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LoveStory  作者: 灯月樹青
9/20

09.乾杯

事前にそういうお店だと聞いていたのだろう、特に慌てることなく坂井はその扉を押し開け、扉を持ったまま私を「どうぞ」と中へと促す。

その仕草が自然で、ここ最近される事の減った『女の子扱い』に、柄にもなく少しドキドキしている自分に気付く。

店員に案内された場所は、白いテーブルと黒いソファが置かれた落ちついた感じの部屋・・

部屋には、明る過ぎず暗過ぎない、雰囲気があると言われるぐらいの明かりに満ちている。


「いい感じでしょ?」

「ん、こういうの好きかも」


彼は私のその言葉にカッと笑う。


「何飲む?」


そういって差し出された電子メニューを受け取ると、アレコレと意見を交わしながらそれぞれ飲み物と食べ物を適当に注文する。

ソファーにダラーと座りながら坂井を見ると、「で?」っと、先ほどの話を促される。


「私の事はもういいじゃん。さっきから私ばかりだけど、坂井はどうなのさ?」

「ん?タイプ?」

「そ」


先ほどから矛先が自分にしか向いていない事に多少の抵抗を感じて言った台詞だった。

それなのに…。


「伊藤がタイプ」

「…ぇ゛」


坂井から返ってきたのは、笑うでも茶化すでもなく、真剣な目で見つめられながらの、考えてすらいなかった言葉。

その言葉にポカーンとしながら、頭の中は軽いパニック状態だった。

多分私の視線は色んな所に動いていたに違いない。


「…ぇ、えと…ぁの…その…」


パニック状態のまま、それでも何か返さなきゃと口を紡ぐが、意味のある言葉は出てこない。

その間もずっと真剣な目で私を見ていた坂井の顔が、ふと弛む。


「――って言ったらどうする?(笑)」

「――…ぇ?」


笑いながらそういう坂井に、混乱した頭がからかわれたのだと認識すると、ドッと疲れたような気になる。


「…ひど」

「悪い、悪い。でも伊藤慣れてそうに見えるんだけど、違うんだな」

「慣れてそうとか…、それ喜ぶべき?嘆くべき?」

「さぁ?(笑)」


おどけて笑う坂井を見て、単純そうに見えるだけで食わせ者なんだと自分の中にあった坂井の認識を改めておく。


「…これは坂井の中の私の印象がどうなってるのかを、よく問い詰めとくべきかな?」


ジロリと睨んでそういうと、坂井は目を逸らして「あはは」と笑う。

それを見て、多分問い詰めてもノラリクラリとかわされるだろうなと思うと、なんとなく疲れた気になる。

まぁ嫌だとは思わないから自分も相当変わっているんだとも思うと、余計に疲れるから考えない事にするが…。

そんな事を考えているうちに頼んだ飲み物と数品の料理が運ばれてくる。


『かんぱーい!』


グラスをカツンと合わせ、自分のグラスに口を付けると、結構話し込んでいたからか、喉を通る冷たい感覚が気持ちよく、なんて事のないカクテルがとても美味しかった。


「じゃ、坂井の恋バナでも聞こうかな♪」

「んなのねぇ~し」

「最近別れたって言ってたよね~♪同期で飲んだ時にさ♪」

「…ぁ~、まぁ…」


――シマッタ――という感じの表情を浮かべた坂井に、自分の中にちょっとした悪戯心が湧き出してくる。

だが同時にそこに踏み込むのはまだダメだろうと窘める自分も同時に湧き出してきて暫し葛藤する。

私の中で天使と悪魔が葛藤している間に、坂井の方が腹を括ったらしい。


「…じゃ、――聞いて貰おっかな」


そう言って、坂井は私を見つめた。

坂井の恋バナまで入れなかった(^_^;)

坂井の恋バナは次回にでも。

彼の相手の名前何がいいかなぁ?

こんなのがってあったらどっかにコメント下さい♪


【追記】(2010/09/09)

次話との繋がりの為、最終行を少し修正しました。

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