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LoveStory  作者: 灯月樹青
6/20

06.菊池茉莉

食事の後片付けまで終えて風呂に入り、Tシャツ&ジャージ姿にバスタオルを頭に巻いたままの格好でテーブルの前につくと、スタンバイにしていたネットブックを起動する。

ブラウザを立ち上げると大手SNSの一つであるMIXIミクシィを開き、友人達の更新を確認して、気が向けばコメントを書く。

マイミクシィと呼ばれるMIXI内の友達の人数が、これといって多い訳ではないので、そんなに時間は掛からない。

そんな事をしている時、ベッド脇で充電していた携帯電話がメールの受信を告げる。

送信者には≪菊池(きくち)茉莉(まり≫と表示されている。

それは、同時に入社した地元の同期からだった。


---------------------

TO:伊藤美優

FROM:菊池茉莉

---------------------

やっほぉ~☆

元気してる?

仕事どぉ?

---------------------


茉莉らしい文面に自然と顔に笑みが浮かぶ。

慣れた仕草で返信画面を表示させ、文面を打つ。


---------------------

TO:菊池茉莉

FROM:伊藤美優

---------------------

おひさし~☆

もちろん元気だよー!

そっちはどーよ?

仕事はやっと慣れた感じ

かな☆

---------------------


送信完了の文字から数分と置かず、再度携帯がメールの受信を告げる。


---------------------

TO:伊藤美優

FROM:菊池茉莉

---------------------

もちろん元気♪

そっか。

で?

彼氏出来たー?

---------------------


茉莉の文面に知らず、苦笑を浮かべる。

何故なら、茉莉は私がまだ『()』を引き摺っている事を知っているから。

彼の後、何度か告白もされたし、気になった人もいたが、どうしても付き合いたいという気持ちになれなかった。

それを茉莉が一番心配してくれているのも、私は知っていたから。

休日に呼び出しては、「男の傷は男で癒すんだよ!」と言って、至る所に連れまわしてくれた。

ま、実を結ぶ事はなかったんだけど…。


---------------------

TO:菊池茉莉

FROM:伊藤美優

---------------------

なんでそうなるのよ(笑)

まだ越してきて一月ちょ

いだよ?

あるわけないし☆

そっちこそ、上手くいっ

てるの?

---------------------


私が引っ越し準備に追われている最中、茉莉から彼氏が出来たと報告された事は、まだ記憶に新しい。

私もその人と面識があり、私とタメの茉莉よりも二つ年上で、優しそうでゆったりとした口調で話す、大人な人だったと思う。

きっとラブラブなんだろうなぁ~と思っていたので、茉莉から返ってきた次のメールに驚愕する事になった。


---------------------

TO:伊藤美優

FROM:菊池茉莉

---------------------

いや~だってさ、環境ガ

ラっと変われば気持ちも

変わって、人恋しくなっ

たりするじゃない?♪

あ~…私は…その…また

…別れちゃった(笑)

---------------------


これは、「えぇ~!?」って声を出さなかった私を褒めてあげてもいいと思う。

まあメールで百面相してる自分は、傍から見ればかなり変な人になっているんだろうと思うが…、自宅なのだから気にしなくていいだろう。


---------------------

TO:菊池茉莉

FROM:伊藤美優

---------------------

ないから(笑)

え~!?

あんなラブラブだったの

に!?

また別れたの!?!?

なんで!?

---------------------


返信が早く読みたくて返信を待つと、携帯がメール受信ではなく、着信を告げる。

ディスプレイを見ると≪菊池茉莉≫となっているから、きっとメールで書くのがめんどくさくなったんだろう。


「茉莉?」


茉莉からの着信である事は分かっているのに、確認するように名前を呼んでしまうのは、もう電話を出るうえでの癖のようなものだろうか。


「だってさぁ~、ちょっと聞いてよ!美優!」

「聞く、ちゃんと聞くから。で?どしたん?」


茉莉のテンションは考えていたよりもずっと高く、今回のメールは私の近状を知りたかったというよりは、きっとこの愚痴を言いたかったんだろうな~と思い当たる。


「アイツ、私に隠し事してたんだよ!?」

「隠し事?」

「そう!子供が居たの、コ・ド・モ!!普通隠す!?」

「…え?こども?」

「そうよ!つまりバツイチ子持ちだったわけ!」

「それホントなの?」

「私も勘違いかなぁ~って思って、本人に確認取ったら、これがマジなのよ」

「なんで知ったの?」

「急に行って驚かせてやろーっと思ったら、家に居たのよ。子供が」


つまり、――バツイチ子持ちだったから別れたのだろうか…?――と素朴な疑問をぶつけてみる。


「まさか!だって相手が私じゃなくたって、アイツの子である事は確かでしょ?そんなの気にしないわ、ただ、隠されてた事がむかつくの!!!」


確かに人を好きになれば気にならないかもしれないけど…、そこまで言い切っちゃう所がやっぱり茉莉らしいと思う。

私なら、理性では理解出来ても…やっぱり感情的には納得出来ないだろうから。


「彼氏はなんて言ってたん?」

「折を見て話すつもりだったって。そんなのフェアじゃなくない!?」

「ん~確かにアンフェアだけど…でもいいの?」

「…」

「茉莉?」

「…だって…」


茉莉は悩んでるんだと直感的に思った。

隠していた事を許す気にはならない。

だから別れたけど…。


「まだ――好きなんでしょ?」

「…ぅん」

「それでいいの?ちゃんと話し合った?」

「…」

「別にそのまま終わって茉莉がいいならいいの。でも、嫌だと思うなら自分で動かないと…彼は連絡しづらいんじゃないかな?」

「…」


冷静になりきれていない所を見ると、まだ考える時間が必要なんだろう。


「茉莉?相談には乗るから、しっかり考えて答え出して。後悔しないように」


そう、――私のように後悔しても遅いんだから――そんな気持ちを込めた言葉に、「うん」と頷くと、どちらからともなく電話を切った。

今日は2話更新しました☆

ノリノリの時は執筆早い物ですね!


ではまた次回。


誤字・脱字・矛盾があったら知らせて頂けると嬉しいです。

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