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ゴーレムと行く  作者: ネクラ
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1 プロローグ

 昨日までの俺は、何も考えずにただ遊ぶことに夢中の馬鹿な三歳児だった。


 特にきっかけが有った訳では無く、朝起きたときには謎の記憶が宿っていた。


 ここではない、どこか遠い世界で暮らしていた誰かの記憶が。





 突然得た知識とそれにともない急に成長した精神年齢に戸惑いながらも、いつもと同じように朝食を両親と兄のフレッドの四人で食べて。畑仕事の準備をする三人を見ていた。


 農具を背負った父親はまだ二十代後半だが、やつれて目のクマと疲労の色が目立ち年齢よりも年老いて見えた。


「フレッド、アルを畑まで連れてきてくれ」


「わかったよ、父さん」


 答えたのは、兄のフレッドだ。


 兄は発育が良く七歳になったばかりだが畑仕事も手伝い、頭も良く俺の面倒もよく見てくれていて、我が兄ながらとても優秀だ。ちなみにアルというのは俺のことだ。


 俺はまだ働くには幼すぎて一人では留守番もできないので、いつも畑の近くで邪魔にならないように一日中遊んでいる。


「フレッド、アル、先にいくわね」


 朝食の片付けを終えた痩せ気味の母が、そう言って父と畑に向かった。



 畑までは500メートルも無いが、畑を荒らす獣や魔物と鉢合わせるかも知れないのでいつも両親が少し先に畑を見に行っている。


「俺たちも行くぞ」


「うん・・・・・」


 兄に手を引かれながら、小さな集落を囲むように無数にある畑に向かってかって歩きだした。



 畦道を歩きながら周囲を見ると、農作業をする近所の人がちらほら見える、数百メートル先には農作業を始めている両親がいた。


 昨日までの俺にとっては、今見えている小さな村と畑が世界のすべてだった。


 でも、今の俺にとってはこの村は狭すぎる。


 記憶の中にある「世界」は広大な海や砂漠、様々な分化を持つ色んな人々が暮らしていた。


 この村は、そのほんの一部にしか過ぎない事を今の俺は知っている。


 見に行きたい、この世界の様々な場所や分化を。


 この村で畑を耕しながら一生を終えるのは絶対に嫌だ。







 畑に着いて兄は両親の手伝いを始め、俺はいつもと同じく邪魔にならない所で泥遊びをしながら現状について考えていた。



 まずは突然宿った記憶について、確かなのはこの世界の人間の記憶ではないということだ。


 もっと技術が発達していたし、決定的なのは魔物なんて危険極まりないものもいなかったし魔法やスキルも存在しなかった。


 おそらく十代半ばの男性の記憶なのだが、個人情報と言うのか自分が何者だったのかは一切分からない。


 もしかしたらこれが前世の記憶というやつなのかもしれない。


 その世界で俺は中二病という病を煩っていて長期間自宅で療養をしていたようだ。


 そのせいなのか俺が得た知識にはかなり偏りがあるように感じる。


 だが、魔物や魔法のあるこの世界ではゲームやファンタジーに偏った知識の方が都合が良いのかも知れない。






 次にどうやって、世界を見て回るかというのは冒険者になろうと思う。


 これは、もうテンプレというやつだろう。


 剣と魔法の異世界に行ったら、取り合えず冒険者ギルドに登録するという。


 この世界でも冒険者ギルドは存在するらしいので、是非とも登録したい。


 さすがに人口30人もいないこの村には冒険者ギルドは無いが、もう少し大きな村や街には基本的に冒険者ギルドがあるらしい。


 まあ、まだ俺は3才だから間違いなく年齢制限に引っ掛かるだろう。


 この世界では15才で成人なので15才になれば年齢で何か言われる事は無いと考えている。


 要するに12年も時間が有るわけなので、ゆっくりと情報を集めてお金を貯めて装備を揃えスキルやレベルを上げることができる。



 まず情報についてだが、冒険者になるための登録費用や年齢制限・試験の有無・その他の資格や制限、分からないことが多すぎる。


 というか冒険者になるメリットもあんまり分かってなかったりする。


 だからと言って今の俺は3歳児なので、いきなり冒険者になるための具体的な話を聞き始めると不信感を抱かせるのは間違いない。


 無駄に目立つとロクな事にならないからな。焦る必要は無い、ゆっくり安全策でいこう。



 次に、強くなることだ。この世界では冒険者になるなら勿論だが、農民として生きていても強くなければ生き残れない。


 実際に毎日のように畑を荒らしに魔物が現れ、両親が追い払っている。


 更に親父は徴兵されて、戦争に参加したことも有るそうだ。


 とにかく弱いよりは強い方が良いのは間違いない、戦う力があって困ることは無いだろう。




 そして具体的にどうするのか、「ステータス」と頭の中イメージすると情報が頭に流れ込んでくる。



 名前 アレックス 

 年齢 3才  性別 男

 種族 人間レベル 1

 職業 農民レベル - 

 体力 2

 魔力 3

 筋力 2

 耐久 2

 俊敏 2

 器用 3


 スキル

ゴーレムメイカー レベル1



 これが今の俺のステータスだ。家族はみんなアルと愛称で呼んでいるが、俺はアレックスだ。それと貴族では無いので家名は無い。


 他の人の能力値など知らないが、まあ強い訳が無いだろう。


 種族レベルと職業レベルがあるのか。想定の範囲内だな。


 職業レベルが表示されないのは単純に1以下だからだろう、生まれが農民というだけで俺は農民らしいことをやったことが無い。


 大体こういうのは、詳しく知りたい項目を注視していれば詳細が表示されるのだが・・・。残念ながら意味は無かった。


 その代わり、各項目がどういう意味を持つのかは何となく理解できる。


 まず体力に関しては、最大HPのようなものとスタミナに類するもの更に休息時のHP自動回復速度が合わさったものらしい。


 次に魔力に関しては、最大MPにあたるものと魔法の威力に関係するもの更にMPの回復にも関系しているようだ。


 他の数値にしても色々と合わさっているようで、単純に数値だけでは判断出来ないことが多い。


 そして唯一のスキル『ゴーレムメイカー』は、魔力を消費してゴーレムを作ったり操作したり出来るスキルだ。


 実際に今もスキルを使用して、適当に泥を人の形に固めたような泥人形が目の前で動き回っている。


 その泥人形のステータスを見ようとすると



名前 -

種族 低級泥人形レッサー・クレイゴーレム レベル 1



 名前と種族しか表示されないが、見ることができた。


 低級レッサーと言うからには普通の泥人形クレイゴーレムより劣っているのだろう。


 その上に上級泥人形グレーター・クレイゴーレムとかも有りそうだ。



 ちなみに両親達の反応は別に今日初めてこのスキルを使ったわけでもないし、この世界には様々なスキルが無数に存在している。


 当然両親や兄もいくつかスキルを持っていて、30センチくらいの泥人形が動いているのを見ても「まあ、そんなスキルもあるだろう」程度の関心しか無かったので問題ないだろう。


 しかし、俺にはこのスキルが使い方によれば俗に言う『チートスキル』になり得ると思う。スキルレベルが上がればかなり有用なはずだ。




 当面の間はゴーレムメイカーを鍛えていこうと思っている。


 理由は、魔法は誰も教えてはくれないしステータスに表示されていないため自分の適性が分からない。


 もしかしたら全く才能が無く、どんなに努力しても魔法が使えない可能性もある。


 というか努力の仕方も分からない訳だが。



 剣術や武術方面は所詮三歳児だ、大した期待は出来ない。


 それに、剣を振る前にまともに走ることすら出来ない。


 もう少し成長したら親父や兄に剣術や弓術を教えてもらうのもいいかも知れないが。



 それに比べ、ゴーレムメイカーは生まれつきなのか少なくとも物心ついた時には身についていたので適性は十分あるはずだ。


 更にゴーレムメイカーを利用したいい訓練を思い付いたからな。



 そういう事で、俺の唯一の武器ゴーレムメイカーのスキルで何ができるかを調べようと思う。


 基本的に食事は一日二食で、昼食は無いので日が暮れるまでここでスキルの検証ができる。


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