20.兄弟姉妹
遅くなりました…ってレベルじゃないですよね。。
「ぇ?じゃぁ冴島のトコって四兄弟なの?」
美優はパスタをフォークで突付く途中、少子化で子供が足りないというこの時代、滅多に聞く事のない四兄弟という単語に咄嗟に食いつく。
「そ。俺は次男で、2つ上に兄、1つ下と3つ下に弟がいるよ。女の子が欲しくて頑張ったらしいんだけど、さすがに4人男が生まれて諦めたんだとさ。伊藤とこは?」
「私は1つ下に妹が1人だけ」
「…ぇ。伊藤って長女だったのか?」
「…どういう意味よ」
「…いや、なんも…」
そんな軽口を叩きながら、引っ越して来てからあまり連絡を取ってなかった妹の事を思い出す――私と同程度の身長にショートヘア、一目で活発と分かる雰囲気を持つ自慢の妹だ。
「ま、でも妹か。、俺も欲しかったな」
「あら?妹ならできるんじゃないの?」
「今から…か?」
「いや、親が産むとかじゃなくてさ。弟の奥さんって義妹でしょ?」
「…ぁ~、まぁ確かにそうか」
少し考えた冴島がなんとなく渋い顔をしているのを何故だろう?
「そういう意味だと、私は兄とか姉とか、自分より年上が欲しかったなぁ~。ま、今更何しても出来ないけどね(笑)」
「何?甘やかされたいの?(笑)」
ニヤニヤ…というよりも、ニタニタに見える冴島の顔を見ながら、いい顔台無しだと密かに思う。
「昔からしっかりしなきゃー!って思って生きてきたから、肩肘張らなくていいっていうのもいいなって」
「ないものねだりだな(笑)」
「そんなものでしょ?(笑)人間自分のないものが欲しくなるものだもの~」
「確かにそうかもな。でも、伊藤は甘えそうなイメージって――ないな。彼氏とか居ても、自立してそう」
冴島の言った言葉は、友人関係の人に散々言われていた台詞だから、もうそういうイメージになっている事は諦めに近いかもしれない。
「はぁ…、冴島の中の私ってどんなイメージなんだよ、まったく」
「ん?そんなイメージ?(笑)」
「じゃ、外れだねー。私、恋人とその他に対しての顔、全然違うよ?ビックリされるぐらいに」
実際、友人関係から恋人に発展した彼氏に、「こんなイメージじゃなかった」と言われて別れたこともあるぐらいだ。
あの時は、勝手なことだと憤ったっけ。
結局、『私』を見ては居なかったのだと、ひどく落ち込んだ。
「どう違うんだ?」
「んー私恋愛に対する比重が人より多いんだと思う。だから、彼中心になっちゃうのよね。精神的に依存してる感じ?」
「…イメージにないな」
「だろうね。よくそう言われる~」
性格柄なのか、サバサバした友達付き合いの延長線上で付き合っていそうとよく思われている事も、もはや驚きはしない。
ちょうど区切りよく、話の合間に食べていたパスタがお皿の上から消えて一息つくと、冴島に視線で問いかけられ、それに応える形で、私たちはカフェを後にした。
お久しぶりですー。
現場が変わったり、仕事が忙しくなったり、気力がなくなっていたりと長々手付かずでしたー。
また、気が向いたときにでも書いていこうと思います!
誤字脱字などありましたら報告お願いします。