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マーブルチョコレート

 そして、時は新たな週末を迎えた。

 詩織たちがティムに出会った後、2人は再び病院の神酒のもとを訪れてはいたが、シーナへの連絡がつかないことについては神酒にもどうすることもできず、結局この件はそのまま放置される結果になった。


 ティムを詩織の家で飼うことについても、神酒はOKを出していた。

 先走りで勝手に飼うことを決めてしまったことについては、詩織は神酒に謝ったが、もともとケガが完治するまでまだ時間がかかる彼女のことだから、神酒は快く詩織の願いを聞き入れた。


 七海と瞬が行方不明になって、もうすぐ2週間が経つ。

 学校や警察からの状況説明は、何度も被害者の生徒の保護者に説明会の形で行われたが、特にまだ行方不明の七海と瞬のいる椎名家と水神家の家族には、次第に疲労の色が濃くなっていき、絶望視する声すらあがるようになってきていた。


 そんな金曜日の夕方のことである。

 事情説明会でたまたま詩織の母親と出会った朝霧真夢の母が、こんな提案をした。


「良かったら、シオリちゃんお泊りに来ませんか?」


 もともと詩織と真夢は幼稚園からの付き合いで、その両親も前からの顔見知りである。

 前に会った時に、詩織の夜泣きについて聞いていた真夢の母は、少しおせっかいとは思いつつも、思い切って誘ってみることにしたのだ。


「ご迷惑ではありませんか?」


 詩織の母についても、彼女の夜泣きの件についてはどうにもできない悩みの1つではあった。

 夜にまた泣き出して、朝霧家に迷惑をかける可能性もあることを真夢の母にも伝えたが、彼女はそのことを知った上で誘っているのだからと笑顔で応えた。

 そして2人とも、詩織と真夢がお互いの家にお泊りをしたいことは薄々感づいていたので、どうせならと、金曜の夜は朝霧家へ。土曜日の夜は椎名家へ。それぞれ1泊ずつお泊りをさせてしまおうと、その場で決めてしまっていたのである。


 この話を聞いて、もちろん大喜びをしたのは詩織と真夢の2人だった。

「ホント!?ホントにいいの!!?」


 かくしてその日の夕方。詩織はわずかな着替えとティムを抱えて、真夢の家へとあそびに行くこととなったのだった。


                       ★


 真夢の家でのちょっとワクワクするような夕食の後、一緒にお風呂に入った2人は、真夢の部屋でおしゃべりをしながらまるで修学旅行にでも行ったかのような楽しい時間を過ごしていた。

 普段なら、ある程度遅い時間になったらお菓子を食べたりするのはダメと言われているが、今日は特別ということで、さっき真夢の母親と一緒にコンビニに行って好きなお菓子を買ってきて、それをポリポリ食べながらあそんでいた。


「ねぇねぇシオリちゃん。ティムって何が好きなの?」

 ティムを膝の上に乗せながら、真夢が詩織に尋ねた。

「う〜ん、それがさ・・・・」

 真夢のベッドにゴロンと寝転がりながらスナック菓子をもてあそんでいた詩織が、そのお菓子をパクッと口に入れる。


「ティムさ、なんにも食べないんだよね・・・」

「え?」

「いろいろエサはあげてるんだよ。ペットフードとかかつお節とか缶詰めとか。

 でもさ、キライなのか判んないけど、なんにも食べないのだ」

「お腹が空かないのかな?」

「さあ・・・。隠れてどこかで何か食べてんのかなぁ?」

 

 真夢が膝の上のティムを抱き上げると、その顔に自分の顔を近づけ鼻と鼻をくっつけ、そして不思議そうにティムの顔を見ながら、真夢が首をかしげた。

「ティム。お前、何が好きなんだい?」


 そんな時だった。

 真夢に抱かれていたティムが彼女のもとを離れて、ノソノソと歩き始めた。そして詩織の傍に並べてある様々なお菓子をジッと見つめると・・・。

「あ!」

 なんと、その中にあったマープルチョコレートをほおばったのである。

 びっくりした詩織が、ティムを抱き上げた。


「ティム!お前、もしかしてマープルチョコが好きなのか!?」


※注意!本物のネコには絶対にチョコは与えないでください!

 食べると死にます!

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