ジェームズ・フォレスタルのファイル
アメリカ合衆国ウィスコンシン州・アーカムにある古い高層ホテル。
その一室で、B・Dの長官であるジェームズ・フォレスタルが、報告書を読みながら、1人想いにふけっていた。
そうか、やはりあの子たちは『マトゥの木箱』を開けたか・・・。
読み終えた報告書をテーブルの上に置くと、彼はルームバーの片隅からお気に入りのワインを取り出し、それをワイングラスに注いだ。
乾杯だ。ここまでは計画通りだな。
後は時を待つだけ。
そうだな、1年後ぐらいがいい頃合いだろう。
そうすれば期は熟す。
木箱の中身は成長を遂げ、『旧支配者』を呼び出せるだけの能力を身に付けるはずだ・・・。
旧支配者の力は強大でも、知能は幼子と変わらない。
そこを突けば、後はイーバたちの科学力でも旧支配者を自在に操れるようになるだろう・・・。
ジェームズは再び報告書を手に取り、1度チラリとそれを眺めたが、その時数枚の写真が報告書の間からこぼれ落ちた。
その写真に写っていたもの。
それは、神酒・瞬・七海・絵里子・輝蘭・詩織・真夢の写真。
そして、詩織に抱き上げられる銀色のネコらしき生き物の写真。
ティムの写真の片隅には、ボールペンで小さく、「Yog-Sothoth (ヨグ=ソトース)」と走り書きされていた。




