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長い道のり

 詩織と真夢は地下施設を抜け出すと、七海を探すため、すぐに鳳町へと向かった。

 三世鶏町から鳳町の入り口までは約20キロで、そこからさらに鳳教会まで、数キロの距離がある。もし町が通常の状態でも、詩織たちにとってはかなりの道のりだ。

 それが町が荒廃して、道は歩きにくい状態の上に地形も風景も変わっている上に、いつビヤーキーたちが空から襲ってくるかも知れない。

 案の定。詩織たちは道の途中で、回りに気を遣いながらゆっくり進んでいるうち、自分たちがどの辺りにいるのか判らなくなってしまった。


「マム〜。今どこにいるのかわかる?」

「わかんない〜!」

「真実の瞳は?」

「使える時と使えない時があるみたい。全然わかんないよ〜!」


 辺りの風景は町はずれといった感じであろうか。舗装された道は続いてはいるが、その回りには人の手の加えられていないたくさんの木々が、うっそうと生い茂っている。

 木々の間に、いくつかのガレキと化した建物の名残りのようなものが見えるが、詩織たちにはその建物に見覚えはない。

 舗装された道に沿って歩いているなら、正しい道順で来ているようにも見えるが、実は今までもいくつかの分かれ道があり、自信があるかと聞かれれば返答に迷うだろう。


 地下施設を飛び出してから約4時間。

 すっかり疲れてしまった詩織たちは、道の途中の壊れた縁石の上に座りこんでしまった。


「あー、疲れた!」

詩織がいかにもといった感じで声を上げた。

「マムも〜!」

真夢が同調する。


『だからもっと慎重になろうって言ったのに〜。』

「そんなこと言ったっけ?ところでティムさ。ナッちゃんのところまで、あの《扉》は使えないの?あれ使ったら、ナッちゃんのところまではすぐなのだ。」

『使えないよ。次に使えるのは元の世界に戻る時。それまではガマンして』

「はぁ〜・・・・」


 朝ご飯を食べた時間から考えれば、多分今は昼頃だろう。

 いつもはあまり食べることに興味が薄い2人だが、午前中に目いっぱい歩いたのだからお腹も減る。


「シオリちゃん、何か食べる物ないの?」

「お菓子を少し持っているのだ!」

 詩織はいつも背負っている赤いリュックからあめ玉とマープルチョコを取り出すと、それを真夢とティムに渡した。

 ティムが満足そうな顔をしながら、チョコをほおばる。

 もっと食べようとしたのだが、さすがにまだ先の道のりが長いと判断した2人は、後のことを考えていくらか残しておこうということになった。

「ティムはいいな。体が小さいから、すぐにお腹いっぱいになって・・・」


 しかしその後、再び道を歩いていた2人は、その途中で思わぬ建物を発見した。2人の進む先に、ある見慣れた建物が姿を現したのである。

 それはコンビニエンスストアで、もちろん人の気配はないが、この時代の建物にしてはダメージは少なく、今でも売るものがあれば営業できそうな雰囲気すらある。


 さすがにこの時代では食料は貴重品で、陳列棚の商品で食べられそうなものは残っていなかったが、建物の奥まで調べてみると、幸か不幸か防風ライターを見つけることができた。

 この時代の季節は、日中は陽射しが強く暖かいが、夕方になると急激に気温が下がる。

 さらに歩き続けた2人は夕方になってから、近くの落ち葉を集め火を焚き、暖を取ろうとしたのだが、ここで彼女たちはそのライターのせいで災難を招き寄せることになってしまったのである。

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