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ぶらり。  作者: あき
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斬新だよね。

 三条(さんじょう) 暁斗(あきと)。27歳。周りに流されるままに無駄に金のかかる私大に一浪して行き、卒業後就職先は見つからず、今現在フリーター。コンビニのバイトをやっている。

 こんな屑な俺を、どういう訳か両親は見捨てない。見捨ててくれない。どうしてだろうか。結果を何も残さずただただ金を消費しているだけの俺を。あまつさえ、趣味である漫画やアニメに多くの金を消費している俺を。


 お願いだから見捨ててくれ。


 世間で人殺しをする人は、どうか俺を狙ってください。待ってます。希望は一瞬で死ぬことです。

 ちなみに自殺だけはしないと心に決めている。俺は親が大好きだからだ。そんな大好きな親に幸せになって欲しいからこそ、早々に俺を見捨ててくれればいいのに。


 そんな事を思いながら日々を過ごしていた。なぜ過去形かというと、俺の日々が終わってしまったからだ。


 そう、俺は死んだのだ。


 ありがとう、俺のことを喜んでくれる見知らぬ人よ。俺も嬉しい。

 念願かなって俺は死ぬことができた。もちろん自殺ではない。


 毒殺だ。


 同じコンビニでバイトをしている現役大学生に一服盛られたのだ。

 その大学生は初対面の時から俺を毛嫌いしており、一日に二桁は睨まれる。そんな彼が珍しく笑顔でお弁当を俺に差し出してきた。怪しまなかったのかって? もちろん怪しんだとも。当たり前じゃないか。俺は漫画が好きだと言っただろう。

 しかし、俺の分の僅かな食費が浮き、親の負担を減らせると思ったら、俺はそれを受け取らない他あり得なかった。一日の、しかも一食の値段などたかが知れてるというのに。


 とまあ、俺は大学生からお弁当を受け取り、家に持ち帰ってそれを食べた。

 俺は煮玉子が好きなんだ。そして好きなものは最初に食べるタイプ。そう、煮玉子を口に放り込み、十分に咀嚼し、食道を通した瞬間。

 焼けるように喉が熱くなった。堪らず自分の指で喉をガリガリと掻く。そしてその行動も長く続かない内に、俺は死んだ。


 そして目が覚めたら見知った天井が広がっていた訳だ。しかも遠い。

 

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