。」

 ナッちゃんの横からミイちゃんたちもあたしに手を振っていたよ。


挿絵(By みてみん)

「は〜い、シオリちゃん元気?」

「あいかわらずナミと同じ顔してるね〜。」


 すると、あたしと一緒に手をつないでいたマムが、あたしから手を離してミイちゃんの横に行くと、ミイちゃんと手をつないだんだんだ。

 浮気者〜!・・・なんてね。

 実はね、あたし知ってるんだ。マムって1人っ子でしょ?

「マム、お姉さんが欲しいな〜。」っていつも言ってるんだよ。それでさ、「じゃあどんなお姉さんが欲しい?」って聞いたら・・・・。

「神酒さんみたいな人!!」だってさ!


 みんながしばらくおしゃべりして、それからそれぞれの家に帰りました。

 もちろんあたしとナッちゃんは一緒。

家に帰ってから、ナッちゃんは早速明日のキャンプに取りかかっていて、フンフン♪って歌なんか歌っちゃってさ。

 なんか楽しそう。いいなぁ〜・・・・。あたしも一緒に行きたいのだ~!


「ねえ、ナッちゃん」

「なに?シオリ」

「ナッちゃんいつ帰ってくるの?」

「そうねぇ、2泊3日の予定だから、金曜日までは帰ってくるよ」

「えー?そんなに!?」

「・・・ははぁ、シオリ。お姉ちゃんがしばらくいなくなるから寂しいんだ。」

「べ・・別に寂しくないノダ!」

「隠さない隠さない♪カワイイやつめ」

 ナッちゃんがあたしの頭をなでた。

 うう〜!なんか腹立つ・・・・。


「シオリ。あんたさ、そんなに1人で寝るのがイヤならママに頼んでみたら?

 『ママ〜!今日はママと一緒に寝たいノダ〜!』とか言ってさ」

「朝にダメって言われてしまった・・・」

「じゃパパは?」

「パスパスゥ〜!」

「アハハハ・・・・。やっぱりあきらめなよ」

 ナッちゃんはそう言うと、何かキャンプの準備でわからないことがあったのかな?

 ママの携帯使って、リコちゃんのところに電話をかけ始めたんだ。


 その時、玄関から声がした。

「シーオリちゃん!あそぼー!」

 もちろんこれはマムの声。


「いいよー。入ってきて♪」

 マムがあたしたちの部屋に入ってくると、マムがなにかいい匂いをさせていることにあたしは気付いた。マムが手に持ったハンカチを開くと、そこにはまだ暖かい焼きたてのクッキーが!

「お母さんが持たせてくれたの。」

「食べていいのか!?」

「もっちろん!」


 あたしがマムのハンカチからクッキーを食べようとした時、誰かが突然あたしの鼻をつまんだんだ。

「フギャア〜!」

 犯人はもちろんナッちゃん。

 あたしがあわててる隙に、ナッちゃんが電話をしながら、あたしが狙いをつけていたクッキーを食べちゃったんだ!


 不機嫌になるあたし!ニコニコしながら電話を続けるナッちゃん。

 ケラケラ笑いながら、あたしとナッちゃんを見ているマム。


 そう、そんな時だったの。

 あの不思議な出来事があったのは。


 最初はね、あたしはただナッちゃんがクッキーもぐもぐさせながら電話してるのを見て、「隙を見てナッちゃんの鼻つまんでやる!」なんて思いながら、チャンスを待ってたんだ。

 そしたら急に・・・。

 なんかよく判んないんだけど・・・・。


「あれ・・・・?ナッちゃん・・・・」

 まるでネバネバしたイヤなものがのしかかってくるような嫌な感じ。

 それが急にあたしの目の前からナッちゃんのほうに流れていって、なんだかナッちゃんが、まるで深くて大きな穴に吸い込まれるみたいに、スーッて遠ざかっていくみたいに見えたの。

 どこか遠くに行ってしまうような、手の届かないところに行ってしまうような、そんな不思議な錯覚。

 変だ。こんな変な感覚、あたし今までこんな気持ちになったことなんか一度もない。


 今でも判んない。なんであんな気分になっちゃったのか。

 急に寂しいような不思議な感覚におそわれたあたしは、ナッちゃんに何か言おうとしたんだ。


 そしたら、マムもあたしと同じものが見えたのかな?

 あたしより先にマムが、ギュッとナッちゃんの手をにぎったの。

 まるで落ちていくナッちゃんをつなぎ止めるみたいにね。


 あたしは少しほっとした。

 だって、もしそのままにしていたら、今すぐにでもナッちゃんが目の前から消えてしまいそうだったから・・・。


  びっくりしてあたしとマムを見るナッちゃん。

「どうしたの?マムちゃん」

 するとね、マムはこんなことを言った。

「ダメ!七海さん。明日キャンプに行っちゃダメ!」

「え・・・?」

 ナッちゃんは不思議そうな目であたしたちを見てた。


「どうしたの?マムちゃん。急に変なこと言って・・・」

「マムの言う通り!ナッちゃん明日キャンプに行っちゃダメだよ!」


 あたしもマムと同じことをナッちゃんに伝えた。

 でもこんな予感だけの話、信じろっていうのがムリだよね。

 正直言うとさ。あたしもマムも、なんで急にあんな気分になったのかもよく判らないし・・・。


 その夜。ベッドに入ったあたしとナッちゃんは、しばらく眠れなくてちょっとお話をしていたんだ。


「あたし、やっぱりなんだかナッちゃんにキャンプ行ってほしくないような気がするのだ・・・」


昼に見た変な幻。

 あたしはまだそのことが忘れられなくて、どうしてもそれが気にかかっていて、

ナッちゃんの顔をずっと見つめていた。


「まだそんなこと言ってんの?シオリ。いくら寂しいからって、ちょっとしつこいよ」

「違うの!違う、そんなことじゃなくってさ!」

「んじゃ、どんなこと?」

「ん〜・・・・。なんか心配なのだ・・・」


ナッちゃんがクスクス笑った。

「ありがと。心配してくれるんだね、シオリ。でもさ、ただ学校行事でキャンプに行くだけなんだから、別に何も起きないよ」

「うん。それはわかるんだけど・・・・。」

「さ、もう電気消すよ。あたしは明日早いからさ・・・」

 ナッちゃんが部屋の電気を消した。


 暗くなった部屋。ちょっとだけ残っている不安・・・。

「ナッちゃん。あのね・・・」

「シオリ!まだなんかあんの?」

「あのさ・・。今からナッちゃんのベッドに入っていい?」

「えー?また?」

「だって、明日からナッちゃんいないし・・・」


「・・・・・・・・しょうがないな。おいで」

 あたしはモゾモゾとナッちゃんのベッドに入り込んだ。


 ヤッタ♪やっぱり、ナッちゃん大好き♪

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