12.無意識下に
――『…まだ――好き…なんだと思う』――
そう口から出てきた言葉に一番驚いたのは、――多分…私だったんだと思う。
その言葉は、あの日から一度も…茉莉にですら言った事はなかったのに…。
自分の中で『あの出来事』が大き過ぎて、それでも彼を好きだと思う事を誰よりも私が許さなかったから。
私の心は、彼の事を想いながら、彼を想う事を否定し続けていたのだと、今なら分かる。
それも多分、無意識のうちに。
「どうした?」
私の表情を見て心配したのだろう。
坂井は私を見遣り、気遣うように目じりを下げる。
優しげな顔。
坂井もこんな顔もするんだなっと、別の所で関心する一方で、その目を見、すんなりと次の言葉を口にした。
「…今度は、私の話を聞いてくれる?」
自分の中に沸いた、自分の知らない――いや、直視して来なかった、多分自分の中で最も素直な感情を、私は持て余していた。
「いいよ」
気軽に請け負った坂井は、私の事をまだ何も知らない。
だからこそ、こんなに素直に話せるのかもしれない。
短いです。。
しかも…また土曜日中にあげられなかった。。。orz
お気に入り、件数が増えていて嬉しいのに…(>△<;)
しかも…再来週資格試験があるので、次の更新は遅れる予定です(-_-;)
誤字・脱字ありましたらご指摘など宜しくお願いいたします。